エジプトの古都ルクソールの国立博物館でのことだ。日本人のシニア夫婦が、切符売場の前で200エジプトポンド(約2,800円)札を握りしめて途方にくれていた。事情を聞いてみると、釣銭がないのでチケットを売ってくれないのだという。 博物館の入場料は1人80ポンド(2人で160ポンド)だから、釣りは40ポンド。ところが窓口の女性は、20ポンド紙幣がないので、10ポンドを加えて釣りを50ポンドにしないとチケットは売れないのだという。仕方がないので持ち合わせの小銭で両替してあげたのだけれど、考えてみればこれはずいぶんおかしな話だ。 入場料が1人80ポンドなら、釣銭は20、40、60、80ポンドのいずれかしかない。だったら20ポンド紙幣を窓口にたくさん用意しておけば、チケット売場での無用なトラブルはすべて解消できるはずだ。なぜこんな簡単なことに気づかいないのだろう。 だがこれは特別な出来事ではなく、この
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