親戚の家で見つけた『須坂の母ちゃん頑張る』という古い本。 長野県のローカル有名人の体験記などかと思いきや、これは1978年に刊行された、JOICFPドキュメント刊行委員会・著、財団法人家族計画国際協力財団の発行の本だった。 いったいどんな頑張りなのか……手にとってみると、そこには想像とはまったく違う、衝撃的な事実が綴られていた。 冒頭から、ここにご紹介したい。 「ええッ!? 年に五回も中絶したって! 一人がですか」 「そうなんですよ。しかも、それが一人だけじゃない。公式統計に出ただけで、二人もいたんです」 「!?」 「何しろ、年に三回以上も、中絶を繰り返したひとが、長野県下に、なんと三十九人。三十九人も、いたんですよ」 これは昭和25年の数字だそうで、「こと中絶に関する限り、長野県は、日本最悪の多数記録だった」とある。 このこと自体も驚きだが、さらに驚きなのは、これがあくまでも公式統計の話