ホテル高層階にあるロビーの喫茶コーナー。眼下に東京都庁のツインビルが見える。近くのビルを女性が指した。 「あそこで仕事をしています」 女性は30歳ほど。亡父の事業を継いだ経営者と聞いていた。素材のよいスーツに落ち着いた物腰。上品に見える。 1杯1200円のコーヒーを一緒に飲みながら、近畿地方で土木会社を経営する60代の男性は、その言葉を半ば信じていた。 「高級デートクラブ」から紹介された女性だった。「わがまま交際で満足をゲット」。スポーツ新聞の広告欄で見たそんな文句にひかれて電話した。 女性が退席すると、入れ替わった若い男が説明した。 「女性はあなたのことを気に入ったようです」。30回会う契約で1回に8万円もらえる。正式な紹介には350万円必要だが、最後に多額のボーナスもつくので、あなたがもうかる仕組みと言われた。 入金後、次の機会がこない。何度聞いても、女性は海外に出て今は