9月の台風12号による豪雨で深刻な農業被害を受けた和歌山県で、山の斜面を利用してきた果樹農家が復旧から取り残されている。梅やミカンの果樹園の崩落が相次いだが、傾斜が20度を超える斜面は「経済効果が小さい」として、国の災害復旧事業の補助適用対象外となっているためだ。和歌山県内では果樹園の約3割が同様の斜面を利用しており、県は補助対象に含めるよう国に要望を続けているが、見えない先行きに被災農家の不安が広がっている。 「ここまで崩れたことは今までなかった。個人の力では復旧なんてとても…」 田辺市長野の果樹農家、森隆夫さん(46)は、崩落した斜面でため息をつく。祖父母の代から守ってきた梅やミカンの畑約30アールのうち、3分の1が崩れた。山あいで農業を営む一帯では、ほかにも被害を受けた果樹園が多数あるが、ほとんどが急傾斜の山肌を切り開いた所にある。 激甚災害に指定された今回の豪雨では、農地の復旧に国