みなさんは「雀の焼き鳥」を食べたことがあるだろうか。頭の部分を噛むとトロっとした脳みそが口中に広がり、鼻からスルメにも似た匂いが抜ける。体の部分を食べ進めるとレバーに似た匂いや骨のばりばりとした食感、そして肉の固さが、野生の小鳥を丸ごと食べていることを感じさせる―。 その味について『現代日本料理選集 野鳥料理』には「雀は小鳥の中で最も美味で、焼き鳥が最高の味」と記されている。今、この「雀の焼き鳥」が衰退の一途を辿っている。それは雀の焼き鳥を名物とする京都・伏見稲荷大社においても例外ではない。その参道は大正時代から雀の焼き鳥を供する店で賑わったが、現在は二店を残すのみである。このことが周知の事実となったのが、2009年の毎日新聞「スズメの焼き鳥:100年の名物ピンチ 退治、御利益ありすぎた?京都・伏見」だ。この記事から約6年経過した2015年現在の伏見稲荷大社の参道における「雀の焼き鳥」の現