ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)やクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)レートなどの異常な高騰から信用市場が落ち着きを見せたもつかの間、実体経済の悪化懸念から、世界の株式市場は投げ売りにも似た状況に陥っている。 恐怖感、そして不信感が市場を覆っている。こうした中で正しい解決を指し示すことができる者は誰一人としていない。一例として、金融機関に公的資金を注入する金融安定化策を巡る先般のヘンリー・ポールソン米財務長官の紆余曲折を考えてみよう。 公的資金は何に使われるのか ご存じのように、当初の計画では、住宅ローン担保証券(MBS)を買い取ることで市場の安定化を図ることになっていた。だが、難航した議会承認を経た安定化策は、金融機関への直接の資本注入を主とする対策に変更された。 財務省は可能な限り迅速に動いてはいるものの、この資本注入の詳細は今のところ確定していない。批判筋は、公的資金の大部