「イデオン」のメカニック・デザイナー、樋口雄一さんが教える“敵をつくらず生きる自由放埓な創作人生”【アニメ業界ウォッチング第56回】(■) 毎月開催している【模型言論プラモデガタリ】のゲストとしてお呼びして、その前に個展に挨拶に行って……と、三度しかお会いしていないのに、樋口さんの磊落な性格のおかげで、気安く海外旅行の話などもできました。 ■ 『ぼくらの七日間戦争』を見た翌日、戦車と廃墟と立てこもりなら『うる星やつら2 ビューテイフル・ドリーマー』だろう、と思ってAmazonプライムでレンタルした。高校時代に「フィルムコミックを読みながらドラマ編LPを聴く」という変な視聴体験をして、大学に入ってから1回、卒業してから1回見ていると思う。 「ロマンアルバム イノセンス押井守の世界」によれば、この映画は、前作『うる星やつら オンリー・ユー』を「ただのテレビのでかいもの」と反省した押井守監督が、
「きみと、波にのれたら」の愛らしいキャラたちの秘密を、キャラクターデザイナーの小島崇史が明かす【アニメ業界ウォッチング第55回】(■) 昨夜遅く、『きみと、波にのれたら』が上海国際映画祭で最優秀アニメ作品賞(金爵賞)を受賞したニュースが入ってきました。 宣伝会社を通すと、いつも複数社の囲み取材にされてしまうので、小島さんに直接取材を申し込みました。 ただ、宣伝会社が『きみと、波にのれたら』の試写会に招いてくれなければ、そもそも取材を思いつきもしなかったので、僕から担当窓口に連絡して、原稿を見せてから掲載しました。修正は何も入らず、小島さんの若くて貪欲な姿勢が読みとれる記事になったと思います。 出演俳優や主題歌アーティスト中心の宣伝がなされていますが、『きみと、波にのれたら』に関しては正解だと思います。 監督やアニメーターの名前や作風を気にするのは、一部のマニアックな人たちだけで十分。オタク
昨夜は、小学校時代の旧友2人と『シン・ゴジラ』鑑賞。 前回のエントリーで、「日本映画は感情にまかせて、怒鳴ってばかり」といったようなことを書いた。 『シン・ゴジラ』の主人公も、実は一度だけ激昂して怒鳴る。ところが直後に、「まずは君が落ち着け」と、同僚から水の入ったペットボトルを胸に押しつけられ、「すまん」と謝る。 そのペットボトルは、緊急時用に保管されていたものなのだろう、ラベルなどはない。主人公は都心でゴジラの引き起こした大火災から逃れてきたので、背広は汚れているし、怪我も負っている(医療キットが不足している、という短いセリフが入る)。 ガイガーカウンターで放射線量をはからないと、施設に入ることはできない。その時点で、総理大臣をはじめとする中心人物は消息不明となっている。それでも主人公は、仕事をしなければならない。 同じ規格のノートパソコンが、次々と机の上に並べられていく。会議室に仕事場
ここのところ、どんな映画を見ても物足りない。 ジョン・ウォーターズ監督『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』。ハリウッドのメジャー映画とシネマコンプレックスに叛逆するセシル・B・ディメンテッドという男が女優を誘拐し、自作を撮影する。 『ピンク・フラミンゴ』を上映している劇場を「ぴあ」で探しまわり、嫌悪と失望の入り混じった気持ちで帰路についた者としては、歳を重ね、露悪趣味のフリをしたウォーターズの穏やかさがくすぐったい。本当は、ハリウッド・メジャーを憎んでなんかいないし、いろんな映画があっていいんだよ……と、照れ笑いを浮かべているような慈悲深い映画。 『ピンク・フラミンゴ』の頃、確かにウォーターズの居場所はなかったかも知れない。日本での公開は、アメリカに遅れること14年を経た86年だった。その頃の東京は、とにかく貪欲で、どんな得体の知れない映画でもレイトショーで公開し、マイナーな監督の特集上映
永井一郎さんが、亡くなった。 永井さんの思い出というと、まずは『機動戦士ガンダム』なんだけど、特に第13話『再会、母よ…』なんだよね。その時点で、「このアニメは、何かというと永井一郎に役を振る」という認識ができていたので、そのキャスティングの苦しさをちょっと笑いながら見るというか。「また永井一郎かよー!」と笑っていたのは、間違いないね。 『再会、母よ…』は、アムロが地球で母親と再会するエピソード。アムロの乗ってきたコアファイターがジオン兵に見つかると困るって、民間人のお婆さんが出てくる。どう見ても、お婆さんなんですよ。なのに、声が永井一郎さんなの。やっぱり、テレビの前で爆笑して。「お爺さんなら分かるけど、お婆さんまで永井一郎なのかよ!?」って。 だから、劇場版で『再会、母よ…』のエピソードが生かされると知ったとき、気になったよね。あのお婆さんの声、永井一郎のままなのか? 果たして、劇場版で
『夢と狂気の王国』、マスコミ試写。「ジブリというスタジオから見た、四季の風景」といった趣で、女性ディレクターらしい控えめな距離感がある。だが、ジブリ設立当初の古いフィルムなども使われていて、お手軽感はない。 「宮崎駿の喋っているところを、一秒でも長く見ていたい!」という人やジブリ関連の資料本を読み込んだ人には、やや物足りないかも。単に『風立ちぬ』のメイキングであれば、「ロマンアルバム エクストラ」が凄まじいので、あれ一冊あればいいように思う。そのへんの按配は、見る人によるだろうな。 庵野秀明さんが、けっこう師匠のことを語っていて、当時の落書き(宮さんに「人物、下手だね」と言われるヤツ)も出てきて、庵野ラブな人も必見。惚れなおすよ。 意外なところでは、宮崎吾郎さん。けっこう辛いところを撮っていて、あのシーンは、もう少し長く見たかった。 もっとも大事なのは、『風立ちぬ』見て、『かぐや姫の物語』
週末、小学校時代の友人と2人で、地元で『テッド』鑑賞。 80年代ネタが満載で、友人に言わせると、映画だけではなく、音楽ネタもマニアックだという。それにしても、『フラッシュ・ゴードン』の扱いの大きさには、笑いを禁じえない。 自分が少年期に出会う作品は、自分で選びとることが出来ない。だから、必然的に肯定せざるを得ない。主人公も、5歳のときから一緒のテディ・ベアから離れられない。 いつまでも『フラッシュ・ゴードン』を愛するテッドは、主人公のアルター・エゴだ。主人公は恋人との距離を縮めようと心がけているが、テッドは『フラッシュ・ゴードン』ネタで彼を惑わす。テッドのせいで、主人公は社会人として成熟できない。 だから、テッドというアルター・エゴと決別するか、飲み込まれる話だと思った。だって、セックスやドラッグを積極的に楽しむ一方で、『フラッシュ・ゴードン』も同じぐらい熱烈に愛する精神状態って、かなり幸
『たまこまーけっと』第2話が、さり気なくスゴイように思った。 最初は、この『ストップ!! ひばりくん!』みたいな子が、中性っぽくて良いなあ……ぐらいに思っていたんだけど、このみどりって子は、主人公のたまこのことが、好きなのね。だけど、ストーリー的には、バレンタインに乗じて商店街のCMをつくる群像劇がメイン。みどりの秘めたる恋は、傍系的葛藤というヤツです。ところが、傍系的葛藤がメインになっていく。裏技もいいとこでしょう、これ。 (OPで、たまこと目が合ってドキッとするカットは、こういう意味だったのか……。) 商店街のCM話がメインに見えて、みどりの恋が隠れて見えるのは、彼女が誰かに「好き」と言うでもなく、チョコレートを作るとか渡すとかいうアクションを、すべて別のキャラに振ってしまっているから。みどり本人は、何もしない。 「胸が苦しいのであろう」、「誰にも、名前のつけられない気持ちがある」、「
何本も深夜アニメを見ていたけど、『K』が圧倒的にカッコいい。 もちろんのこと、絵づくりがいい。コアに脚本があって、脚本こそが背骨で、映像表現は脚本に隷従していて、何とでも取替え可能と思っている人が多いようだが、少なくともアニメでは違う。映像が、アニメのコア。映像とは、作画やカット割だけではなく、編集や音も含めて。もっと言うなら、セリフも「映像」のうち。セリフを文学的にしか解釈できないと、世界を狭くするよ。 映像があって、映像の奥に脚本があって、脚本はテーマを形づくっているはず――その思い込みは、少なくともアニメに於いては、間違っていると思う。「絵」というものを、誤解していると思う。「絵」を、映像を語るとき、僕らは言葉を使わざるを得ないから、どうしても文学“的”な表現になるだけであって、絵や映像は文学ではない。 第1話で、スケボーに乗った少年が街中を走る、3D背動のすごいカットがあったけど、
2199版ヤマトのオマケに付いてきた、ガミラス三段空母。 軽い気持ちで素組みしてみたが、こんなに難易度、高かったっけ? 接着位置などを「自分で微調整」する難しさは、まぎれもなく「模型を作っている」充実感そのもの。 メカコレ発売当時は小学生だったけど、むしろ小学生だからこそ、この難しさを楽しめたのかも知れない。 一日20話!というペースで『マクロス7』を見ている。『俺の艦長』執筆のため。 「誰にどう思われようと、俺の聞かせたい相手に、俺の歌をうたいたい」バサラの突き抜けた生き方に、心からしびれる。誰だって、こんな風にシンプルに、情熱的に他人とコミュニケーションしたいはず。 ミレーヌの、恥ずかしいほどベタベタな、砂糖菓子のようなルックスが好きだ。お互いに「バカ」と言い合える、恋愛にすら至らないバサラとの関係、愛らしい。 メカのアレンジ具合も、絶妙。ある部分はハードSF、ある部分は適度にアバウト
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