岐阜地裁の裁判員裁判で9日、男性裁判官(29)が、被告が使った「デンシンボウ」という方言が理解できずに、問いただす場面があった。判決後の記者会見に応じた裁判員2人は「もちろん知っている。転勤に次ぐ転勤で知らなかったんでしょう。こちらの方言ですから」と裁判官を気遣った。司法大観によると、裁判官は九州出身。 「デンシンボウ(電信棒)を殴った」。被告の男(27)は、裁判官からストレス解消の手段を問われ、こう答えた。 「何て言ってるんですか。もっと大きい声で」と、けげんな顔を見せる裁判官。 「電信棒」。被告が繰り返し答えると、裁判官は大声で「電柱のこと?」と念押し。 傍聴席からは「なんで分からないんだろう」と、ひそひそ話す声が聞こえた。 岐阜大の山田敏弘准教授(日本語学)によると、「電信棒」は東海・関西地方などで使われている方言だという。(贄川俊)