2024年7月3日に発売される、プロ・アマ問わず将棋界のすべてがわかる将棋総合誌『将棋世界2024年8月号』(発行=日本将棋連盟、販売=マイナビ出版)では、15年ぶりのタイトル戦に挑んだ山崎八段に、ヒューリック杯棋聖戦第1局の将棋を振り返っていただきました。本稿では、この記事より一部抜粋してお送りいたします。 (以下抜粋) 藤井棋聖は、その所作に至るまで丁寧だった ――15年ぶりのタイトル挑戦で注目を浴びた山崎八段に、棋聖戦開幕局を振り返ってもらいます。まず、本局に臨むにあたってはどのような気構えで、どんな戦い方のイメージを抱いたのでしょうか。臨機応変かつ当意即妙な山崎将棋は、研究でがんじがらめにならないノープランのたくましさもまた魅力的なわけですが。 山崎 力戦の序中盤を互角で切り抜け、すぐに直線的な斬り合いにならないように心がけようと思いました。事前段階では実戦をたくさん指して精度