本来の柏(漢名)はシダレイトスギ(柏木)もしくはヒノキ科の常緑樹、日本語の中ではハクと読む。カシワと訓じる場合はブナ科の落葉樹であるカシワを指す。ただし、「かしわもち」の「かしわ」は「炊し葉」であって、植物和名のカシワは後からできた。 「かしは(加之波、カシワ)」というのは万葉集にも詠まれ、アカメガシワやミツナガシワ(カクレミノか)など、食べ物を蒸すときに下に敷いた「炊し葉」であり、特定の植物の葉ではないことは多くの古典に記されている。 実際に使用された葉は何かと言えば、サルトリイバラが全国的に最も多く、関東・東海地方を中心にカシワ(モチガシワ、古名はナラ類の総称としてのハハソ)がそれに次ぎ、ホオノキ(岐阜県など)、ハリギリ(神奈川県)などがある。 植物方言研究の第一人者の倉田悟(1962)によると、「日本人により柏餅を包むのに利用される植物の葉は、その土地々々によりいろいろであるが、なか