ハサミムシの翅は普段は見えないが、畳んだ状態の10倍以上にまで広がる。主に地上で暮らすハサミムシは、翅を広げると非常に効率の良い飛行家に変身する。 ハサミムシはいわれのない非難を受けている。誤解をただすべき時だ。 まず、ハサミムシは居場所を求めて人の耳の中に入ったりしない。この説がそのまま「イヤーウィッグ(耳の虫)」という英名になっている以上、先にはっきり言っておく必要があるだろう。オックスフォード英英辞典にも「ハサミムシが人の耳に入り込む習性があるという俗説は根拠がないと思われるが、長年にわたり広く信じられている」とある。 それでも、耳と関連づけられたこの名前は中世以降の文献に記録され、多くの言語に反映されている。例えば、古いフランス語の呼び名「perce-oreille(ペールソレーユ)」は「耳に穴を開ける」という意味だ。 ハサミムシの実態を知るには、学術的な名前の方が参考になるだろう