昨日(08年6月18日)、評論家の大塚英志が朝日新聞の文化面で書いていた「この20年で失われたもの 宮崎勤死刑囚の刑執行に寄せて」が興味深かった。 いまのナウなヤングは皮膚感覚として理解していないかもしれないけど、大塚って、オタク論壇というものが初めて出現した1989年から数年は斯界の主要プレイヤーであり続けた。 そもそも「オタク論壇」が生まれたきっかけが、宮崎勤による東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件だったというのは言うまでもない。その数年前から、大塚は『システムと儀式 (ちくま文庫)』(単行本は1988年)と『定本 物語消費論 (角川文庫)』(同1989年)に連なる一連の論考で、アニメマニアのみならず、業界関連者からもかなり注目されていた。押井守も、彼の著作をかなり読み込んでいたと後のインタビューに答えている。これまでの「大きな物語」が終焉すると共に、消費者がその物語を自己流に解釈して消費