タグ

ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (129)

  • 2008-06-19 - 空中キャンプ

    ひさしぶりにスーツを買うことにした。ふだんは月に一、二度くらいしか着ないスーツだが、もうすぐ社外のわりと大事なお客さんに会う予定があることと、手持ちのスーツがどれもくたびれてきたこともあって、そろそろ背広でも新調しようかしら僕、という気持ちになっていた。 スーツそのものに思い入れはない。基的には、べつになんでもいいのである。3万円均一でスーツを売っている店があって、ちょっとよさげなので、そこで買うことにした。値段も手ごろだし、ちょうどいいのではないか。そう考えて店へ向かう。キュートな女性店員が、ファルセットをきかせた声で「いらっしゃいませ」とわたしを歓迎する。とりあえずはいくつか試着してみることにした。店員の女性は、これは裾がブーツカットでかっこいいとか(スラックスの裾がブーツカットってどういうあれだ)、こっちはステッチが凝っていて洒落ているとか、いろいろと商品を勧めてくるが、なんだかぴ

  • 「ためらいの倫理学」/内田樹|2008-06-17 - 空中キャンプ

  • おたんじょう会の粉砕 - 空中キャンプ

    誕生日を祝うのを、そろそろ止めてみてはどうだろうか。こう考えている人は、わりあいにたくさんいるのではないかとおもっている。どうしても誕生日を祝いたいのであれば、恋人や家族などのごく近しい間柄でのみおこなう。それより外側には、バースデーを持ちださない。わたしは「おたんじょう会」を粉砕するべく立ち上がった。誕生日を祝うというしきたりの見直しをつよく提案したいのである。 まずもって、誕生日を祝うという行為にはどういう意味あいがあるのか。世間的にはめでたいこととされているが、ここがよくわからない。誰にだって誕生日くらいある。生まれたからには、365日いずれかの日に誕生しているわけだ。「Aさんが六月五日に生まれた」。ここに、どういった特別な意味あいを見いだせばいいのか。三月生まれもいれば十二月生まれだっている。みんな生まれているのだ。あえてそこを掘り下げなくてもいいのではないか。どうにかむりに話題を

  • 「気になる部分」/岸本佐知子 - 空中キャンプ

  • http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20080529

  • 空中キャンプ たんすをどこに置くのか

    すこし前になるが、辺見えみりと木村祐一の離婚報道を見ていた中で、とても印象に残っているのが、離婚の原因として挙げられた「新居の内装や家具の配置などで意見が合わなかった」という、リアルすぎてお腹が痛くなるような記事だった。おそらく人はこうした、いっけん些細なように見える理由で離婚してしまうのだろうとつくづくおもった。 もちろん、こういった芸能関係の報道はえてしていいかげんだし、そもそもこれがいったいどこの「関係者の証言」なのか、信憑性はかなり疑わしい。それでも、この記事がどこか真に迫ってくるような説得力を持っているのは、世間でよくいわれる、性格の不一致だとか、価値観の違いなどといった、抽象的でとらえどころのない離婚原因よりも、「たんすをどこに置くのか」で口論したあげくに関係がだめになってしまった夫婦の姿にこそ、リアリティがあるようにおもえるためだ。 便座の上げ下げや、洗濯もののたたみ方、CD

  • ジャパニーズ・イングリッシュ - 空中キャンプ

  • 「女は何を欲望するか?」/内田樹 - 空中キャンプ

    内田樹新刊。テーマはフェミニズム批判である*1。とはいえ、内田は批判に主軸を置いていない。フェミニズム退潮の原因をさぐり、なぜフェミニズムは知的威信を失ったのかを検証し、かつてフェミニズムが達成した文化的成果のうちで良質なものを見直そうというのがこのの目的になっている。内田はこの作業について、「フェミニズムという船は沈みかかっているけれど、だからといって、ここまで運んできた財宝(知的達成)まで一緒に沈めてしまうのはもったいない。だから持ち出せるだけのものは持ち出して、これからも使うのだ」と例えており、「ポジティブな再検討」といっていいとおもう。 旧態依然としたフェミニズム的価値観──これを内田は「私たちは『そういうことばづかい』で何かを説明されることにしだいにうんざりしてくるのだ」と説明している──をふりまわすような人、ステレオタイプなフェミニストを素でやっているような人がほとんどいなく

  • ひどいことになります - 空中キャンプ

    中学のころ、授業や掃除が終わってから、明日の予定や注意事項などを報告する時間が設けられていた。おそらく15分くらいである。名称はおもいだせないが、「帰りの会」と呼んでいたような気がする。ださいネーミングである。帰りの会。あれは正式名称だったのだろうか。 帰りの会では、なぜか出席番号順に発表をさせられた。たとえば、「野球部が県大会に進みました」とか、「花壇にひまわりが咲きました」などの話題をそれぞれが準備しておき、一日ひとりずつ教壇に立って発表するのである。進路のことや時事問題などでもいいし、とにかくなにかしらトピックを考え、それをみんなの前で話さなければいけない。 もちろん、こんなことを進んでやりたがる者は誰もいないし、みんな自分の番になると、できるだけあたりさわりのない話題を選んで1分くらいの発表をしてから、「これで終わりです」と宣言、そそくさと席に戻るといった感じできわめていいかげんに

  • 「問題は、躁なんです」/春日武彦 - 空中キャンプ

    春日武彦新刊(光文社新書)。うつ病とくらべて、注目されることのほとんどない「躁(そう)病」。わたしも躁病のことはあまり知らなかった。おもしろ人間の観察がライフワークとなっている春日が、怖いもの見たさと好奇心まるだしで書いた一冊。春日の解説を通して、躁病の実際を知ることができた。医学的な解説というよりは(春日は精神科医である)、躁病を通して人生のもの悲しさをふと感じさせる、味わいぶかいエッセイのような趣もあり、春日ファンのわたしはたいへん満足でした*1。 春日によれば、うつ病が「心のかぜ」なら、躁病は「心の脱臼」だという。あり得ないぐあいに関節が曲がり、糸の切れた操り人形のような途方もない動きを示す脱臼のような症状。心の箍(たが)が外れ、秘められていたあらゆる欲望が全開となり、自己抑制がゼロになり、見る者に異様な印象を与える。うわっ、なんだこの人は。このに書かれた躁病の症例をひとつひとつ読

  • 映画「ミスト」 - 空中キャンプ

  • 「オタクはすでに死んでいる」/岡田斗司夫 - 空中キャンプ

    岡田斗司夫新刊。すでに話題となり、また批判的な反論などもでている同書ですが、ここはひとつ、オタク文化にほとんど関心がないわたし、オタクではないわたしが第三者的にテキストを読み、おもったことを書いてみたい。わたしは岡田のテキストが好きで、今までもたのしく読んできているのですが、だからといって、彼の提唱するオタク文化を勉強しようとはあまりおもわない*1。むしろ、岡田の視点や切り口がおもしろくて好きなのだとおもう。 みずからを「オタクだ」と認識する者にとっては、なかなか判断がむずかしいテキストかもしれない。読む前から、偏ったフィルターがかかってしまう可能性もある。また「死んでいる」というフレーズの強さもある。しかしテキストをじっくりと読めば、岡田はべつに「今のオタクはなっとらん」といったイージーな若者批判をしたいわけではないということがわかる(おそらくこのあたりが誤解のもとだ)。彼は、オタクと現

  • 温度をなくす発想 - 空中キャンプ

    わたしの通っていた小学校の近くには公園があって、クラスの男はみんなそこで野球をしていた。当時、わたしたちの野球熱はあきらかに常軌を逸しており、たいていの子どもは野球のこと以外ほとんどなにも考えられないといった腑抜けの状態で、学校が終わればまっすぐ公園まで走って移動し、ランドセルを降ろすのももどかしく、さっそく試合開始。雨の日をのぞけばほぼ毎日、野球をやっていた。 大雨の翌日など、公園の土はひどくぬかるんでいて、野球をやれば泥だらけになってしまうのだが、そのていどではわれわれの荒ぶる魂を止めることはできず、みなや服が泥まみれになるのもかまわず試合に没頭した。しかし中には、服を汚して帰ると親に叱られる子ども、また、きれい好きで泥だらけになるのを嫌がる子どもなどもいて、彼らは他の子どもたちが野球に熱狂するかたわら、できるだけや服が汚れないように気をつけながら遊んでいた。 そうした子どもは、自

  • ありかを見つけた - 空中キャンプ

  • 2008-04-24 - 空中キャンプ|もし戦わば

  • 2008-04-22 - 空中キャンプ

    きちんと目的を定めないで書店をうろうろしていると、ただ時間ばかりがいたずらにすぎてしまい、気がつくと奥菜恵の告白をたんねんに熟読していたりする。だめである。あらためていうまでもなく、わたしはあと50年もしないうちにころっと死ぬのであり、いずれ不帰の客となる前に、たくさんの良書を読むなどしてできるだけ有意義に時間をすごすべきだということを頭ではわかっているつもりなのだが、どうしてもそれができないのはひとえに意志のひ弱さゆえである。 しかし、奥菜さんはいろいろとたいへんなようで、特に離婚後の恋愛関係のくだりは「おもしろいなあ」とおもいながら読んだ。離婚した後、歳下の恋人ができたこと。しかしその男が浮気ばかりするのでくやしかったこと。電話にでないので不審におもって家の前までいき、そこから電話を鳴らしたら、女もののカチューシャを頭につけた恋人が携帯で話しながら玄関からでてきたこと(=会話を聞かれ

  • 2008-04-15 - 空中キャンプ : 週末日記

  • 選挙 - 空中キャンプ

    六年生のとき、児童会の役員に立候補させられたことがある。児童会というのは、小学校における生徒会のことである。なぜわたしが選挙にでることになったのか、その経緯はまったく覚えていないのだが、当時わたしの学校はクラスを六つくらいの班にわけて、それぞれに班長を決めて各班ごとに行動させていたから、そこで班長をやっていたわたしが候補に選ばれた、というようなことだったのかも知れない。 選挙活動の一環として、候補者は選挙ポスターの作成をしなければならなかった。そのポスターを校舎の入口にはって、生徒たちに見てもらうわけだ。このポスターには、子どもならではのしきたりがあって、候補者は自分の好きなまんがや、アニメなどの絵を描くことになっていた。絵の上手な候補者は当選の確率が上がる。また、もし自分の好きなまんがの絵を描いている候補者がいれば、「おっ、この人は僕と同じまんがが好きなんだな」とシンパシーが生まれ、一票

  • 2008-04-10 - 空中キャンプ

    ふしぎなもので、他人から「あれをしなさい」と命令されると、たいていの人はなぜかやる気をなくす。ほんらい多少は興味のあることがらでも、それが指示になったとたんに発生する義務感みたいなものがかったるくなる。いったい自分はそれを命令されてやっているのか、みずから進んでやろうとしていたのか、その境界線がわからなくなり、自発性がさーっと散っていくのである。逆に「別にやらんでもいいのよ、いやむしろなにもしないでいいから」などといわれると、なんだか疎外されているような感じになってきて不安だし、「さては僕のたのしみを奪うつもりだな…」などと、よくわからない反抗心すらみなぎってくる。 二村ヒトシ氏のアダルトDVD「オメコだらけ!」である。わたしがよく行く、渋谷の高架下にあるアダルトDVDショップには、二村監督の作品がずらっと並んでおり、どれもおもしろそうで惹かれるパッケージばかりなのですが、今回はこの「オメ

  • 2008-04-09 - 空中キャンプ|へんてこになる

    「大工調べ」という落語がある。これは、腕はいいが性格のだらしない大工の話で、彼は家賃をため込んでしまい、ある日ついに大家から、仕事で使う道具箱を取り上げられてしまう。家賃を払うまでは道具箱を渡さないからね、とシビアに通達されたのだ。未払いは一両八百。道具箱がなければ仕事へもいけない。大工は、とりあえず一両だけ払って道具箱を返してもらい、残りの八百は大工仕事で稼いでから追って払うと交渉する。 客観的に見ても、条件としてはわるくない。まずは一両を払うというところに大工の誠意があらわれている。また、現実的には道具箱がないとメイクマネーできないわけだし、となればたまった家賃の返済もままならない。道具箱をいったん返すことは大家にとってもプラスになるのだ。しかし、おたがいのやり取りのあいだで、大工が「わずか八百のことですから道具箱を返してください」とつい口にしたところで大家が怒ってしまう。「わずか」っ