颶風とは吹き荒れる強い風のことを指す気象用語だという。本作はその言葉をもってしても表現しきれない、風が根こそぎ生命をなぎ倒していくような北の大地にしがみつき、命を繋いで生き延びた人と馬の、遥かなる物語だ。 型破りなスケールでこの作品を書ききったのは、これが単行本デビュー作となる河﨑秋子さんだ。河﨑さんはいま北海道に住み、羊飼いとして、また、酪農に従事し生計を立てている。 「野生動物や家畜と近い場所で生活していると、突き詰めれば生き物というのは『食う』『生き延びる』『子を残す』という三点を軸に存在しているんだなあと思い知らされることがあって。そこに『なんのために生きるのか』といった疑問が入り込む余地はないんです。生きるのに精一杯というか……そういう姿を見ていて、『必死に生きる』という、その営みの尊さについて書きたくなったのが始まりです」 ではなぜ、実際に飼育している羊や牛ではなく、馬をテーマ
![北海道で生まれた規格外の大傑作! 馬と人の尊き歴史がここにある 『颶風(ぐふう)の王』 (河﨑秋子 著)|インタビュー・対談|「別冊文藝春秋」編集部|本の話WEB](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/00c725c1e9887d2d53b19cfdabbbf2f274a6f910/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fhon.bunshun.jp%2Fmwimgs%2F0%2F2%2F-%2Fimg_02eecb25dac96a89ad927be5fdc1a1e134436.jpg)