文:朝宮運河 写真:山田秀隆 皆川博子(みながわ・ひろこ)作家 1930年旧朝鮮京城市生まれ。73年「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。以来、約半世紀にわたりミステリ、時代小説、幻想小説、歴史小説などの幅広いジャンルで旺盛な執筆活動を続ける。85年『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞。86年『恋紅』で第95回直木賞、90年『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞、98年『死の泉』で第32回吉川英治文学賞。2012年『開かせていただき光栄です』で第12回本格ミステリ大賞をそれぞれ受賞。13年には第16回日本ミステリー文学大賞を受賞、15年には文化功労者に選出された。近作に歴史長編『クロコダイル路地』『U(ウー)』、本書の姉妹編にあたる幻想小説集『夜のリフレーン』など。 「驚異的なクオリティ」の短編群 ――『夜のアポロン』は1970年代、80年代に書かれた初期作品を中心に