評価経済社会論が話題になっていることもあって、堺屋太一の『知価革命』(85年)を軽く読み返してみた。岡田斗司夫の『僕たちの洗脳社会』(『評価経済社会』の元本)のかなりの種本になっている本だ。 この本で知識の革命をへた時代は、物質主義の真逆の価値観をもった中世のようになるのではないかと予想した。もたない、働かない、ただ思弁や内面のみに価値をおく時代だ。 堺屋太一は古代を近代のような物質主義におかされた時代であり、その物質主義は中世にいちど廃れたと区分してみせた。「暗黒の中世」とよばれるように、西洋が宗教的停滞性に後退して、イスラムや東ローマの後塵を拝していた時代だ。 この時代に主観や想像といった内面に沈潜する文化や価値観が前面に押し出され、物質主義は後退した。 古代には写真のような細密画がえがかれるのだが、中世には子どもの絵のような稚拙な絵が多く描かれる。それは現実やリアルを重視しないで、主