世界タイトルまで行くには、テレビ局がついてくれなあかん。そのためには注目されることが大事や。おまえがプロデビューしたら、オレが適当な相手を見つけてきたる。おまえはとりあえず倒しまくったらええ。プロは倒してなんぼや。連続KOの日本記録を狙うんや 津田の野望は壮大だった。世界王者のトレーナーになる。だが、ボクシング人気全盛の当時、ジムすら持っていない津田がアマチュアで実績を残した才能ある選手に巡り会うチャンスは皆無。津田は考えた。自分で原石を見つけて、磨き上げればいい。有力ジムでない以上、必要なのは「看板」だ。高校インターハイを制して、マッチメイクを工夫してでも「それなりの実績」をつくる。近所でボクシング好きな中学生の竹ノ内秀一に出会い、自宅や公園で二人三脚の練習が始まった。