ジュニア小説の人気作家とその秘書、そこに弟子入りした新人作家-。大島真寿美さん(52)の新作『あなたの本当の人生は』(文芸春秋)は、「書くこと」にとらわれた3人の女性がお互いとの関わりのなかで、人生を見つめ直す物語だ。第152回直木賞候補となった同作は、大島さん自身にとっても創作の意味を改めて問い直す作品になった。 デビュー作以来、後が続かない新人作家・國崎真実は編集者の勧めで、憧れの人気作家・森和木ホリーの内弟子になる。今は引退同然のホリーを公私にわたって支える秘書・宇城圭子は、最近のホリーの作品はすべて自分が書いていると真実に告げる-。 「書く物語になると思ったとき、『覚悟を決めて書こう』と思った。小説を書くとはどういうことか、虚構と現実の境界を見てみたかったんです」 ホリーは、物語が天から降りてくるような人間だ。「物語には必ず尻尾があって、それを掴(つか)まえさえすればよい」と彼女は