タグ

ブックマーク / www.nri.com (63)

  • 物価高の逆風下で個人消費は異例の弱さ(1-3月期国内GDP見通し)

    認証不正問題、能登地震の影響で1-3月期GDPは再びマイナス成長に 内閣府は5月16日に、2024年1-3月期の国内GDP統計・一次速報を公表する。時事通信によると、民間予測機関10社の実質GDPの予測平均値は前期比-0.4%、前期比年率-1.7%である。前期の2023年10-12月期の前期比+0.1%、前期比年率+0.4%から、2四半期ぶりにマイナス成長となる見込みだ。 同期のGDPには、ダイハツ工業などの認証不正問題の影響が色濃く表れると予想される。自動車の需要が変わらない場合、自動車生産停止の影響は、GDP統計の需要項目では、在庫投資の減少として表面化しやすい。しかし、手持ちの在庫が十分ではない場合には、自動車の出荷が滞り、個人消費や輸出も一定程度押し下げられるだろう。 また、1月1日に発生した能登半島地震も、個人消費、設備投資を中心に、1-3月期のGDPを押し下げたと考えられる。

    物価高の逆風下で個人消費は異例の弱さ(1-3月期国内GDP見通し)
    atahara
    atahara 2024/05/10
    「さらに、今年5月から7月にかけて、消費者物価の上昇率は急速に高まる。家計は夏場にかけて急速な物価上昇に見舞われるのである。」
  • 賃金上昇分の価格転嫁は個人消費回復の妨げに(2月毎月勤労統計)

    実質賃金上昇率が安定的にプラス基調となるのは2024年10-12月期 厚生労働省は8日に2月分毎月勤労統計を公表した。2月の現金給与総額は前年同月比+1.8%増加し、実質賃金は同-1.3%と23か月連続での低下となった。 春闘での賃上げ率は事前予想を大幅に上回ったが、その影響が毎月勤労統計の賃金に表れてくるのは、年央頃になるだろう。さらに、それが物価に与える影響が確認できるのは、夏以降となるだろう。 春闘の結果を受けて、ボーナスや残業代などを含まない、基調的な賃金部分である所定内賃金の前年比上昇率のトレンドは、現在の+1%台半ば程度から、今年後半には+3%程度にまで高まることが予想される。毎月勤労統計で実質賃金の計算に使われる消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)は、前年同月比でコアCPI(生鮮品を除く消費者物価)よりも0.5%ポイント程度高い。 これらの点から、コアCPIの前年比上昇

    賃金上昇分の価格転嫁は個人消費回復の妨げに(2月毎月勤労統計)
    atahara
    atahara 2024/04/09
    「輸入物価の上昇、そして、賃金上昇の一因である労働力不足は、ともに日本経済にとって強い逆風だ。その2つが組み合わされることで、賃金上昇を伴う持続的な物価上昇が実現し、日本経済の追い風になるという「災」
  • 物価上昇率は低下傾向を辿るも実質賃金の増加は2025年後半に(1月CPI):2%の物価目標達成は難しい:日銀の政策転換が、円安・株高の流れを反転させる可能性も

    NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 物価上昇率は低下傾向を辿るも実質賃金の増加は2025年後半に(1月CPI):2%の物価目標達成は難しい:日銀の政策転換が、円安・株高の流れを反転させる可能性も コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight 物価上昇率は低下傾向を辿るも実質賃金の増加は2025年後半に(1月CPI):2%の物価目標達成は難しい:日銀の政策転換が、円安・株高の流れを反転させる可能性も コアCPI上昇率は3か月連続で低下し1年10か月ぶりの水準に 総務省が2月27日に発表した1月分全国消費者物価統計で、コアCPI(生鮮品を除く消費者物価)上昇率は、前年同月比+2.0%となった。事前予想の平均値の同+1.9%程度をやや上回ったものの、3か月連続で低下し、2022年3月以来、1年10か月ぶりの水準となった。より基調的な物価

    物価上昇率は低下傾向を辿るも実質賃金の増加は2025年後半に(1月CPI):2%の物価目標達成は難しい:日銀の政策転換が、円安・株高の流れを反転させる可能性も
    atahara
    atahara 2024/02/27
    「サービス価格の上昇率にも頭打ち感」「日本銀行が早ければ3月にもマイナス金利政策解除し、大きな政策転換を図ることが見込める中、「物価高」、「円安」、「金融緩和」の循環が逆回転し、株価に逆風」
  • 物価上昇率は急速に低下(1月東京都区部CPI):日銀は2%の物価目標を柔軟化したうえで政策修正に着手することがおすすめ

    東京コアCPIは1年8カ月ぶりに2%割れ 総務省が26日に発表した1月分東京都区部CPI上昇率は、予想外に下振れた。生鮮品を除くコアCPIは、季節調整済前月比-0.1%と低下し、前年同月比上昇率は+1.6%と前月の+2.1%から大きく低下した。日銀行が物価目標とする2%を下回るのは、実に1年8か月ぶりのことであり、歴史的な物価高騰は節目を迎えてきた。 1月全国CPIで、コアCPIの季節調整済前月比が東京都区部と同様にー0.1%となれば、前年同月比は+1.8%とやはり2%を割り込むことになる(図表)。 1月分東京都区部CPIでは、様々な要因が前年比上昇率の低下に寄与した。12月分と比べて1月分の前年比上昇率に与えた影響は、エネルギーがー0.10%でそのうち都市ガス代がー0.08%、電気代がー0.02%となった。さらに宿泊料がー0.24%、生鮮品を除く料がー0.07%、通話料(固定電話

    物価上昇率は急速に低下(1月東京都区部CPI):日銀は2%の物価目標を柔軟化したうえで政策修正に着手することがおすすめ
    atahara
    atahara 2024/01/29
    「2%の物価目標を中長期の目標へと柔軟化したうえで、さらに、政策修正は金融緩和の継続の障害となる副作用の軽減を主目的にした措置であることを明らかにしたうえで、政策修正に踏み切る方が」
  • 2%割れが視野に入った東京12月コアCPI

    コアCPIの2%割れが視野に 総務省が1月9日に公表した12月分東京都区部消費者物価(中旬速報値)で、コアCPI(除く生鮮品)は前年同月比+2.1%と前月の同+2.3%を下回った。2023年年初の1月コアCPIは前年同月比+4.3%であったが、そこからほぼ1年間で上昇率は半減し、2%割れが視野に入ってきた。物価上昇率は、予想を上回るペースで着実に低下してきている。 前月と比べてコアCPIの前年比上昇率を最も大きく押し下げたのはエネルギー価格であり、前年比上昇率を0.15%ポイント低下させた。また、生鮮品を除く料も、前年比上昇率を0.09%ポイント低下させた。生鮮品を除く料の前月比は0.0%と上昇に歯止めがかかっている。2023年4月には前月比+1.4%と大幅に上昇していたが、料品メーカーの原材料価格転嫁の動きは一巡してきている。 サービス価格上昇率にも頭打ちの兆し 日銀行は、

    2%割れが視野に入った東京12月コアCPI
    atahara
    atahara 2024/01/16
    「12月分東京都区部消費者物価(中旬速報値)で注目したいのは、早くもサービス価格の上昇率に頭打ち感が見られ始めている」
  • コアCPIは低下傾向を辿り年明けには2%に接近:賃上げの逆風に(11月全国CPI)

    11月コアCPI上昇率は下振れ;輸入インフレの影響は薄れる 12月22日に総務省は、2023年11月分の全国CPI(消費者物価)を発表した。コアCPIの前年同月比は+2.5%と10月の同+2.9%を大きく下回り、2022年中頃の水準まで低下した。これは、概ね事前予想通りの結果だ。 前月比でエネルギー価格が下落したことが、コアCPIの前年同月比が11月に大きく低下したことの主因だ。この要因によって、11月の総合指数の前年同月比は、前月と比べて0.13%押し下げられた。 エネルギー価格は、海外でのエネルギー価格、為替動向、政府の補助金政策の変更などによって、毎月大きく振れる傾向がある。 他方、この先の物価のトレンドを見るうえで注目したいのは、生鮮品を除く料品価格の上昇ペースが着実に鈍ってきていることだ。11月分についても、それは総合指数の前年同月比を、前月と比べて0.18%押し下げている。

    コアCPIは低下傾向を辿り年明けには2%に接近:賃上げの逆風に(11月全国CPI)
    atahara
    atahara 2023/12/25
    「2023年の水準から大幅に加速し、それがサービス価格及び物価上昇率全体に大きな上昇圧力をかけることは考えにくい。賃金上昇率を決める大きな要因である物価上昇率が低下することが、賃上げの逆風と」
  • 予想を上回った9月米国雇用統計:金融不安定化の懸念が燻ぶる

    9月の雇用者増加数は過去8カ月で最大に 米国労働省が10月6日に発表した9月分雇用統計で、非農業雇用者数は前月比33万6,000人増加した。増加幅は過去8か月で最大となり、上方修正された前月8月の22万7,000人増を大幅に上回った。 足元の金融市場では米国長期金利が上昇を続ける中、ドル高傾向が強まる一方、株価が調整している。世界的にも金融市場が不安定化している悪いタイミングで、この予想外に強い雇用統計が発表されたことになる。 9月は、幅広い業種で雇用者数は増加した。レジャー・接客は9万6,000人増加と、全体の雇用増加を主導した。そのうちレストランとバーは6万1,000人増加し、コロナ禍前の水準を回復した。ヘルスケアは4万1,000人増、製造は1万7,000人増となった。全米自動車労働組合(UAW)のストライキによる影響は9月の統計には反映されていない。一方、ハリウッドのストの影響で、映

    予想を上回った9月米国雇用統計:金融不安定化の懸念が燻ぶる
    atahara
    atahara 2023/10/10
    「しかし、10年の期待インフレ率が2.2%~2.3%で安定を続ける中、5%に接近する10年国債利回りの実質水準は3%に近く高すぎると考えられる。株価下落、銀行不安の再燃、景気減速の兆候などをきっかけに、長期金利は」
  • 米銀の貸し渋りは富裕者層を対象に:サブプライムローン問題からジャンボモーゲージ問題へ

    続く米銀の貸し渋り 米銀の貸し渋り傾向が続いている。今春の米銀破綻を受けて、中堅・中小銀行は預金の流出を強く警戒するようになった。預金流出が、銀行の信用不安の高まりを示す指標としてにわかに注目されるようになったためだ。そして預金流出を抑えるために、各行は預金金利を引き上げている。 しかし預金金利の引き上げは、銀行の利鞘を縮小させ、収益を悪化させてしまう。利鞘は縮小しても貸出のボリュームを増やすことで、収益を回復することができるが、実際はそうはなっていない。米銀の貸出は前年比で減少しているのである。 これは、大幅な利上げの影響で企業や個人の資金需要が弱いことに加えて、銀行が貸出を抑制しているためだ。貸出資産を抑えることで、自己資比率を引き上げて信用力を高める狙いがあるが、それに加えて、貸出の信用リスクの上昇にも警戒し始めているのである。 「ジャンボモーゲージ」で高まる銀行のリスク 2008

    米銀の貸し渋りは富裕者層を対象に:サブプライムローン問題からジャンボモーゲージ問題へ
    atahara
    atahara 2023/09/26
    「現在、銀行からの貸し渋りに直面しているのは、リーマンショック時の信用力の低い層ではなく、信用力の高い富裕者層である。彼らの住宅投資や消費が、大幅利上げと銀行の貸し渋りの影響を強く受けて一段と縮小」
  • 米国で商業用不動産価格はリーマンショック時以来の本格下落に

    米国のオフィス価格はピークから16.5%下落 中国では、不動産価格の下落が個人消費の下振れなど経済活動を低迷させるとともに、不動産関連投資に傾倒した信託商品、理財商品など資産運用商品の債務不履行(デフォルト)を生じさせている。いわゆるシャドーバンキングの問題である。 他方、米国でも商業用不動産の価格の下落が続いており、経済活動に悪影響をもたらすとともに、中堅・中小銀行の不良債権問題を生じさせる可能性が出てきている。 グリーンストリートアドバイザーズが算出している米国の商業用不動産価格は、2022年4月から最新の2023年8月まで16.5%下落している。リーマンショック時以来の格的な下落だ。 リーマンショック時には、下落局面は1年9か月に及び、下落幅は36.7%となった。今回の下落局面は、8月までで1年4か月となっており、リーマンショック時を上回る長さとなる可能性もあるだろう。 商業用不動

    米国で商業用不動産価格はリーマンショック時以来の本格下落に
    atahara
    atahara 2023/09/25
    「このように、価格が大幅に下がった後に、不動産市場に資金が流入し、それが不動産市場の回復につながっていくだろう。ただし、不動産価格が下落する中では、銀行貸出の劣化が進み、不良債権問題が深刻化する可能」
  • 金融市場の早期利上げ観測に水を差した日銀総裁記者会見

    インタビュー記事の解釈は誤っていたか 9月22日の金融政策決定会合で、日銀行は大方の予想通りに政策維持を決めた。ただし、金融市場の関心は、会合での決定よりも会合後の総裁記者会見での発言に向けられていた。 2週間前の読売新聞のインタビューで、植田総裁が「年内にも政策修正の判断ができるようになる可能性はゼロではない」と発言したことを受けて、日銀行の政策姿勢が変化し、マイナス金利解除の実施時期が早くなる、との見方が金融市場で強まったためだ。 インタビュー記事での発言の真意に関する総裁への質問は、さっそく記者会見の冒頭で幹事社によって出された。それに対する植田総裁の説明は、「政策姿勢に変化はない」ことを示すものであった。金融市場の受け止めについては「コメントを控える」としたが、「物価目標の達成がなお見通せない現状では、金融緩和を粘り強く続けていく」、「先行きの経済、物価の不確実性は高く、政策は

    金融市場の早期利上げ観測に水を差した日銀総裁記者会見
    atahara
    atahara 2023/09/24
    「一部企業で価格転嫁が遅れて実施されていることが、物価上昇率の低下ペースが緩やかな背景であり、それについても「そろそろピークに近い」との明確な見方を総裁は示した。先行き物価上昇率が低下していくとの見」
  • コアCPIは来年年初に2%程度まで低下し春闘の賃上げ率を抑える(8月CPI)

    料品の価格が注目 総務省が22日に発表した8月分全国消費者物価統計で、コアCPI(除く生鮮品)は前年同月比+3.1%と7月の同+3.1%と同水準となった。8月東京都区部のコアCPIは同+2.8%と、7月の+3.0%から低下したことから、全国コアCPIの前年同月比も事前には低下が予想されていた。 電気代の低下などを受けて、エネルギー関連品目は前年同月比を7月と比べて0.10%押し下げた一方、宿泊料は前年同月比+18.1%上昇し、前年同月比を0.04%押し上げた。 先行きについては、7月以降の原油価格上昇、円安の影響で、電気料金が上振れることが見込まれる。他方で、前年同月比を現時点で+2.08%押し上げている料(除く生鮮品)価格の上昇率が低下していくことから、全体としては緩やかな低下基調を辿るとみられる。 調理費、菓子類など料(除く生鮮品)は、前年同月比が4か月連続で+9.2%と

    コアCPIは来年年初に2%程度まで低下し春闘の賃上げ率を抑える(8月CPI)
    atahara
    atahara 2023/09/22
    「日本銀行は、ベアで3%程度が2%の持続的な物価上昇と整合的、との見方(略)しかし、今年2%強のベアが来年3%程度までさらに加速する可能性は高くない。賃金交渉に大きな影響を与える物価上昇率が低下傾向」
  • 労働市場の過熱緩和を示した8月米国雇用統計:利上げ打ち止め観測が強まる

    堅調な雇用情勢に変調も急速に冷え込んでいる訳ではない 米労働省が9月1日に発表した8月分雇用統計は、労働市場の過熱が緩和方向にあることを改めて裏付ける内容となった。他方、労働市場が急速に冷え込んでいるとの証拠もまだ見られていない。 8月の非農業雇用者増加数は前月比18万7,000人増加した。増加幅は、過去12か月の平均値である27万1,000人を大きく下回り、また3か月移動平均は15万人増と、コロナショック後の2020年3月以降で最低となった。 事前予想の平均である約17万人増加を若干上回ったものの、6月分と7月分の増加数が合計で11万人下方修正されたことを踏まえると、雇用者増加数は全体として事前予想を下回ったと言える。 ただし、8月分雇用統計は一時的、技術的な要因によってかく乱されており、数字の評価が難しい点もある。 米国の映画製作の中心地であるハリウッドでは、俳優ら16万人が加盟する組

    労働市場の過熱緩和を示した8月米国雇用統計:利上げ打ち止め観測が強まる
    atahara
    atahara 2023/09/04
    「コロナ問題を受けて、労働市場から一時的に退出していた労働者が労働市場に戻るという正常化がかなり進んできており、その結果、労働需給のひっ迫は緩和、それを映して賃金上昇率は低下」
  • 平時には容易に戻らない歳出規模:2024年度予算概算要求

    概算要求額は過去最高に 財務省は31日に、2024年度予算の各省庁による概算要求を締め切った。具体額を示さない事項要求を除く概算要求の総額は、2023年度予算では110兆484億円だったが、2024年度はこれを上回る114兆円程度となる見通しだ。その場合、過去最大となった2022年度予算の概算要求額である111兆6,559億円も上回る規模となる。 2023年の骨太の方針で政府は、持続可能な財政政策運営を謡い、「コロナ禍を脱し、歳出構造を平時に戻していく」とした。しかし実際には、コロナ問題が終息に向かい、財政を取り巻く環境は平時となっても、歳出規模はなかなか正常化しない。 2024年度予算には、岸田政権が優先課題に掲げる「防衛費増額」、「少子化対策」、「グリーントランスフォーメーション(GX)投資」の3分野が影響し、歳出増加に弾みがつく形となっている。他方で、いずれの政策についても、財源が固

    平時には容易に戻らない歳出規模:2024年度予算概算要求
    atahara
    atahara 2023/09/01
    「新規国債発行で財政赤字が穴埋め(略)それは、将来の需要を前借することになり、将来の需要の期待を低下させることになる。その結果、中長期の成長期待を低下させた企業は設備投資、雇用、賃金を抑制し、潜在成」
  • ジャクソンホールで金融緩和の枠組み堅持の姿勢を示した日銀植田総裁

    中国経済への懸念を示す植田総裁 米カンザスシティ連銀主催の国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が、24日から26日の日程で開催された。今年のテーマは「世界経済の構造変化(Structural Shifts in the Global Economy)」だった。最終日の26日には「転換点にあるグローバリゼーション(Globalization at an Inflection Point)」と題するパネルが開かれ、日銀行の植田総裁も参加した。 公表されている講演資料と報道によると植田総裁は、アジア地域の経済統合の進展や日の貿易、直接投資の構造変化について説明した模様だ。地政学リスクの高まりを反映して、日企業は中国から他国あるいは日に生産拠点を移す動きを強めている。円安進行の後押しもあり、生産の国内回帰の傾向が強まっているのである。 生産の国内回帰は、設備投資の増加や雇用増加など

    ジャクソンホールで金融緩和の枠組み堅持の姿勢を示した日銀植田総裁
    atahara
    atahara 2023/08/29
    「最近の発言からも、中国を中心とする海外経済の下方リスクを植田総裁は重視する姿勢がうかがわれる。この点は、日本銀行に、政策修正の実施を当面慎重にさせる要因となるだろう。」
  • 労働力不足でスタグフレーションの様相を強めるロシア経済

    ルーブル安、物価高、大幅利上げの三重苦 ロシア連邦統計局が8月11日に発表した2023年4〜6月期のGDPは、前年同期比で+4.9%となった。5四半期ぶりのプラス成長である。しかしこれは、ウクライナ侵攻直後であった前年同期に、ロシア経済が大幅に落ち込んだことの反動によるところが大きく、ロシア経済が格回復に転じたことを示すものではない。 ロシア経済にとって差し迫った問題は、歯止めがかからないルーブル安、それによる物価高、さらに通貨防衛のための大幅利上げによる景気抑制の三重苦である。物価高や経済の悪化は通貨安に跳ね返り、それが物価高をさらに促すという悪循環に陥るリスクもある。 ロシア中央銀行は15日に臨時の金融政策決定会合を開き、政策金利を8.5%から13%へと一気に引き上げる措置を決めた(コラム「歯止めがかからないルーブル安とロシア中銀の大幅金融引き締め」、2023年8月15日)。消費者物

    労働力不足でスタグフレーションの様相を強めるロシア経済
    atahara
    atahara 2023/08/22
    「ロシア経済にとって差し迫った問題は、歯止めがかからないルーブル安、それによる物価高、さらに通貨防衛のための大幅利上げによる景気抑制の三重苦である。物価高や経済の悪化は通貨安に跳ね返り、それが物価高」
  • ロシアの軍需経済化が進めるルーブル安:ロシア経済は供給制約と潜在成長率の低下に直面

    進むロシアの軍需経済化 ロシア中央銀行は、ルーブルの下落に歯止めをかけるために、8月15日の臨時の金融政策決定会合で政策金利を一気に8.5%から12.0%に引き上げる大幅な金融引き締めを実施した。しかし、ルーブル安に歯止めをかけることには成功していない(コラム「歯止めがかからないルーブル安とロシア中銀の大幅金融引き締め」、2023年8月15日)。 そこでロシア政府は、輸出企業に対して獲得した外貨の一定割合を強制的にルーブルに交換させる資規制を導入することを検討した。これは昨年一度導入し、ルーブルの安定に効果を発揮した施策であるが、企業の反対を受けて再導入を見合わせた。 年初からルーブル安に歯止めがかかっていないのは、ウクライナ戦争から1年が経過する中、ロシア経済が変質していることの反映でもある。ロシア経済はマイナス成長から脱しつつあるように見えるが、その背景には、先進国からの制裁逃れが広

    ロシアの軍需経済化が進めるルーブル安:ロシア経済は供給制約と潜在成長率の低下に直面
    atahara
    atahara 2023/08/22
    「ロシア政府が軍事関連の需要を作り出していることで、経済に無理が生じており、それが摩擦熱であるかのように、ルーブル安、物価高、賃金上昇を生んでいるのである。これは、ロシアが戦争を継続している間は解消」
  • 深まる中国シャドーバンキング(影の銀行)の問題

    信託会社・中融の問題は当初考えられていたよりも深刻 中国不動産不況が、金融セクターに波及し始めている。現在、その中心にあるのが、銀行ではない金融機関・商品、「シャドーバンキング(影の銀行)」である。その中でも、現在特に注目を集めているのが信託業界だ。中国最大級の資産運用会社の一つである中植企業集団の傘下にある、信託会社・中融が組成した高利回りの信託商品でデフォルト(債務不履行)が生じたと、顧客3社が11日に明らかにした。中融は中国で9番目に大きな信託会社である。 その後、中融が明らかにしたところでは、同社は8月8日に信託商品の支払いができなかっただけでなく、7月下旬から少なくとも他に10件の支払い遅延が生じている。少なくとも30商品の支払いが滞っているという。 またデータプロバイダーのユーストラストによると、中融には今年満期を迎える総額395億元(約7,900億円)の高利回り商品がまだ2

    深まる中国シャドーバンキング(影の銀行)の問題
    atahara
    atahara 2023/08/19
    「多くの信託会社は地方政府や国有企業が株主になっており、一部の融資は地域のインフラ計画を支えている。そのため、信託商品には政府による暗黙の保証が付いている、とみなされることが多い。そのため、信託商品」
  • 物価上昇圧力の低下傾向を裏付けた米国7月CPI

    財コアは下落幅が拡大しデフレ状態 米労働省が10日に発表した7月CPIは、物価上昇率の低下傾向を裏付けるものとなった。CPI全体の前年同月比は+3.2%と前月の同+3.0%から上昇したものの、これは前年の水準によるところが大きく、事前予想の+3.3%を下回った。 前月比は+0.2%と前月と同水準の比較的低めとなった。料・エネルギー除くコアCPIは前月比+0.2%と、これも前月と同水準の比較的低めとなり、前年同月比は+4.7%と低下傾向を続けた。 CPI全体の前月比上昇のうち、9割は家賃の上昇によるものだ。しかし家賃の前月比上昇率も+0.4%と6月と同水準に留まり、5月の同+0.6%などと比べて上昇ペースは鈍ってきている。 財コア指数(除く料・エネルギー)は前月比-0.3%と前月の同-0.1%から下落幅を拡大させた。景気減速などを映し、財の価格は既にデフレ状態に陥っている。他方、サービス

    物価上昇圧力の低下傾向を裏付けた米国7月CPI
    atahara
    atahara 2023/08/15
    「FRB)は、早期の利上げ打ち止め観測が、株価上昇、長期金利低下、ドル安を通じて金融引き締めによる物価、インフレ期待の抑制効果を損ねてしまうことを強く警戒している。そのため、9月のFOMCで追加利上げが実施さ」
  • 世界経済『静かなる危機』②:中国経済は日本化するか?(下):日本のバブル崩壊との類似点

    が経験した潜在成長率の低下とデフレ圧力 中国経済が、物価の下落と不動産価格の下落の「ダブル・デフレ」に陥るリスクが高まる中、バブル崩壊後の日の経験が想起されている。中国も日と同じような長期にわたる経済の低迷局面に陥るのでは、との議論が出ている(コラム「世界経済『静かなる危機』①:中国経済は日化するか?(上):ダブル・デフレと深刻なディレバレッジ(資産圧縮)のリスク」、2023年8月8日)。 日のバブル崩壊時と現在の中国経済の状況を比較すると、類似点は比較的多く見出される。最大の類似点は、ともに、潜在成長率が下方に屈曲する局面で生じていることだ。 日は戦後の高度成長期の後、2回にわたるオイルショックなどを経て、潜在成長率は低下していた。潜在成長率の低下に寄与した要因の一つが、人口増加率の低下だった。年間人口増加率は、第1次オイルショックが起こった1970年代半ばの1.4%をピー

    世界経済『静かなる危機』②:中国経済は日本化するか?(下):日本のバブル崩壊との類似点
    atahara
    atahara 2023/08/13
    「ただし懸念されるのは、日本のバブル崩壊後の1990年代ほどには、米国経済が堅調を維持できない可能性があることだ。米国でも不動産価格は下落に転じつつあり、それが中堅・中小銀行の経営不振と企業のディレバレ」
  • 日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)

    銀行は先手を打ってYCCの運営の柔軟化を決定 日銀行は7月28日の金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)に運用を柔軟化する措置を決定した。日の日経済新聞が、日銀行はYCCの枠組みを維持しつつも、10年国債利回りが変動幅の上限を上回ることを容認する案を日銀行が決定会合で議論する、との観測記事を報じていたが、実際そのような決定となった。 従来、日銀行は10年国債利回りの変動幅を0%の目標値から「±0.5%程度」としていたが、日の決定では「±0.5%程度」を目途とする、とより柔軟化した。 これは、+0.5%を上回る利回り上昇を認めない姿勢を維持すれば、利回りが上昇して上限に接近する局面で日銀行が大量の国債買い入れを強いられ、それが日銀行のバランスシートを拡大させる、国債市場の機能を低下させる、事実上の財政ファイナンスの傾向を強めてしまう、といった形で副作

    日銀が長期金利の上昇を容認するYCCの運用柔軟化策を決定(日銀金融政策決定会合)
    atahara
    atahara 2023/08/03
    「賃金上昇率が思ったほど高まらず、実質賃金の下落が長期化するとの懸念が高まれば、個人は消費を控えるようになっていくリスクがある。中期のインフレ期待が安定せずに大きく上振れることは、経済の安定にはマイ」