・いつだって大変な時代 歴史を振り返ると人はつねに「いまは大変な時代だ」と言い続けてきた。現在意識は常に大変だということを自覚しないとなにか間違うよ、と指摘する堀井憲一郎(落語論、ずんずん調査、ディズニーリゾート便利帖などウィット効きすぎなエッセイスト)の論考集。 つねに「大変な時代」になってしまう理由がいくつも挙げられているが、たとえばひとつは自分が大切という意識だ。 「私たちは、とにかく「自分が特別だ」とおもいたいのである。ほかはともかく自分だけは別だ。これが、いまの私たちのとても大事な支えである。アイデンティティと言ってもいい。その延長上として、「特別な自分が生きているいま」は特別であってもらわないと困るのです。」 確かに我々は同時代を歴史の大きな転換期とみなしたがる。顕著に大きな変化がない場合には「過渡期」なんて言葉に言い換えたりする。この特別だと思いたい人々の心理をうまく操るのが