客からの暴言や暴行、不当要求などで働く人の就業環境を害するカスタマーハラスメント(カスハラ)。クレームに対するお詫びとして多量の菓子を渡す慣習を断ち切り、業界全体のルールづくりに取り組むのが菓子業界だ。 菓子業界の消費者対応を行う「日本菓子BB協会」は2017年、菓子の現物がなければかわりの商品を送らないという共通ルールを決めた。カルビーでお客様相談室長を務めた経験もある、日本菓子BB協会のアドバイザー・天野泰守さんに悪質クレームの実態や取り組みを聞いた。(ライター・国分瑠衣子) ●「顧客創造」のため、多量の菓子を送る慣習がエスカレート ――業界の共通ルールを決める前は、悪質クレームにどう対応していたのでしょうか。 クレームがあった商品のお詫びとして、たくさんの商品の詰め合わせを渡す慣行がありました。 工業製品と違い、お菓子は焼いたり揚げたりする過程でどうしても形にばらつきが出ます。お客さ
天皇即位のたびに元号を制定するのは、憲法13条が保障する「個人の尊厳」を侵害して違憲だとして、弁護士やジャーナリストら3人が3月26日、国を相手取り、元号制定の差し止めを求めて、東京地裁に提訴した。原告によると、元号制定を違憲とする訴訟は初めて。 原告は、長野県の山根二郎弁護士(82)、東京のジャーナリスト・矢崎泰久氏(86)ら3人。訴状によると、3人は、国による元号制定が、国民一人ひとりが有している「連続した時間」を切断し、憲法13条が保障する「個人の尊厳」や「人格権」を侵害すると主張している。 ●「元号制定に必然性がない」 提訴後、原告3人は、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。山根弁護士は「元号制定によって、国民は『天皇在位の時間』に閉じ込められ、世界史(西暦)とつながっているという意識がぶつ切られることになる」と述べた。 また、元号の年度を覚えていても、何年前のことかすぐに
官報で公開された破産者情報(住所、氏名など)をGoogleマップで可視化した「破産者マップ」の運営者のツイッターアカウントは3月19日、マップを閉鎖することを発表した。 運営者は、官報から取得した破産者の情報を削除すること、削除申請フォームのデータを削除すること、削除申請の際の本人確認書類を削除すること、ドメインについては、今後、類似サイトが出る恐れがあるため、一定期間保持することを表明している。 破産者マップをめぐっては、プライバシー侵害の懸念が指摘され、対策弁護団も結成されていた。運営者は「この度は、多くの方にご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした」と謝罪している。 【追記】運営者はその後、作成の意図などについて、ツイッターに投稿した。内容は 以下の通り。 メディアの方や他の方からよく聞かれる項目として、作成の意図、目的があります。おそらく、今後において、刑事裁判、民事裁判になる可能
大阪府にあるセブンイレブンのフランチャイズ(FC)加盟店が「24時間はもう限界」として、営業時間を短縮したことで、本部と対立していることがわかった。 この店舗は人手不足などを理由に、2月1日から午前1〜6時の営業をやめ「19時間営業」を開始。本部から「24時間に戻さないと契約を解除する」と通告されている。応じない場合、違約金約1700万円を請求された上、強制解約されてしまうという。 時短営業を求めているのは、セブンイレブン南上小阪店(東大阪市)のオーナー松本実敏さん(57)。店の売上は平均レベルで順調だが、人手不足から運営が困難になっている。 セブンでも、ビルなどの施設内にあるサテライト店のほか、少数だが加盟店でも24時間営業ではないところがある。「特別な合意」があれば、24時間ではない営業も可能であり、時短営業の許可を求めている。(編集部・園田昌也) ●妻を亡くし、人手不足が顕著に 松本
派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして、人気俳優の新井浩文容疑者が強制性交の疑いで逮捕された事件。新井容疑者が出演した公開予定の映画が相次いで「お蔵入り」するなど、事件の影響が広がっている。一方、ネット上では「お蔵入り(封印)すべきではない」という議論も起きている。芸能人の不祥事があるたびに取りざたされる「封印問題」について、コンテンツ産業にくわしい国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)客員研究員の境真良さんに聞いた。 ●「過剰な反応をしていると言うしかない」 さて、新井浩文容疑者の事件は大きく報道されましたが、その影で、ちょっとした事件が起きています。それは、新井容疑者の出演する多くの作品が「封印」されたことです。すでに撮影が終了していた『台風家族』は公開延期、『善悪の屑』は公開中止になりました。さらにNHKオンデマンドから『真田丸』まで姿を消したという
街中や店内など、いたるところに配置されている防犯カメラ。事件解決に大きな力を発揮する一方で、冤罪を作り出すこともあるようだ。 11月7日、弁護士会館(東京)で開かれた日弁連主催のシンポジウムでは、カメラの映像による冤罪被害者らが、「都合の良いほんの一部だけを抜き出して、こじつけられた」などと怒りを口にした。 ●「無罪だと確信していても、判決の日は震えるくらい怖かった」 大阪府のミュージシャン・SUN-DYUさんは2012年、2か月前に起きたコンビニから1万円が盗まれた事件の容疑者として逮捕され、窃盗の疑いで起訴された。犯人はマスクで口元を隠していたが、店員が複数の顔写真の中からSUN-DYUさんに似ていると証言したことや、防犯カメラに映った背格好、店のドアについた指紋が根拠になった。 しかし、検察から開示を受けた映像をチェックしたところ、犯人は指紋の場所を触っていなかったことが判明。さらに
北九州・小倉の商店街には、「元ヤクザ」が経営するうどん屋がある。七転び八起きに由来する屋号は「よもぎうどん だるま家」。2017年6月のオープン時には、NHKで取り上げられ、反響を呼んだ。店は今も多くの客でにぎわう。 店長の中本さん(52)は、小倉で勢力を誇った工藤会の元幹部。「死ぬ気でヤクザをやってきたから、今度は死ぬ気でカタギをやるしかないです」と日夜研究を欠かさない。 暴力団からの離脱者は増えているのに、就職できるのは極わずか。やめても5年間は暴力団員と同等の扱いになるという制度があるためで、しかも実運用では5年を過ぎても扱いが変わらない。どうにかならないのだろうかーー。 そんな記事(https://www.bengo4.com/other/n_8446/)を掲載したところ、読者からは「自業自得」などとするコメントが多く寄せられた。元暴力団員を優遇せよというつもりはない。ただ、折角や
実際に働いている社員の生の声が見られる会社の「口コミサイト」。転職を検討する際に、社員や元社員が書いた評価をチェックして参考にする人も多いだろう。 しかし、そこに事実無根の書き込みをされた場合、会社側には投稿の削除に至るまで多大な費用と時間がかかる。しかも、それだけ労力をかけても投稿者の特定ができないことすらある。 「特に中小企業は、企業イメージが大きく損なわれ、転職希望者の減少につながってしまう。死活問題だ」。 こう語るのは転職サイト「転職会議」に名誉を毀損する口コミを書かれた印刷会社(東京都中央区)の社員。裁判で投稿削除が認められたものの、投稿者の特定に2年3カ月以上がかかった。「こうした現状に一石を投じたい」と取材に応じた。(編集部・出口絢) ●今回の経緯 印刷会社によれば、事案の概要は以下の通り。 (1)投稿の発見 2016年3月、社内の関係者が「転職会議」の同社のページで以下のよ
佐賀県の山口由美子さん(68)の顔や手などには今も痛み・しびれが残っているという。2000年5月、当時17歳の少年が佐賀~福岡間の高速バスで起こした「西鉄バスジャック事件」。山口さんは10箇所以上切りつけられ、約1カ月半入院する大けがをした。死者1人、負傷者2人のうちの一人だ。 しかし、山口さんは彼を一方的に責めることはしない。それどころか事件以降、少年院で自身の体験を語り、少年たちの立ち直りを後押しする活動を続けている。一体どうしてなのか。 成人年齢を18歳にする改正民法が国会で成立する前日の6月12日、衆議院第二議員会館で開かれた少年法の適用年齢引き下げを考えるシンポジウムでのこと。 「事件で唇を切られているので、言葉がはっきりしない部分があると思いますけど、よろしくお願いします」。 山口さんはそう切り出し、理由を語り始めた――。 ●「直感的に彼のつらさを感じた」 「少年が牛刀を振りか
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