5月にイランとの核合意からの離脱を表明した米トランプ政権が、イランに対するさまざまな制裁措置を発表した。アメリカの対イラン経済制裁は、重層的な仕組みとなっている。まずアメリカ自身によるイランのボイコットである。アメリカ企業によるイランへの投資や同国との貿易などの経済関係の禁止がある。そして第二にイランと取引をする第三国企業に対するボイコットがある。つまりイランに投資をしたり輸出をしたりする企業は、アメリカの市場から排除される。 さらに金融制裁がある。イランの金融機関と取引をした銀行などは、アメリカのドル決済システムから排除される。こうなると、イランがらみの大規模な資金の移動に関与しようとする金融機関は少ないだろう。この面からもイランとの経済関係は阻害される。こうした状況を受けて、欧州企業のイランからの撤退が続いている。 その上、アメリカは世界各国に今年の11月をめどにイラン原油の輸入を停止