土地の産物や文化を背景に生まれてきた郷土料理。冠婚葬祭や四季の行事・仏事の寄合などで共に食され、地域に根づいてきました。その中からユニークなものをご紹介します。 宮城県気仙沼で春先に食べられるのが「あざら」。近海でとれるメヌケと白菜の古漬を合わせ、酒粕で炊いたものです。メヌケは深海魚で、釣り上げるとき目が抜け出ることからその名がついたとか。小さめの赤魚で代用されることもあります。行事食というより春の日常食で、主に白菜を漬ける家でつくられます。魚を水から煮て骨をとり、別の鍋で白菜の古漬を塩抜きし、その後合わせて煮込むため3時間はかかる手の込んだ家庭料理です。酒粕と味噌でとろとろに炊き、好みによって唐辛子やニンニクを入れるので、風味の違いを楽しみに家々で交換しあうことも。何とも複雑な味ですが、ごはんのおかずはもちろん、お酒にもよく合います。震災後は地域の活性化のため、あざらグランプリも開かれて