【炎症が治まらないと切開はできない】 こう説明する先生もかなりいるような印象です。私の外来で治療をする粉瘤患者の1/3くらいは他の病院で治療を受けていてその後当科を受診されていますが,そのほとんどが前医でこのような説明を受けています。 正解は「炎症がひどいときほど切除しやすい。化膿しているときこそ治療しやすい。炎症が治まるまで待つ必要は全くない」です。「炎症を起こしているアテロームの被膜は周囲組織からほとんど遊離していますが,炎症を起こしていない被膜は周囲組織に固着している」からです。だから,炎症が起きているときほど被膜は簡単に除去できますが,炎症を起こしていないアテロームでは被膜は摘んだくらいでは取れないことが多いのです。 つまり,「炎症最盛期のアテロームは治療に最適期」なんですね。 【化膿している粉瘤は麻酔が効かない】 感染している粉瘤の患者さんに「麻酔をして切開します」というと5人に