ブックマーク / closetothewall.hatenablog.com (8)

  • イスマイル・カダレを読む(「幻視社第五号」より) - Close To The Wall

    アルバニアの小説家イスマイル・カダレが亡くなった。 アルバニアの著名小説家が死去 イスマイル・カダレさん、88歳(共同通信) - Yahoo!ニュース 誰がドルンチナを連れ戻したか 作者:イスマイル カダレ白水社Amazon 15年ほど前に『誰がドルンチナを連れ戻したか』を読んだのをきっかけに東欧文学に関心を抱いて〈東欧の想像力〉叢書その他を読みはじめ、その挙句に二年後の2011年にはイスマイル・カダレと〈東欧の想像力〉特集として同人誌「幻視社第五号」を出したきっかけになった作家だ。後に『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』にもカダレの項目を書くことになった。 イスマイル・カダレ - 誰がドルンチナを連れ戻したか - Close To The Wall 2011 幻視社第五号PDF版 ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち 青月社Amazonノーベル文学賞でも取ってもっと翻訳が出て欲しいと

    イスマイル・カダレを読む(「幻視社第五号」より) - Close To The Wall
    barringtonia
    barringtonia 2024/07/03
    読み応えのあるイスマイル・カダレ全レビュー
  • 最近読んでたもの - Close To The Wall

    原民喜『夏の花』 「文學界」2023年5月号の特集「12人の“幻想”短篇競作」 伊野隆之『ザイオン・イン・ジ・オクトモーフ』 小野寺拓也、田野大輔『検証ナチスは「良いこと」もしたのか?』 ソマイア・ラミシュ編『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議』 『ナイトランド・クォータリー vol.20』 高原英理『詩歌探偵フラヌール』 「逆光線」第19号 原民喜『夏の花』 夏の花 (集英社文庫) 作者:原 民喜集英社Amazon広島原爆投下直前までのある一家とその周辺を綴る「壊滅への序曲」、原爆投下直後の広島での悲惨な状況を短いなかに淡々と書き留めていく表題作、そして生き延びても後遺症などで死んでいく人を目の当たりにする「廃墟から」の三部作を収める。 表題作では最愛のを亡くして千葉から広島に戻ってきていた語

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  • 室井光広『おどるでく 猫又伝奇集』 - Close To The Wall

    おどるでく-又伝奇集 (中公文庫 む 33-1) 作者:室井 光広中央公論新社Amazon初期小説集二冊に未収録短篇やインタビューなどを増補した著者初の文庫。著者の故郷南会津を「又」と呼ぶ一連の作品は「又拾遺」の土俗的奇譚・幻想譚から始まり、方言、外国語、外国人など言語の土俗性とその外とが交錯する「翻訳」の主題が貫かれているように読める。短い奇譚を集めたかたちの中篇「又拾遺」を見返してみたら最後の「魂柱」が、在日外国人が一度母国語で書いたものを日語にしたという翻訳を介した手紙だとされていて、マラルメの翻訳の引用で終わるこの「又拾遺」の結句から「和らげ」まで、「翻訳」という問いが通底している。 どうも読んでいると著者は「言語」とは「翻訳」なのではないか、「翻訳」が言葉、言語の質をなすものだと思っているのではないかという気がしてきた。方言と外国語、ローカルと世界、固有性と普遍性

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  • ミルチャ・カルタレスク - ぼくらが女性を愛する理由 - Close To The Wall

    ぼくらが女性を愛する理由 (東欧の想像力) 作者: ミルチャカルタレスク,Mircea C〓rt〓rescu,住谷春也出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2015/03メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る スタイルを持つためにやれることなどない。なぜなら、あなたはスタイルをもつのではなくて、あなたがスタイルだから。13P 二年ぶりの〈東欧の想像力〉第十一弾は、この叢書では初のルーマニアの作家、ミルチャ・カルタレスクの2004年作。およそ170ページが多数の短篇、掌篇、断章で構成される、愛をめぐる作品集ともいうべきだ。 カルタレスクは『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』でも紹介されたように、ノーベル賞に近いとも取りざたされる、ルーマニア・ポストモダンの旗手だという。それでいて多数の短篇形式となると、実験性の強いものと思われるかも知れないけれども、ほとんどそういうこと

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  • 「赤色少女」『折りたたみ北京』『時ありて』『とうもろこし倉の幽霊』『終わりなきタルコフスキー』『花樹王国』『川端康成異相短篇集』 - Close To The Wall

    仙田学「赤色少女」 ケン・リュウ編『折りたたみ北京』 イアン・マクドナルド『時ありて』 R・A・ラファティ『とうもろこし倉の幽霊』 忍澤勉『終わりなきタルコフスキー』 磯崎愛『花樹王国』 高原英理編『川端康成異相短篇集』 仙田学「赤色少女」 文學界(2022年8月号) (特集 入門書の愉しみ) 文藝春秋Amazon「文學界」2022年8月号掲載の中篇。娘を育てながらモラハラ夫の世話もする「わたし」と、同様ののもとで子供を育てる父親山内の二人の、配偶者と子供のあいだですり切れる日々の描写がなかなか辛いと思っていたら破綻しかけた二つの家族が新しい関係に組み換わるのには驚いた。三人親子が二組、方や男が主に働き、方や女が主に働くという六人の関係が日々の疲れや孤立感から主婦と主夫とで不倫関係になっていくという叙述は具体的で読ませるものの面白みが薄いなと思っていたら、こういう新しい家族関係になるのは

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  • 薄い本を読むパート3 - Close To The Wall

    薄いを読むパート2 - Close To The Wall 一年おきにやってる気がするこれ、三回目。今回は厳密ではなく文200ページ前後、とややゆるめに選んだ20冊。冊数も記事も分量が増えて行っている。 フリオ・ホセ・オルドバス『天使のいる廃墟』 ミルチャ・エリアーデ『令嬢クリスティナ』 フランツ・カフカ『変身』 アントニオ・タブッキ『島とクジラと女をめぐる断片』 イタロ・カルヴィーノ『ある投票立会人の一日』 スティーヴン・ミルハウザー『魔法の夜』 パーヴェル・ペッペルシテイン『地獄の裏切り者』 イマヌエル・カント『永遠の平和のために』 閻連科『年月日』 宮内悠介『黄色い夜』 ヴァージニア・ウルフ『フラッシュ』 ティモシー・スナイダー『暴政』 フリオ・リャマサーレス『黄色い雨』 ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』 アレホ・カルペンティエール『時との戦い』 中井英夫『幻想博物館』 ジ

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  • 石川博品『ボクは再生数、ボクは死』 - Close To The Wall

    ボクは再生数、ボクは死 作者:石川 博品発売日: 2020/10/30メディア: 単行石川博品二年ぶりの新作。商業では『海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと』、同人では『夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落"』以来となる。去年は商業も同人も新作がなく、今年は『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』アンソロジーに短篇二作を発表しているけど、これは序盤しか原作を知らないので読んで良いものかどうか迷ったままになっている。 さて、作は近未来VR世界で特注の女性アバターをまとい風俗通いに勤しむ主人公が、高級娼婦にハマって資金を捻出するためにならずものアカウント殺害動画配信をして稼ごうという話で、帯文通りエロスとバイオレンス濃いめでもあるんだけれど、VR設定によって切実さとともに軽薄なコミカルさも失わないバランスが素晴らしい。 2033年、サブライムスフィアというVR空間が舞台で、場所によっ

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  • 石川博品 - 「耳刈りネルリ」シリーズ - Close To The Wall

    耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫) 作者: 石川博品,うき出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2009/01/30メディア: 文庫購入: 25人 クリック: 293回この商品を含むブログ (82件) を見るこのブログでラノベ記事を上げるのは初めてだ。 嗚呼、素晴らしき3巻ラノベの世界 - ディドルディドル、とバイオリン アクロバットな異世界FTラノベ「耳刈ネルリ」シリーズ - Togetter 全く知らない作品、作家だったけれど、この人が面白そうに紹介していて、またどうもソ連みたいな多民族が混在する学園生活、というのが基設定だと言うことを知り、東欧関係を調べていた時だったので俄然興味がでてきたのだった。 で、これがとても面白い。いかにもオタクな妄想トークが暴走したりするトリッキーな語りは今風なんだと思うけど、物語的にはむしろ王道の、あるいはほとんど古風な学園もの

    石川博品 - 「耳刈りネルリ」シリーズ - Close To The Wall
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