90年代とゼロ年代の違いはなにか、と一言で言うならば、そこは「主人公」におくべきなのではないかととくめーは考えています。 「90年代の主人公」といった場合、なんか評論畑では碇シンジをイメージするらしいのだけど、むしろ私がイメージするもっとも典型的な「90年代的主人公」は、ハーレム系作品史の企画で取り上げてきた、柾木天地―柏木耕一―藤田浩之―相沢祐一といった、ちょっと鈍くて底抜けに善良な普通の少年(少女)。その言動の元になる思想を一言でいうならば『ヒューマニズム』といったところで、このスタイルをもっともよくあらわしたキャラクターはエヴァ・葉鍵から始まる90年代の一連のブームの系譜の最後の終着点である「福沢祐巳」となる(もう一つの終着点はキョン君)。こういう凡人語り部キャラというのは、読者が受け入れやすいように、平凡で善良なキャラクター設定が為され、結果的に特異な属性を持つヒーローキャラよりも