毎年6月は、LGBTQの権利や文化を称揚する「プライド月間」として知られている。同性婚の実現を求める「結婚の自由をすべての人に」訴訟が起こるなど、日本における社会的な関心も高まっている。 ではいま、音楽はその機運や当事者たちの声をどのように反映しているだろうか。 「タフな男らしさ」が誇示されることの多かったヒップホップ / ラップシーンにおいて同性愛嫌悪が強いことは度々問題になってきたが、2010年代から現在に至るまでのさまざまな出来事を経て、シーンの風向きも変わってきた。 - Lil Nas Xが『MONTERO』(2021年)をリリースした際、ライターの木津毅はこう記したが、社会的な機運に反して、いま黒人社会における同性愛嫌悪が取り沙汰されている。「ゲイのポップスター」で「2021年の顔」とも言うべきLil Nas Xが、アフリカ系アメリカ人向けのテレビ局「BET」が主催する『BET