武田 安恵 日経ビジネス記者 大学院卒業後、2006年日経ホーム出版(2008年に日経BPと合併)に入社。日経マネー編集部を経て、2011年より日経ビジネス編集部。主な担当分野はマクロ経済、金融、マーケット。 この著者の記事を見る
日経ビジネスの3月23日号で、日本の「貧困」をテーマにした特集を掲載した。日本の「相対的貧困率」は16.1%に上昇し、年122万円未満で生活する人は2000万人を超える状況になった。これだけ膨れ上がった貧困の実態を見つめることは、この国の停滞を考える上で必要不可欠だ。 日経ビジネスオンラインでは、特集の連動企画として、誌面に収めることができなかった内容について連載する。第1回は、ある女性の話をしたい。特集の執筆を終えた今でも、頭にこびりついて離れない一言を発した女性だ。 「誰かと誰かが結婚しました。1年後か2年後か、子供ができて生まれました。そしたら夫婦が愛情を持って慈しみ養育していくわけですよね。それが、私には不思議に思えるんです。違和感がある」 「そうすることはすごいことだと思うけど、自分がそういう道をたどっていけるかと言えば、多分無理だと思う。その状態を自分が幸せだと思えるかと言われ
渡辺 康仁 日経ビジネス副編集長 1994年日本経済新聞社に入社。2002年から2004年まで日経ビジネス記者。日経新聞に戻り、編集局経済部などを経て2013年から日経ビジネス副編集長。アベノミクスの行方に関心を持つ。 この著者の記事を見る
トラック運転手の間で「心癒される運搬先」と評判の産業廃棄物処理会社がある。 場所は、埼玉県入間郡三芳町。かつて「産廃銀座」とも呼ばれた「くぬぎ山地区」だ。武蔵野の雑木林のなか、産廃会社が軒を連ねるアスファルト道路に突如、縁日の屋台を彷彿とさせる露店が姿を現す。その店先には地元特産の農産物やお弁当などが並ぶ。猛暑の日には、打ち水がなされ、塩を振った冷やしトマトやきゅうりが無料で運転手に配られる――。これが、異色の産業廃棄物処理会社、石坂産業のエントランスだ。経済産業省の「おもてなし経営企業選」にも選ばれた。 会社を率いるのは、2児の母でもある2代目経営者。その独自の経営戦略を、波乱の半生から得た教訓とともにつづる。 「あなたたち、いい加減なことをやっているんじゃないでしょうね!」 「見せてくれるというなら、じっくり見てやろうじゃないか」 なんだか穏やかではありませんね。 けれど、そのとき、私
たかの友梨ビューティクリニックが、問題になっている。 「ブラック企業、パワハラ、マタハラ」――。 ネット上では、そんな言葉が飛び交っている。 「暴き出したりなんかして、会社をつぶしてもいいの」 「労働基準法にぴったりそってたら、(会社は)絶対成り立たない」 「つぶれるよ、ウチ。それで困らない?」 これらは高野友梨社長が、女性従業員(仙台店勤務)に発したとされる言葉である。 この女性従業員は、残業代一部未払い問題を労働基準監督署に申告した。それを知った高野さんが仙台市を訪れた。仙台店の従業員15人や店長らを飲食店に集め、約2時間半にわたり件のような持論を展開したのだという(日経新聞の記事はこちら)。なお、同クリニックを経営する不二ビューティの担当者は「減額は計算ミス。すでに是正した」と話している。 ブラック企業――。定義すらあいまいなこのレッテルが企業に貼られる時、必ずといっていいほど、その
「あなたの会社の社長の年収はいくら?」。そう問われて即答できる人は少ないだろう。 一般人からはうかがい知れない部分が少なからず残る役員報酬。サラリーマン社長が多く人材流動性が低い日本では、経営者の「相場」が形成されてこなかった経緯もある。 だが、今や経営にも「プロ」が求められる時代となった。プロスポーツ選手の価値を示す年俸が公開されるのが当たり前のように、役員報酬の透明性を高めることで結果(業績)につなげようとする動きが顕著になってきた。 本稿の末尾では東京商工リサーチがまとめた報酬ランキングを一挙掲載している。あなたの会社、取引先の役員報酬は載っているだろうか。 2013年度、日本で最も稼ぐ経営者となったのは、9億9500万円を稼いだ日産自動車のカルロス・ゴーン社長だった(退職慰労金を除く、東京商工リサーチ調べ)。 その金額を初めて明らかにした日産の株主総会で、ゴーン氏は自身の高額報酬の
インターネットが普及期に入りつつあった1997年2月、東京都港区にある愛宕神社近くのオフィスビルの一室でエム・ディー・エム(MDM)という会社がひっそりと生まれた。「マジカル・デジタル・マーケット」。その会社はその年の5月、まるで魔法のようにデジタルショップを開けるEC(電子商取引)モール「楽天市場」を世に送り出した。楽天市場の初月の流通総額は32万円足らず。だが、それから17年が経ち、同社の流通総額は1兆7000億円を超えるまでに成長した。 日本のEC市場の歴史を紐解く上で、楽天の存在は欠かせない。銀行や証券会社、保険、クレジットカード事業など幅広く事業を拡大し、ポイントを核とした「楽天経済圏」と呼ぶ独自のビジネスモデルを作ったのは、現会長兼社長の三木谷浩史氏だ。同社は楽天市場の海外展開を進め、最近ではデジタル事業への投資も活発化させている。それに伴い、優秀な人材が各界から集う今もなお、
どうも最近、面白いテレビ番組が減ってきた。ソファに寝そべり、リモコン片手に地上波のチャンネルをザッピングしても見たい番組がない。致し方なく地上波からBSへと、チャンネルを移す。すると決まっていくつかのチャンネルで通販番組が放送されている。 MC(司会者)の女性が早口であの手、この手で視聴者に商品の魅力を訴えていく。 「注文が集中しています」。画面上に表示されているオーダー数が、みるみる増えていく。 「深夜にこんな数の注文、ありえるはずがないよね。しかもBSだし。買わせるための、一種のやらせでしょ。あー、だからテレビは、やだわ」。隣の妻がつぶやく。 しゃべりまくって、売りまくる 私はこの手のテレビ通販を一度も利用したことがない。しかし、テレビ番組としては下手なバラエティーを見ているよりも面白い時がある。MCはよくもまあ、これだけテンションが保てるなあ、と思う。 某日、深夜零時ごろ。ドイツ製の
アマダは2016年4月にも持ち株会社に移行する方向で検討に入った。家電から鉄道車両まで幅広い金属製品の加工機械メーカーで、特に板金機械では世界有数のシェアを持つ。経営戦略を立案する持ち株会社「アマダホールディング」(仮称)を設立。傘下に「板金」「切削」「溶接」といった各機械事業がぶら下がる。樹木に例えると持ち株会社が幹となり、各事業会社は枝葉になる。 持ち株会社自体は目新しい組織形態ではない。既に大企業では三菱UFJフィナンシャル・グループ、NTT、第一三共、コニカミノルタホールディングスなどが導入済み。それでもアマダがあえて持ち株会社化に踏み切る背景には、金融・資本市場の厳しい洗礼を受けた経験が生きている。 きっかけは日本証券取引所グループが算出している「JPX日経インデックス400」(JPX日経400)に漏れたことだった。同グループはROE(自己資本利益率)や営業利益などの財務データに
日経ビジネス7月14日号の特集「コンテンツ強国へ この“熱狂”を売れ!」で、力強く世界へと打って出る日本のコンテンツ産業を追った。表紙を飾ったのはアーティストのきゃりーぱみゅぱみゅ。今年2月、米サンフランシスコでライブをした時のワンショットだ。 きゃりーが活躍の舞台を世界に広げている。ということは、何となくご存知だろう。だが、その内実や舞台裏は、あまり知られていない。今回、きゃりーのCDを世界展開することに成功したワーナーミュージック・ジャパン。その名誉会長を務める石坂敬一氏のインタビューをもとに、きゃりー世界進出の舞台裏を紐解く。 「おっしゃ Let's 世界征服だ」――。耳に残るエレクトロナンバー「インベーダーインベーダー」。リリースから1年強、きゃりーぱみゅぱみゅは“世界征服”への足がかりとなるかもしれない快挙を成し遂げた。CDの世界展開だ。 きゃりーの新作CDアルバム「ピカピカふぁ
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