抜粋: 世界では一、二年に一つのペースで新しい感染症が姿を現し、人類を脅かしている。ところが「感染症は克服した」という思いこみで、日本は歩みをとめ、予防接種を軽んじるようになった。 80−90年代、副作用被害訴訟問題で敗訴を重ねた国は、新たな感染症対策の導入をためらい、今や制度も意識も「後進国」に。世界からは「はしか輸出国」のレッテルを貼られ、結核の感染率も米国の約四倍で途上国並み。 乳幼児が命を落とすこともある細菌性髄膜炎に毎年約千人がかかる。ワクチンは二十年前に出来ており、先進国ではこの感染症は激減し、世界で百カ国以上で使われているが日本ではまだ使えない。世界標準より五倍厳しい独自の安全基準が使用を阻む。「かからなくても済む病気で多くの児が犠牲になっている」(日赤センター医師)。 完ぺきな安全性を求めるあまり、皮肉にも大勢の命を危険にさらしてしまう、萎縮した感染症行政には、みんなで社会
5月21日と22日の日経記事。知っている人には常識的な内容だが、国産農産物への思いこみの強い「食育おばさん」たちは知らない内容だと思う。メモ。 抜粋: コメの価格が上がっている。でも国際価格の上昇が理由ではない。政府が農家保護のための緊急対策として備蓄米を買い増すことを決め、価格上げを誘導した効果が店頭に表れ始めているためだ。 日本人が一年間に食べるコメの量は、2006年度で一人あたり61キログラム。1962年度の半分程度。コメがたりない世界とは逆に、日本では恒常的にコメが余る。それを避けるために水田の四割でコメを作らない減反政策で生産量を強引に減らし、価格を政府が支える。 価格が安い世界のコメ取引から日本のコメを切り離し、伝統的なコメ作りを保護するというのが日本の農業政策の絶対理念。コメを聖域と位置づけ、市場メカニズムから遠ざける。日本のコメの価格は意図的に導かれた結果だ。 コメ余りの日
別館のコメント欄でご教示いただいた件。 「岩見隆夫のコラム サンデー時評:四七・八、何の数字かご存じですか」 年初以来、ずっと気になっている数字がある。四七・八%。警察庁がまとめた統計だが、昨年一年間に全国で起きた殺人・殺人未遂事件のうち、被害者が親族だったケースの割合だ。 親族殺人は年々増加の傾向をみせ、ついに〈ほぼ半数〉という高率になった。子供の親殺しなどはハデに報道されるから目立つが、まさかこんな件数になっているとはだれも思っていない。 ニュースを読む(見る)人間は多くても警察庁の統計資料読む人間は限られてるんで、「まさかこんな件数になっているとはだれも思っていない」ってこと自体はありますよね。一時期、「日本では年にどれくらいの殺人事件が起きてると思う?」という質問を機会あるごとにしてみたことがあるんですが、一番多かったのは「1万件以上(5万件以下)」のゾーンでしたよ。もちろんき
題名はともかく、面白い本である。実業家の江副浩正だけあってディテールがいい。当たり障りのないようには書いてはいるのだが、ぽろっと本音が出ていたりなんかする。行間を読むべき本。地主を儲けさせるように仕組まれた悪名高き「日本システム」がよくわかる。 備忘録として意訳抜粋: お上が音頭をとってやる新都市開発は成功しない。ブラジリアを見ればよい。ブエノスアイレスは例外的に成功しているが100年かかった。新都市が魅力を持つのはうまく行って100年先。すでに生活があるところでないと上物を作っても「都市」とはならない。 容積率の緩和で都市部の「床面積」は爆発的に増える。道路幅による制限(従来0.4掛け)も港区では0.6に緩和された。何れ全区に広がる。 箱根は行楽地化する方向に行きつつある(地元の旅館組合の意向)。別荘地化することで洗練化し財政改革に成功した茅野市とは逆の方向だ。 東京23区でも地価が上が
「日本の高度成長もその後の急激な落ち込みも意外ではなかった、今やるべきこともごく当たり前のことだ」(ポール・サミュエルソン) 1月3日の日経経済教室でサミュエルソン大先生のご託宣。日経は「富める国へ積極行動の時」と題を付けているが、散人はもっと適切なタイトルを付けておいた。 抜粋: 日本の高度成長は奇跡ではあったが、私にとっては必ずしも意外ではなかった。米国南部でも同じことが起こったのを目撃していたから。20世紀末に日本が問題を抱えるようになった理由は次のものだ。 第一に、日本の特異な企業制度。それによってバブル崩壊への対処が遅れ損失を最小限にとどめることが出来なかったこと。 第二に、「全員一致を前提とした意志決定」という日本独特の企業慣行に本質的な欠陥があったこと。 第三に、日本の終身雇用制が非効率で硬直性を助長する欠陥があったこと。 第四に、日本には優秀な経営学系の大学院(ビジネススク
「将来の世界の通貨体制は、ドル・ユーロ・元の三極通貨システムだ、日本は人民元ブロックの一員となる」(フレッド・C・バーグステン) 今朝の日経「YEN漂流」で、押しも押されぬ国際政治経済界の重鎮フレッド・バーグステンのご託宣。「ニッポンまだまだ論者」にとっては腸が煮えくりかえるぐらい腹が立つような発言かも知れないが、日本人は今自分たちが置かれている状況を正確に知るべきである。だから敢えて紹介する。 抜粋: ドルが今まで支配的通貨であり続けたのは競争相手がいなかったから。将来、ユーロはドル並みの地位を占めることになる。今後二十年から三十年の間に国際的にユーロとドルの二極通貨体制が誕生するだろう。そして、四十年から五十年後には中国の人民元が第三の通貨として台頭し、三極通貨システムが出来る。 アジアには人民元ブロックが成立し、日本はその一員となる。アジアでの共通通貨が誕生することは考えにくい。 日
「政府がお金を地方の農協や建設業に流し続けると、若者の都市部への流出がさらに加速して、地方はますます疲弊する」(川本裕子) 抜粋: 政治家がバラマキに走る背景は格差問題。しかし国民が生活に不安を感じる真因は経済が成長していないこと。格差が叫ばれるが、国民が「格差」という場合、自分たちが成長していない、将来への展望が見えないという状態を「格差」という単語に集約させている。政治家はそれに乗っかって(バラマキ政策に)利用している。 政治家は現実を直視せず、国民はそれを見抜いている。世界もはっきり見ている。政府が改革継続を丹念に実行していかない限り、海外投資家の日本売りは止まらない。 (農水族などの族議員は水を得た魚のようだが)個別農家への所得保障は農業の担い手として最終的に自立させることを目標としていない。業種転換への移行措置なら意味があるが、生産を永続させるのを前提としては日本の農業は強くなら
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