2025年7月号「対話」 社会に出るタイミングで就職難に見舞われた「就職氷河期世代」。 氷河期世代の不遇は様々なかたちで語られてきたが、苦境にいるのはこの世代だけなのか? また、苦境にいる人たちに社会はどのような手当てをすべきなのだろうか。 東京大学社会科学研究所教授 立命館大学産業社会学部教授 近藤絢子
サマーズ元米財務長官はトランプ大統領の政策について、かつて先進国とみられていたアルゼンチンが戦後に発展途上国へと転落した道を米国にもたらす恐れがあると警告した。 サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンで「アルゼンチンは民主的に選出された指導者が民主主義を尊重せず、むしろ独裁的な統治を目指した数年間の政策決定によって、完全に軌道から外れてしまった」と指摘。「これは経済界や政治に関わる全ての人にとって、教訓となるべき事例だ」と語った。 アルゼンチンがカナダやオーストラリア、ニュージーランドなどとともに、天然資源に恵まれた先進国として一部で評価されていた1946年、フアン・ペロンがポピュリスト運動を始めた。ペロン主義は輸入代替と高関税を掲げ、国内産業の振興を図った。シンクタンクの公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)は2023年の分析で、こうした保護主義こそがアルゼンチン経済崩壊の「主要な政策
この記事は“中国、脱「超高層ビル」都市開発で方針転換”というニュースの解説です。 【北京共同】中国の習近平指導部は共産党・政府の高官が都市開発について議論する「中央都市工作会議」を北京で10年ぶりに開き「超高層ビルの建設を厳格に制限する」方針を示した。急速に経済発展した中国は高層ビルの建設を世界と競ったが、必要性への疑問や安全面の懸念が噴出。不動産不況を経て方針転換を明確にした。 中国、脱「超高層ビル」 都市開発で方針転換この方針変換の裏側には「高層マンションはいずれスラム街となるだろう」という予測があります。 中国では急激な経済発展のもとで都市化と不動産開発が加速、20階建て以上のタワーマンションの建築ラッシュが発生しました。 しかし、こうした高層住宅が将来的に「都市型スラム」へと変貌する可能性が指摘されています。 2019年の「予言」以下は2019年に発表された、スラム化する高層マンシ
在留外国人やインバウンド(訪日外国人)が増えるなか、参院選で外国人政策が争点になっている。人口減少が加速する我が国では、社会を維持するうえで外国人はすでに不可欠な存在である。これを大前提に、外国人との共生や社会統合を進める骨太の論戦を期待したい。在留外国人は昨年末で376万人を数える。総人口の3%であり、10%超の欧米に比べれば少ない。だが参院選に関連するSNSの投稿をみると、外国人に関するも
今回の米騒動について、正確な統計が出てからでないとまだ断言できないが、私なりにだいぶ整理がついてきたように思う。しかし、その原因について、分かりやすく包括的に説明した文章があまり出ていないようなので、私なりに現時点での「仮説」としてまとめておこうと思う。 まず、「網下米」について。おコメは収穫されると、網(ふるい)に通して、大粒のものと小粒のものに分ける。網を通過した小粒のコメを「網下米」、網を通らなかった大粒で上等のコメを「網上米」というらしい。そして2023,24年の2年立て続けで、この網下米が減ったという。 原因は、2年とも猛暑でコメが大粒になったこと、品種をコシヒカリとは別のものに切り替えて大粒になりやすかったこと、などがあるらしい。網を通過しなかった大粒の網上米はそれなりの量(平年並み)がとれたようなのだけれど、網下米がえらく減った。2年で約30万トンの不足(図1)。 図1 商社
政府が6億ウォン以上の住宅担保融資を禁止する超高強度の融資規制を実施した29日、ソウル松坡区のロッテワールドタワーの展望台「ソウルスカイ」から眺めたソウル市内のマンション集合地/聯合ニュース 米国プリンストン大学のアティフ・ミアン教授は共著『ハウス・オブ・デット 銀行でもなく、国家でもなく、個人を救え』で、様々な国の事例をあげ、「不動産バブルは常に家計負債の膨張が先行する」と述べている。不動産の価格が実際の価値以上に高騰した例を調べると、常に低金利環境においてモーゲージ(住宅担保ローン)などの家計負債が急激に増えていたという分析だ。2008年のグローバル金融危機へとつながった米国のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)事態以降も、「住宅価格は上がり続けるから、とりあえず借金して買え」とそそのかした融資機関があり、返済能力がないのに大きな借金を抱えた人々がいた。 韓国でも「住宅価格は上
台湾で稼働している最後の原子力発電所が17日に停止し、民進党政権が進めてきた「原発ゼロ」が実現することになります。今後、電力の安定供給に向けて、再生可能エネルギーへの転換を進めていけるかが焦点です。 台湾では、東京電力福島第一原子力発電所の事故などを受けて、原発の安全性に不安を訴える声が高まり、「原発ゼロ」を公約に掲げる民進党政権が順次、運転を停止してきました。 17日は、台湾南部の屏東県で稼働している最後の原子力発電所が停止する予定で、「原発ゼロ」が実現することになります。 台湾の経済当局は、原発にかわってLNG=液化天然ガスを燃料にした火力発電の発電能力を増強するほか、風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる発電量の割合を、現在のおよそ15%から、来年には20%に引き上げる方針で、海外企業の参入が相次いでいます。 ただ、産業界や野党からは、台湾経済を支える半導体などの生産に必要な電力
国が保有する情報のうち、経済安全保障上、重要なものへのアクセスを民間も含めて国が信頼性を確認した人に限定する「セキュリティークリアランス」制度の運用が16日から始まりました。 セキュリティークリアランス制度は、漏えいすると日本の安全保障に支障を来すおそれがある国の情報を「重要経済安保情報」に指定し、民間も含めて国が信頼性を確認した人に限ってアクセスできるようにするもので5月16日から運用が始まりました。 対象となる情報は、サイバー攻撃の脅威への対策や日本が優位性を持つ技術に関わるもの、それに海外依存度の高い重要物資のサプライチェーンに関するものなどが想定されています。 情報を漏らした場合には5年以下の拘禁刑や500万円以下の罰金が科されることになります。 また、情報を扱う候補者には本人の同意を前提に国が個人情報を調べることになります。 調査の対象は、国籍や学歴、職歴のほか、犯罪歴、それにい
Old habits die hard. Photographer: Bloomberg/Bloomberg 石破茂首相はトランプ米大統領と7日に行った電話会談を踏まえ、関税を巡り米政府との本格的な交渉に乗り出す方針だ。一方で、米国側をどう説得すればいいのか、石破氏が考えあぐねている様子もうかがえる。 その理由はトランプ氏らから出た最近の発言を聞けば容易に理解できる。同氏は先週、トヨタ自動車は「米国で100万台の外国製自動車を売っているが、ゼネラル・モーターズ(GM)は日本ではほとんど売れない」と関税政策に触れながら述べた。 「フォードはほとんど売れない。わが国の企業はどこも外国に進出できない」と付け加え、日本など各国が「非金銭的制限」を設けていると非難した。 トランプ氏のアドバイザー、スティーブン・ミラー氏によるXへの投稿はさらに強烈な不満を発している。 「なぜ米国の道路は欧州や日本の車
ドナルド・トランプ大統領は、「解放の日」と銘打ち、アメリカの輸出に対する貿易相手国の関税、非関税障壁、通貨障壁を相殺するめに慎重に調整されたとする輸入関税の導入を宣言した。しかし米国通商代表部(USTR)の公表した計算の詳細によると、この関税の実際の効果は、アメリカに最大の利益をもたらす貿易分野を最も的確に縮小することになるだろうことを示している。関税による貿易縮小の結果、アメリカの消費者と企業は直撃を被るだろう。株式市場が急落するのも当然だ。 この関税計画は、そもそも国家の貿易の根源的な仕組みについて基礎的な誤解を示している。国家(アメリカ)は貿易を行うことで、一部の貿易相手国との間に貿易赤字(2国間赤字)を計上し、他の国との間で貿易黒字(2国間黒字)を計上することになる。この仕組みは、比較優位の作用を反映したものである。例えば、アメリカはアルミニウムを最も効率的に生産できる国からアルミ
関税強化に突き進む米トランプ政権。それを進言した政権ブレーンの一人として注目を集めるのが、米保守派論客でエコノミストのオレン・キャスさんだ。政権幹部や一連の政策に影響を与えながら、自身は政権には入ら…
トランプ大統領は2日、ホワイトハウスで演説し、「まもなく世界中の国々に対して相互関税を導入する歴史的な大統領令に署名する。つまり、相手がわれわれに対して行うことはわれわれも相手に対して行うということだ。非常に単純な話だ。これほど単純なことはない」と述べ、貿易相手国の関税率や非関税障壁を踏まえて自国の関税を引き上げる「相互関税」を導入する考えを明らかにしました。 ホワイトハウスによりますと、すべての国や地域を対象に基本の関税率を設定し、一律で10%を課すとしています。この措置はアメリカ東部時間の今月5日に発動するということです。 さらに、国や地域ごとに異なる税率を上乗せする形で設定し、日本については24%の関税を課すことを明らかにしました。 この理由として、アメリカにとっての非関税障壁を考慮すると、日本はアメリカに対して46%の関税を課していることに相当するためだとしています。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は28日までに、トランプ米大統領が関税引き上げを理由に自動車の販売価格を上げないよう大手自動車メーカーに警告したと報じた。今月上旬に各社幹部を集めた電話協議で発言したという。 報道によると、トランプ氏は電話協議で「関税を理由に値上げしない方が良い。ホワイトハウスはそのような動きを好ましく思わない」と発言した。参加した幹部は動揺し、値上げすれば罰則的な措置を受けるのではないかと恐れていたという。 トランプ氏は電話協議で、製造拠点の米国への移設など関税引き上げの利点を強調。電気自動車(EV)推進策の見直しや厳格な排ガス規制の緩和など、トランプ政権の自動車政策がバイデン前政権に比べ、いかに優れているかについても語ったという。
法人税の減税をめぐり、石破総理大臣は、参議院財政金融委員会で、企業の内部留保に回っただけではないかと指摘されたのに対し、想定した効果をあげられなかったとして、今後、改革に取り組む考えを示しました。 法人税をめぐり、政府は、海外の企業の誘致を進め競争力を強化するため、2014年度から実効税率を段階的に引き下げ、2018年度からは29.74%としています。 これに関連して、共産党の小池書記局長は27日の参議院財政金融委員会で「法人税の減税は効果があったのか。結局、賃上げや下請けの支援には回らず、企業の内部留保を積み上げただけではないか」と指摘しました。 これに対し石破総理大臣は「指摘のように、法人税を下げたことが決して思ったような効果をあげなかった。深い反省のもとに、これから先、法人税改革に取り組んでいく」と述べました。 その上で、消費税も含めて税制のあり方を見直すべきだと求められたのに対し「
大西洋の反対側で米製品を不買するM・オサリバンさん(右)とJ・ブラックレッジさん/James Blackledge/Moya O’Sullivan ロンドン(CNN) モヤ・オサリバンさんは家の戸棚をのぞき込み、問題に気付いた。クリームチーズに歯磨き粉、マウスウォッシュ、ウイスキー、ソフトドリンクは全て米国製。処分せざるを得なかった。 オサリバンさんはCNNの取材に答え、「フィラデルフィアの(クリーム)チーズはもう買わない」「オレオもそう」と話す。洗面所の戸棚にあったオーラルBとリステリンは既に取り替え済み。ドリンクキャビネットからはジャックダニエルとコカ・コーラが姿を消した。 オサリバンさんは29歳。アイルランド南部のキルケニーで子どもたちに歴史と英語を教えているが、買い物リストの中身を変えることで7700万人の米国人にも教訓を学んで欲しいと考えている。この人々は米大統領選で2期目の就任
「米国ファースト」のオーラに陰り、米国株とドルの軟調が鮮明に Bailey Lipschultz、Carter Johnson An image of US President-elect Donald Trump next to a "Trump" hat on the floor of the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, US, on Tuesday, Dec. 31, 2024. US stocks dropped during the last trading session of an otherwise stellar year as investors ponder the monetary policy outlook for 2025. Photographer: Bloomberg/Bloomberg 金融市場
「かれこれ十数年、マーケットを見ているが、見たことない」 マーケットの専門家をしてこう言わしめるほどの急上昇。長期金利の上昇が止まりません。 住宅ローンの固定金利、定期預金の利息と暮らしに深くかかわる長期金利。 もう一段の上昇もあるか そんな声さえ聞かれ始めました。 (経済部記者 横山太一) 低調がもたらす急上昇 長期金利は日本国債(以下、国債)の取り引きで決まります。 いったい何が起きているのかを探るため、今月大手証券会社の債券ディーリングルームを訪ねてみました。 各種ある国債のうち「10年ものの国債」の利回りが長期金利の代表的な指標です。 モニターには、国債価格から算出された利回り(=長期金利の水準)が表示され、ディーラーは売り手の「売りたい水準」と買い手の「買いたい水準」を突き合わせる『板』を見ながら取り引きをしていました。 国債は、発行する財務省でまず入札が行われ、プライマリー・デ
国際的な投資マネーの流れは、歴史に残るような貿易戦争が始まる兆しや欧州の大規模財政出動、最先端技術開発競争における中国の台頭などを受け、急変しつつある。2020年2月、ニューヨーク証券取引所で撮影(2025年 ロイター/Lucas Jackson) [ロンドン 5日 ロイター] - 国際的な投資マネーの流れは、歴史に残るような貿易戦争が始まる兆しや欧州の大規模財政出動、最先端技術開発競争における中国の台頭などを受け、急変しつつある。投資家にとっては、米国から本格的に資金が逃げ出す一大転換点が出現した可能性が示されている。 中国は5日、追加の経済対策を打ち出すとともに、トランプ米政権が仕掛ける貿易戦争の悪影響を和らげる取り組みを強化すると約束。その直前にはドイツで次期政権樹立に向け連立交渉中の各政党が、東西ドイツ統一以降最も大きな財政政策の見直しに合意した。
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