適菜収によるニーチェ『アンチクリスト』の現代語訳『キリスト教は邪教です!』を読んだ。 ニーチェが言いたいのは、イエス本人はまあまだいいとしても、そのあとを受けたパウロが、そのイエスの考えをイエスと似ても似つかぬものにつくりかえてしまい、それが西洋文明を覆い、やがて近代文明のベースにまでなっちゃったってことだ。 それはキリスト教攻撃というよりも、弱者がルサンチマンをためこんで「平等」とか「愛」をふりかざし、力の強い高貴なものを束になって襲いかかっていることを批判している。 つまり民主主義とか社会主義とか革命といった原理を、ふるえあがるほど嫌っているということだ。そういうことがベース。石原慎太郎みたい。 その中身はともかくとして、適菜による「現代語訳」は面白かった。 一節を紹介しよう。こんな調子。 『新約聖書』を読んだ後では、どんな本もすがすがしく感じます。 要するに、彼らは正真正銘のバカなの