玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ ※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。 【原文】 けり。 「我 故《ゆへ》斯様《かやう》に化けたりしを、遂《つゐ》に色にも出さで過ぎし事の、畜類ながら無残[無慙]《むざん》さよ。 覚ゑの心ざし[志]を見せつゝせしことの哀れさよ。 有り難き心かな」 と思し召しつゝ打ち涙ぐミつゝ御覧ずれば、此の巻物ゝ奥に、長哥《ながうた》をぞ書きつけける。 【予習の答え】 此まきものゝのおくになか哥をそ 書つけける 【さっくり現代語訳】 [姫君は]玉水の事が哀れにもお思いになりました。 「私を愛するあまり、あのような女房に化けたのに、最後まで少しも私への恋心を出さずに過ごしたとは、ケダモノながらいたましいことです。 あくまでも私の使用人として律儀に仕えてくれたことを思うと、なんとも気の毒で。 人間でもめっ