40年ほど前に亡くなった高見順という作家 (タレントの高見恭子の父親) に、戦前の暗い時代を描いた 『いやな感じ』 という小説があるが、今回の松岡農水相の 「国民の皆様」 に宛てた遺書の最後の言葉を知って、なんだかとてもいやな感じがした。 いうまでもなく、 「安倍総理 日本国万歳」 という言葉のことであるが、いったいどうして、彼は自分の生をこのような奇妙な言葉で締めくくったのだろうか。 断っておくが、これは彼を非難して言っているわけではない。 中国に「人の将に死なんとする、その言うや善し」という言葉がある。『論語』の一節で、孔子の弟子の曾子という人が病床で語った言葉だそうだが、人が死を前にして言う言葉は、偽りのない真実のことばであるというぐらいの意味なのだろう。 だから、たぶん松岡農水相の遺書の言葉にも嘘はないのだろうと思う。だが、だからこそますます暗然としたいやな気持ちがするのだ。 これ