ブックマーク / www.fuze.dj (12)

  • キャンセルカルチャーとインターネットが生んだ社会問題。欧米を覆う二極化主義に抗う人たち

    2010年代の様々なテクノロジー・プラットフォームと、音楽映画ゲームなどのエンタテインメントの関係を振り返る機会が増えたのだが、近年を調べれば調べるほど、アメリカを中心にSNSやプラットフォーム、ウェブメディア、ニュースメディアがどこも「キャンセルカルチャー」を議論する投稿や記事で溢れ返っていたことに気付いた。 キャンセルカルチャーに対する疑問は自分の中で長く抱えていた。が、議論することとなればなかなか難しい。この特集では企画当初、エンタテインメント産業やビジネスにおける「ファンダム」と、テイラー・スウィフトあるいはビリー・アイリッシュの関係といった極めて明るい話題を取り上げようとしたところから始まったのだが、ファン・コミュニティの実情を調べていくうちに、「ネット上での発言権の自由」や「ヘイト」「アクティビズム」といった認識や行動倫理の違いにもぶつかり、徐々に膨らんできた違和感を事象と

    キャンセルカルチャーとインターネットが生んだ社会問題。欧米を覆う二極化主義に抗う人たち
  • 2010年代ブラック・ミュージックのリリックの変遷から紐解く、目覚める兆しのない社会における「ウォーク」の行方

    1 #キャンセルカルチャー2010年代ブラック・ミュージックのリリックの変遷から紐解く、目覚める兆しのない社会における「ウォーク」の行方 特集がテーマにしている「キャンセル・カルチャー」と呼ばれる現象には、差別や不平等に対する意識の高まりによって、あらゆる局面でポリティカル・コレクトネスが重視されるようになったという時代背景が関係しているのは改めて言うまでもない。ポリティカル・コレクトネスの規範を踏み外した場合、企業、ブランド、作品、個人は「キャンセル」される=支持を失い、社会的立場を追われることになる。それぞれの事例には至極妥当なものもあれば、行き過ぎと言える場合もあるかもしれない。ただ、キャンセル・カルチャーについて考えるには、もうひとつ、その前提として「ウォーク(woke)」あるいはウォーク・カルチャーについて理解しておくことが必要だろう。 もしかすると、記録的な大ヒットを続けてい

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  • フランスのヒップホップ/ラップは、如何に「移民」というアイデンティティと向き合ってきたのか? その30年以上の歴史を俯瞰する

    MAIL MAGAZINE下記からメールアドレスを登録すると、FUZEが配信する最新情報が載ったメールマガジンを受け取ることができます。 利用規約、プライバシーポリシーに同意します。 登録する フランスでその地位を確立しているヒップホップ/ラップと移民の関係今回の特集のテーマ「移民/マルチカルチャー」に沿って、フランスにおける音楽と移民との関係およびその変遷について書いてください、というのが編集部からの要望だった。それなら、昨今フランスでもっとも人気のあるジャンルでもあるラップ・ミュージックを生んだ、ヒップホップについて触れておかねばならないだろう。フランスでは、ストリーミング・サービスの普及によりUSでラップ人気が表面化するよりずっと前から、ヒップホップ/ラップは、人気のある=実際に売れているジャンルとしての地位を確立していた。 2019年現在、フランスでもっとも人気のある音楽アーティス

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  • スパイク・リー『ブラック・クランズマン』のラストシーンから読み解く、2019年のDo the right thingとは?

    スパイク・リー『ブラック・クランズマン』のラストシーンから読み解く、2019年のDo the right thingとは?ARTS & SCIENCE 「ブルックリン共和国を代表して、この賞を受け取ります」 2018年5月19日、カンヌ国際映画祭で『ブラック・クランズマン』が実質的な2位であるグランプリに決まったときのスピーチを、スパイク・リー監督はこの言葉ではじめた。1位を意味するパルムドールは、是枝裕和監督の『万引き家族』が受賞。日の「システム」からこぼれ落ちてしまった人々が、手をつないで生き延びようとしたけれどどうしようもなく手を離した物語と、人種差別をする側の人々が法で守られているアメリカの歪んだ「システム」を糾弾する物語が、トップに並んだわけだ。私はカンヌ映画祭の傾向を語れるほどの知識はないけれど、政治性、社会性が強い作品が評価される時代に私たちは生きている、という事実は重く受

    スパイク・リー『ブラック・クランズマン』のラストシーンから読み解く、2019年のDo the right thingとは?
  • 格差社会、ラップ、移民、デマゴーグ——アニメ作品『DEVILMAN crybaby』のリアリティと、これからの日本

    20 #海外ドラマは嘘をつかない格差社会、ラップ、移民、デマゴーグ——アニメ作品『DEVILMAN crybaby』のリアリティと、これからの日DIGITAL CULTURE Netflixオリジナルアニメ作品として2018年1月に配信された湯浅政明監督の『DEVILMAN crybaby』は、基的には永井豪の原作を忠実に守りながらも、舞台を川崎へとアレンジしている。現在の日のラップ・ミュージックを語る上では欠かせない重要な土地であり、中一男子生徒殺害事件など凄惨な事件の記憶も新しい「川崎」という記号が同作で選ばれたのには、どのような理由があるのか? 川崎のラップ・ミュージックからヘイト・デモに対するカウンター・アクション、移民や貧困層の子供たちに対するソーシャル・ワークまでをドキュメントした強烈なルポルタージュ『ルポ川崎』を上梓した音楽ライターの磯部涼に考察してもらった。 普遍的な

    格差社会、ラップ、移民、デマゴーグ——アニメ作品『DEVILMAN crybaby』のリアリティと、これからの日本
  • 2010年代の海外ドラマ革命はいかにして起こったか? あなたにしか救えない「置き去りにされた日本」

    1 #海外ドラマは嘘をつかない2010年代の海外ドラマ革命はいかにして起こったか? あなたにしか救えない「置き去りにされた日」DIGITAL CULTURE 日はいつから世界から置き去りにされたのか?1990年4月にABCで放送が開始された『ツイン・ピークス』は、同時代における最も旬な映画監督の1人であったデヴィッド・リンチ(ちょうど1990年に『ワイルド・アット・ハート』でカンヌのパルムドールを受賞)がそのクリエイティビティを手加減なく注ぎ込んだ作品として、世界各国でブームを巻き起こした。2001年11月にFOXで放送が開始された『24』は、その直前に起こった9.11事件と題材が偶然合致したこともあって世界中の視聴者を釘付けにした。 ツイン・ピークス 完全なる謎 Blu-ray BOX【10枚組】 (字幕なし)Video: Paramount (Japan)(Bluray & DVD

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  • なぜテレビは「差別表現」のルールを作れない?"代表"なくして視聴なし 後編

    記事は「エンタメの政治「代表なくして視聴なし」の後編となっている。前編を読んでいない方はそちらを先に読んでほしい 「女性やマイノリティのレプリゼンテーション改善」と聞くと「はいはい、またポリコレね」「何でもかんでも差別なんでしょ」と嫌気が差してしまう人もいるかもしれない。 日テレビ番組で差別表現が炎上するたびに、オンライン上で「これは差別だ!」→「いや、差別の意図はない!」→「社会の強者が差別を定義するな!」→「何でも差別認定するな!」というやりとりが繰り返されるのを私たちは見てきた。この繰り返しを見るたびに、分断の溝が深くなっていくような感覚を覚える人も多いだろう。 間違えてはいけない。差別や偏見を招いてしまう危険な表現が放送されれば、それを批判をしなければならない。一方で、その境界線を引くことが難しい表現も当然出てくるわけだ。 台湾アメリカ人監督による『ベター・ラック・トゥモロ

    なぜテレビは「差別表現」のルールを作れない?"代表"なくして視聴なし 後編
  • ”イケメン”になったアジア人俳優は何と戦っているのか?:"代表"なくして視聴なし 前編

    美容師、パイロット、検事...。かつてキムタクがドラマで演じたキャラクターの職業が、「なりたい職業ランキング」に必ずランクインしていたのを覚えているだろうか。それまで注目を集めなかった職業であればなおさら、人気ドラマに取りあげられるだけで何百万人という視聴者が抱いていた偏見を変えてしまう。たとえば「検事」という職業が全国的に「イケメン」というイメージと結びつくとは、ドラマ『HERO』放送前の検事たちはまったく想像もしていなかっただろう。 ドラマが描く仕事内容に不満を持った検事・美容師・パイロットはいたかもしれない。だが、それを除けば自分たちの職業が題材になることを喜んだのではないだろうか。自分に直接のメリットがなくても、テレビに登場することで自分の職業が社会から価値を認められている、という感覚を得られるからだ。 これは職業だけに限らない。身体的な特徴や性別、年齢、出自、性的指向、疾患、障が

    ”イケメン”になったアジア人俳優は何と戦っているのか?:"代表"なくして視聴なし 前編
  • カルチャー雑誌/音楽雑誌は死んだ? 雑誌天国の90年代から20年、何が変わったのか?~00年代『EYESCREAM』『SNOOZER』編

    15 1990年代、オルタナティブの始まりと終わりカルチャー雑誌/音楽雑誌は死んだ? 雑誌天国の90年代から20年、何が変わったのか?~00年代『EYESCREAM』『SNOOZER』編ARTS & SCIENCE 90年代の「雑誌天国」から20年。カルチャー雑誌/音楽雑誌をとりまく状況はどのように変わったのか? それにともない、作り手側の意識はどのような変化をとげているのか? あるいは、そもそもの前提として「雑誌天国」を支えた当時の現場はどのようなものだったのか? それらを紐解くにあたって、90年代前半にキャリアをスタートさせたふたりの編集者、稲田浩と田中宗一郎による対談をお届けしている企画。ふたりが在籍していたロッキング・オンを軸に90年代について語った前編に続き、この後編では稲田が編集長を務めた『EYESCREAM』と田中が編集長を務めた『SNOOZER』から00年代を見通す。 ま

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  • Zeebra、自身の血肉を形づくる90'sヒップホップシーンを語る

    MAIL MAGAZINE下記からメールアドレスを登録すると、FUZEが配信する最新情報が載ったメールマガジンを受け取ることができます。 利用規約、プライバシーポリシーに同意します。 登録する 1995年にラップ・ユニット、キングギドラとしてアルバム『空からの力』でデビューし、その後も「THE RHYME ANIMAL」や「BASED ON A TRUE STORY」など力強いソロ・アルバムを発表してきたZeebra。自身の音楽活動のみならず、最近ではクラブとクラブカルチャーを守る会の会長としての活動や、「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」、そしてテレビ番組「フリースタイル・ダンジョン」などでも活躍し、90年代から現在に至るまで、常にアクティヴィストとしてヒップホップ・シーンの拡大に務めてきた人物だ。稿では、渋谷や六木のストリートを中心に90年代のヒップホップ・シーンを体感し、

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  • 誰がDJカルチャーを破壊してきたのか?

    MAIL MAGAZINE下記からメールアドレスを登録すると、FUZEが配信する最新情報が載ったメールマガジンを受け取ることができます。 利用規約、プライバシーポリシーに同意します。 登録する 1970年代初頭NYのディスコ・カルチャーに端を発するクラブ・ミュージック/DJカルチャーの歴史は、今、日で「DJカルチャー」に親しんでいるどれだけの人に共有され、必要とされているのだろうか。 NYのラリー・レヴァン(Larry Levan)とシカゴのフランキー・ナックルズ(Frankie Knuckles)によって80年代前半にハウス・ミュージックが広まり、デトロイトでは80年代半ばにPファンクとクラフトワークの接合でテクノが誕生。その熱狂の伝播とエクスタシーの流入によって、海を越えたイギリスではパンク以来最大のユース・カルチャーと言われたセカンド・サマー・オブ・ラヴが80年代末に開花。そしてこ

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  • 黒船Spotifyが日本の音楽文化を救う? 田中宗一郎インタビュー

    世界最大のストリーミング・サービスであるSpotifyが日でのサービス開始を発表してから一年弱。Apple Musicが先行し、それ以上にCDのマーケットが根強く残るこの国においては、まだまだ市民権を獲得したとは言いがたい状況だ。しかし、レディオヘッドやニール・ヤングといったアーティスト・サイドからの反発がありつつも、ポップ・カルチャーにおける何度目かの産業革命は確実に進行しつつあり、その波が10年遅れでここ日にもいよいよ到達してきたことは間違いない。では、ストリーミング・サービスは音楽にとって敵なのか? 味方なのか? 現在に至るまでの国内外の音楽メディアの歴史を踏まえて、このタイミングでそれを今一度議論することは、十分意味があると言えよう。そこで、かねてより「文化は産業を変えないが、産業は文化をドラスティックに変えてしまう」という持論の持ち主であるThe Sign Magazineの

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