軍事思想を読み解く上で、兵站は二つの側面において重要な意味を持っています。第一に、兵站は経済・社会活動と軍隊の関係を規律し、軍隊の能力を構築する上で依拠できる人的、物的な資源の上限を決定します。第二に、兵站は戦略、作戦、戦術において選択可能な部隊行動の範囲を制限します。 この視点は、ソ連をはじめとする東側の国々の軍事思想を理解する上でも通用する視点です。社会主義国は軍隊を支援する兵站システムに厳格な中央統制を取り入れ、これを発展させてきました。この経験から今でも中東欧諸国の軍隊の兵站システムは西側の兵站システムと異なる発想に基づいて運営されており、それが欧米との防衛協力を妨げていると指摘されています。 Young, T.-D. (2016). The Challenge of Reforming European Communist Legacy “Logistics.” The Jour