米南部オクラホマ州で4月下旬、死刑執行の薬物注射に失敗し、執行中に死刑囚が苦しみながら死亡する騒動があり、米国で死刑をめぐる議論が再燃している。各種世論調査では、米国民の半数以上は死刑制度に賛成しているが、「その数は年々減っている」(調査会社)という。死刑反対派は今回の騒動を「残酷すぎる」と非難し、執行方法の問題点を指摘することで廃止に導こうと躍起だ。(ロサンゼルス 中村将) 「ベッドに拘束された彼は右足を蹴り上げた。頭を左右に振り、何かつぶやいた。その後、苦しみ、うめき声をあげた」。女性(19)を銃撃し生き埋めにして殺害するなどした罪に問われたクレイトン・ロケット死刑囚(38)の刑の執行に立ち会った地元紙の記者は、4月29日の様子について記している。 オクラホマ州の死刑は、3種類の薬物を段階的に投与する方法で執行される。鎮静剤に続き、筋弛(し)緩(かん)剤を投与。最後は心臓を止める塩