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ブックマーク / medchem4410.seesaa.net (11)

  • 立体的に混み合った2級芳香族アミンの合成

    先週の Science に創薬化学に使えそうな反応が Baran 研から報告されていました [論文]。上図のように、ニトロアレンとオレフィンから立体的に混み合った2級芳香族アミンが生成する反応です。 窒素原子の隣の炭素原子に炭素置換基が3つ結合した構造 (N-CR1R2R3) は、医薬品や医薬中間体に含まれることがありますが、構造によっては合成が難しかったり大変だったりするかと思います。この反応をうまく使えばサックリ作れるかもしれません。 論文は Bristol-Myers Squibb の研究者も共著で、実際に医薬中間体を短工程で合成したり、drug-like な building block も合成しています。収率は 40-60 %程度が多いですが、官能基許容性は高いようです。論文には 100 以上の反応例とともに上手く行かない基質に関する記載もあり親切です。Baran 研のブログ [

    立体的に混み合った2級芳香族アミンの合成
  • AstraZeneca の独自ビルディングブロックと "rule of 2"

    先週の スルホン → スルホキシイミンで溶解度改善 では AstraZeneca のスルホキシイミンを含むビルディングブロックの合成法も記載されている論文を紹介しました。同社ではスルホキシイミン以外にも独自の(非売品の)ビルディングブロックを作って創薬化学に活用しているそうです [論文]。 社内や社外(文献)の情報を元に非売品のビルディングブロックをデザインし、CRO(XuXi AppTec)に外注して 2009-2012 年に 3044 個のビルディングブロックを約 20 g スケールで合成させたそうです。動態や物性の良い化合物を得るためのビルディングブロック(試薬)のガイドラインとして「rule of 2」(MW <200, clogP <2, HBD ≦2, HBA ≦4)が提唱されています。 デザインコンセプトも一部紹介されており、非平面的なスピロ化合物や Fsp3 の大きい化合物

    AstraZeneca の独自ビルディングブロックと "rule of 2"
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    bean_hero 2014/12/28
    絨毯爆撃的に置換基組み合わせのマトリックスを埋める手もあれば、理由付けをして成功確率の高そうなものに傾注する手もあり。Drug Discovery Todayからの紹介というのがシブい。
  • スルホン → スルホキシイミンで溶解度改善

    先週は DABSO を用いたスルホンアミド・スルホンの合成 を紹介しましたが、スルホンはときに結晶パッキングを強固にし溶解度低下につながることがあります。例えば、単結晶構造をもとに溶解性を向上させる の [論文1] がそのケースに相当します。 今回紹介する AstraZeneca の報告 [論文] によると、スルホン化合物で溶解度が悪い場合には、スルホキシイミンにすることで溶解度改善が期待できるそうです。例えば、下図のような化合物でスルホンを NH スルホキシイミンや NMe スルホキシイミンにすることで溶解性が大幅に改善しています(特に NMe スルホキシイミンでは logD はほとんど同じにも関わらず)。 スルホキシイミン構造をもつ臨床化合物として、スルホキシイミンを創薬化学に で紹介した BAY-100394 に加えて AZD6738 が論文中で挙げられています。また、創薬化学向けの

    スルホン → スルホキシイミンで溶解度改善
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    bean_hero 2014/12/16
    溶解度のメリットと、不斉中心が1個増えるデメリットとの両天秤だな
  • DABSO を用いたスルホンアミド・スルホンの合成

    昨日の 創薬化学向けの有機合成反応と部分構造(Pfizer)など の Pfizer の資料にスルホンアミドの合成法も紹介されていました。その他のスルホンアミドやスルホンの合成法として個人的に注目しているものに DABSO があります。 DABSO は DABCO の SO2 付加体で、固体で扱いやすく、下記論文の反応に利用することでスルホンアミドやスルホンを合成することができます(詳細は各論文を参照)。種々の置換基導入やヘテロ芳香環導入が可能で、[論文7] では drug-like な構造を意識した化合物合成がなされています。DABSO は市販されていて、Aldrich では 21,000円/1g、Key Organics では £20.00/1g です(Aldrich さん、もっと安くしてください)。 ちなみに DABSO は Michael C. Willis 先生らが報告した化合物で

    DABSO を用いたスルホンアミド・スルホンの合成
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    bean_hero 2014/12/11
    便利そう
  • 超低分子医薬品

    In th Pipeline で、特に分子量が小さい医薬品の構造式が一覧にまとめられていました。選抜基準は、アスピリン(分子量180)よりも小さく、吸入麻酔や気体を除き、リチウムなど有機化合物でないものを除き、現在複数の国で使用されているものに限ったそうです(掲載し損ねたものもあるだろうという断りもされています)。これらの化合物の特徴として、カルボン酸、フェノール、硫黄が普段目にするよりも多いこと、また、非常に極性が高い(このサイズで標的とある程度強く相互作用するため)ことがコメントされています。

    超低分子医薬品
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    bean_hero 2014/11/01
    結構あるんだね。古いものが大部分だと思うけど、いまどきの変異原性試験やQT延長試験をパスしないのがどの位あるのかは気になる。
  • 実用的なクロロ化剤 Palau′Chlor (CBMG)

    最近、Scripps 研究所の Baran らが新しい実用的なクロロ化剤 Palau′Chlor (CBMG = 2-​Chloro-​1,3-​bis(methoxycarbonyl)​guanidine) を JACS に報告し [論文]、Aldrich から発売されました (5,000 円/1 g)。例えば、下図のヘテロ芳香環では、他のクロロ化剤よりも収率よくクロロ体を与えます。

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    bean_hero 2014/06/26
    リンクされている Baran 研究室の blog に、この試薬を見つけた経緯が書かれていて、なかなか興味深い。
  • ベンゼン環の等価体にシクロブタン環

    シクロブチル環をオレフィンやベンゼン環の代わりに では、分子中央のベンゼン環の等価体としてシクロブタン環を利用した例を紹介しました。先週報告された Amgen の PDE10A (Phosphodiesterase 10A) 阻害剤 [論文] でも同様の展開がなされていました。 上図のようにベンゼン環をシス型あるいはトランス型のシクロブタン環に置き換えたところ、同等以上の活性の化合物が得られました。面白いことに、酵素と化合物のX線共結晶構造解析によると、シス型もトランス型もほとんど同じ結合様式なのです (シス型とトランス型で両端のヘテロ芳香環がほとんど重なる)。一見シス型とトランス型で立体的な形が大きく違いそうなものですが、ほとんど重なることもあるようです (阻害活性の差は約 4 倍)。 また、シクロブタン環の代わりにシクロヘキサン環 (相対配置の記述なし) にした場合には IC50 は

    ベンゼン環の等価体にシクロブタン環
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    bean_hero 2014/04/04
    直観的には全然別物なコンホメーションになりそうに思えてしまう構造変換
  • ピリジン類の 2 位選択的 C-H フッ素化反応

    John F. Hartwig 先生らによって先月の Science に報告された、ピリジンやジアジンの選択的 C-H フッ素化反応 [論文]。反応系はシンプルで、ピリジンやジアジンと AgF2 (市販) をセトニトリル中で室温で 1 時間撹拌するというもの (基質によっては 50 ℃)。 ・ 電子求引基、電子供与基がピリジンやジアジンのどの位置に置換されていても大丈夫。 ・ ケトン、エステル、アミド、アセタール、保護されたアルコールやアミン、ニトリルは許容。 ・ ピリジン 2 位にクロロ基やブロモ基があっても置換されない。 ・ カルボン酸やアルデヒドはアシルフルオリドに変換され、2-フルオロピリジンにはならない。 ・ 3 位に置換基がある場合、2 位が優先的にフッ素化されるが、5 位フッ素化体が混ざることも。 ・ キノリン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンもフッ素化可能。 ・ π 過剰系

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    bean_hero 2013/12/30
    かなりシブい研究だな。実験現場を離れて久しいが、直感的にはHFが発生する影響を最小限に抑えてるように見える。あと、銀塩を使っている点で、光の影響は受けそう。アルミホイルで覆うなど遮光はデフォルトかと。
  • スルホキシイミンを創薬化学に

    スルホキシイミンの創薬化学に関するミニレビューが Bayer の研究者から報告されました [論文1]。スルホン、スルホンアミド、アミジン、アルコール、リン酸などの等価体としてスルホキシイミンが使える可能性があるとのこと。 スルホキシイミンをもつ上市薬はまだないようですが、臨床試験の段階にはいくつかあります。そのうち例えば BAY 100394 (Phase I、CDK inhibitor) のケースでは、元の化合物は下図左のスルホンアミドでしたが、オフターゲットとしてスルホンアミド由来の炭酸脱水酵素阻害がありました。そこでスルホンアミドをスルホキシイミンにすると炭酸脱水酵素阻害が消失、さらに最適化し BAY 100394 に辿り着いたそうです。この成功を受けて Bayer ではスルホキシイミンを様々なプロジェクトで利用しているそうです。 他にも、スルホンをスルホキシイミンに変換することで

    スルホキシイミンを創薬化学に
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    bean_hero 2013/08/24
    使える手札は一つでも多い方がいいね。「スルホンをスルホキシイミンに変換することで hERG を低減することに成功した例などが挙げられています」
  • 活性本体が微量不純物だったケース

    今回は HTS hit の活性体が微量不純物だったケースを 2012 年の論文から紹介します。 さて、まずは Merck の renal outer medullary pottasium channel (ROMK or Kir1.1) 阻害剤の報告 [論文1]。下図左の HTS hit は HPLC や NMR で良好な純度であることが示されていたにも関わらず、HPLC で再精製すると活性が消失してしまいまいた。LC-MS で詳細に調べると分子量 384 の微量不純物が見られ、この分子量から下図右の化合物を推定、実際に評価すると 100 倍の活性をもっていたそうです。つまり、下図左の化合物の活性は 1 %の微量不純物による活性だったのです。 次は Pfizer の kynurenine aminotransferase (KAT) II 阻害剤の報告 [論文2]。HTS hit とし

    活性本体が微量不純物だったケース
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    bean_hero 2013/07/11
    HTSヒットの活性が再現しない事はままあるが、きちんと正体を追い詰めてみると、見つかることもある、という事例(ダメな事もままあることだが)
  • 生物学的等価体の例や文献を検索できる SwissBioisostere

    今回は生物学的等価体 (Bioisostere) の例や文献を検索できる SwissBioisostere というサイトを紹介します。詳細は上記リンク先や Nucl. Acids Res. 2012 (Open Access) に書かれていますが、私なりに簡単にご紹介を。 このサイトは Swiss Institute of Bioinformatics 主催のウェブベースの無料サービスです。Matched Molecular Pairs (ある部分構造だけが置換されていて他の部分は全く同じ化合物の組み合わせ) を生物学的等価体として検索できるサービスで、生化学アッセイデータも同時に見ることができます。データは ChEMBL から抽出したもので、データポイントは 2000 万を超えているそうです。ちなみにデータを最新の状態に保つため、今後も定期的にアップデート予定とのこと。 さて、このサイト

    生物学的等価体の例や文献を検索できる SwissBioisostere
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    bean_hero 2013/01/26
    創薬研究者向け
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