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ブックマーク / xtech.nikkei.com (108)

  • 「はやぶさ」開発リーダーが語る、日本でイノベーションが起きない理由

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が2018年6月27日、小惑星「リュウグウ」に到着した。高度約20kmの地点をホームポジションとして、2019年11~12月にリュウグウを離れるまでリュウグウの観測やサンプル採取に挑戦する。はやぶさ2は、最終的には2020年末に取得したサンプルを地球に持ち帰ることを目指す。こうした小惑星からのサンプルリターンを世界で初めて成し遂げたのが、先代の「はやぶさ」(打ち上げ2003年5月、帰還2010年6月)である。はやぶさは、燃料漏れやエンジン停止、通信途絶など数々のトラブルを乗り越えて満身創痍で帰還した。そのプロジェクトを引っ張ったのが、当時プロジェクトマネジャーを務めた現・JAXA シニアフェローで宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系教授の川口淳一郎氏である。同氏は現在、後進の育成と並行して、はやぶさで培った「電力制御技術」を宇宙以外の

    「はやぶさ」開発リーダーが語る、日本でイノベーションが起きない理由
  • 「量子計算を超えた」のか、富士通・日立の専用LSIの実力

    組み合わせ最適化問題を高速で解ける量子コンピュータで先行したディーウェーブ・システムズ。現在、4グループの日企業が対抗する技術で追っている。 第3回は、既存の半導体技術を使って量子計算に対抗する、富士通と日立製作所の技術を取り上げる。 2社が開発する専用コンピュータは、最適化問題を解く過程で繰り返し現れる演算を加速するLSIを開発し、これまでの性能限界を打ち破ろうとする考え方に基づく。最適化問題の「専用アクセラレータLSI」だ。 富士通は2018年5月、日勢4グループの中では最も早く自社技術「デジタルアニーラ」の商用化に踏み切った。量子コンピュータへの注目が集まる中、富士通はデジタルアニーラの能力を「実用性で量子計算を超えた」と表現。「ほとんどの最適化問題を1秒で解ける」(吉澤尚子執行役員常務)とも主張した。 「CMOSアニーリング」と呼ぶ方式を開発する日立も「半導体なら多ビット化しや

    「量子計算を超えた」のか、富士通・日立の専用LSIの実力
  • 「空のウーバー」向けに、アッと驚くコンセプト機

    「今まで見たことがない斬新なデザインだ」――。航空機分野のある技術者は驚きを隠さない。彼をそうさせたのは、「エアタクシー」や「空のライドシェア」に関する米Uber Technologies(ウーバーテクノロジーズ)のカンファレンス「2018 Elevate Summit(the 2nd Annual Uber Elevate Summit)」(2018年5月8~9日、米国ロサンゼルス)で、同社や同社のパートナー企業が発表した垂直離着陸(VTOL)型のコンセプト機である。 Uberは、都市部や都市近郊での空のライドシェアサービス「uberAIR」を、2023年に開始することを目指している。その目標に向けて、Uberは「Uber Elevate」というプロジェクトを立ち上げ、「Elevate Summit」と呼ぶカンファレンスを年に1度開催している。 uberAIRでは、燃費の向上や騒音の低減

    「空のウーバー」向けに、アッと驚くコンセプト機
  • 見えたスパコン京の次世代像、理研の新センター長に東工大松岡氏

    スーパーコンピュータ「京」を運用する理化学研究所 計算科学研究センター(旧称:計算科学研究機構)のセンター長に、東京工業大学 教授の松岡聡氏が2018年4月1日付で就任した。 松岡氏は東京工業大学でスパコン「TSUBAMEシリーズ」の開発を主導したことで知られる。ゲームの3次元画像を描写するGPU(グラフィックス処理プロセッサ)をスパコンにいち早く取り入れるなど、低コストかつ使いやすいマシンを志向してきた業界の第一人者が、国家主導のスパコン開発プロジェクトを率いる。 東工大の研究室は維持しつつ、8割の時間をセンター長としての業務に振り向ける。京の後継となるポスト「京」の開発を、石川裕プロジェクトリーダーと共に推進する。 ポスト京の設置準備のため、現行機の京は2019年4月以降に運用を停止し、撤去作業が始まる予定。開発中のポスト京は2018年秋の中間評価を経て、2019年から製造(量産)、2

    見えたスパコン京の次世代像、理研の新センター長に東工大松岡氏
  • 神継投はデータで決めた、プロ野球選手のやる気を引き出すラミ流采配

    昨シーズンのクライマックスシリーズで(従来は先発起用の)今永投手を初めて中継ぎで起用しました。「神継投」とも呼ばれたあの采配は、どう導き出しましたか。 完全にデータを見ていました。(対戦相手だった)広島(東洋カープ)打線の1番から5番は、今永に対して打率3割5分以上というデータがあったのです。先発で起用すると、3回程度その打順に今永をさらすことになる。それよりも、リリーフとしてブルペンで待機してもらい、1~2イニングをしっかり抑えてもらう方が合理的だと判断しました。 データでは正しくても、意外な起用をすると反発もあるのでは。 選手の中にはそう感じる人もいるかもしれませんね。どんな戦略にも選手によって多少の好き嫌いがあるでしょう。ただ、要は結果なのです。仮に「数字を信じない」と言っても、数字を信じて良い成績が出たなら、信じないわけにはいかなくなります。 結果は、彼らの起用を左右しますし、ひい

    神継投はデータで決めた、プロ野球選手のやる気を引き出すラミ流采配
  • 新材料発見にアマゾン技術、グーグルが触手 トップ研究者の焦燥

    米欧中の研究開発競争が激しい「マテリアルズ・インフォマティクス(材料情報科学、MI)」。材料の物性値を集めたデータベースを使い、計算機で膨大な組み合わせを計算して新しい材料を探る試みだ。主に無機材料を対象とし、日では自動車メーカーや材料メーカーなどに加えて、IT企業が取り組み始めた(関連記事)。 日で材料情報科学にいち早く取り組み、相次いで成果を発表してきたトップ研究者と言えるのが、京都大学教授の田中功氏である。熾烈な競争に身を置く中、日に対する強い危機感を語った。 現状が、とても歯がゆい。今や米グーグルGoogle)が材料情報科学に興味を持ち、欧州や米国の研究機関と手掛けている。日メーカーには、いまだに「計算機で材料発見なんて流行っているけれど、役に立たない」という人が多くいます。 このままでは、日の敗色は濃厚です。ただ、詰んだわけではありません。材料技術では世界のトップメー

    新材料発見にアマゾン技術、グーグルが触手 トップ研究者の焦燥
  • 中央研究所とイノベーション、その興隆と衰退 | 日経 xTECH(クロステック)

    1993年に米ハーバード大学の経営大学院、ハーバード・ビジネス・スクール(Harvard Business School)で少人数の討論会があった。集まったのは米国企業の研究マネジャーやイノベーションの研究者である。集まった人たちには共通の認識と懸念があった。 企業の研究活動(industrial research)における1つの時代が終わろうとしている──これが共通認識である。米国企業は基礎研究を縮小し、研究開発活動を事業密着型に変えている。 それで米国経済は大丈夫なのか。これが共通の懸念だ。米国のベル研究所や、デュポン社の中央研究所などは事実上、国立研究所の役割を果たしてきた。これらの企業研究所がなくなったり、縮小したりしている。それにもかかわらず、米国の大学の研究予算が増えているという事実はない。米国のイノベーションの源泉がなくなってしまうではないか。 討論の内容は、新たな寄稿も加え

    中央研究所とイノベーション、その興隆と衰退 | 日経 xTECH(クロステック)
  • Intelが量子コンピューター、量子ビット数は50目前に

    米Intel社は2018年1月8日、49個の量子ビットから成る量子コンピューターを開発したと発表した。ライバルの米IBM社も、2017年11月に50量子ビットの量子コンピューターの開発に成功したと発表したばかり。開発競争が熱を帯びてきた。

    Intelが量子コンピューター、量子ビット数は50目前に
    candidus
    candidus 2018/01/10
    1000年かかっても出来ないのではなかったか
  • 《日経Robo》なぜディープラーニングがうまく学習できるのか

    TED Conferenceの一種「TEDYouth 2013」で講演している様子である。(写真:TEDYouth 2013, New Orleans, Louisiana, Civic Center, November 16, 2013. Photo: Ryan Lash、米TED Conferencesの許可を得て掲載) (1)低次の多項式 世の中の問題の多くは低い次数の多項式モデルで説明することができる。例えば、重力を支配するニュートン方程式、電磁気学を支配するマクスウェル方程式、流体力学を支配するナビエ・ストークス方程式などの最大次数はたかだか4である。また、画像において意味を変えないような回転や並行移動などの変換は線形変換であり、次数を増やすことはない。 ニューラルネットワークは低次の多項式を近似することが得意である。例えば、4つのニューロンからなるニューラルネットワークで乗算1

    《日経Robo》なぜディープラーニングがうまく学習できるのか
  • 「スパコン開発を粛々と進める」、創業者不在のPEZYグループ

    「現在も、粛々とプロジェクトに基づく研究開発を進めている」(ExaScalerの鳥居淳研究開発部長/CTO)。 2017年12月現在、PEZYグループでスパコンの製造・開発を担うExaScalerは、創業者が不在の中でも事業を継続している。同社が開発したTOP500ランキング世界4位の「暁光(Gyoukou)」をはじめ、PEZY-SCアーキテクチャーを採用したスパコンは今も稼働している。 ExaScalerが取り組んでいるのは、文部科学省所管の科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業(NexTEP)未来創造ベンチャータイプで、2017年1月に採択されたプロジェクト「磁界結合DRAM・インタフェースを用いた大規模省電力スーパーコンピュータ」に基づく研究開発だ。 同プロジェクトの期限は2018年6月30日まで。それまでExaScalerは、海洋研究開発機構(JAMSTEC)に設置され

    「スパコン開発を粛々と進める」、創業者不在のPEZYグループ
  • 「量子超越性」に突き進むGoogleの野望

    「2017年12月下旬から『量子超越性』の実証を開始する」「量子コンピュータのクラウドサービスを提供する計画だ」――。米Googleと米カリフォルニア大学サンタバーバラ校で量子コンピュータの開発を率いるJohn Martinis氏はそう力説する。量子コンピュータに注ぐGoogleの並々ならぬ野望を解き明かそう。 GoogleのMartinis氏は米シリコンバレーで2017年12月5~6日に開催された「Q2B Conference」の講演で、同社がクラウドサービス「Google Cloud」の一部として、量子コンピュータを提供するための作業中であることを明らかにした(写真1)。同社が開発中の量子ゲート方式の量子コンピュータを、インターネット経由で利用できるようにする。 量子ゲート方式のクラウドサービスは、米IBMが「IBM Q」を使って開始している。しかしGoogleの量子コンピュータは、従

    「量子超越性」に突き進むGoogleの野望
  • 概念誕生から35年、本格量子コンピュータ実現への道のり

    記事は、電子情報通信学会発行の機関誌『電子情報通信学会誌』Vol.100 No.9 pp.968-973に掲載された「エレクトロニクス技術を変革する量子情報技術」の抜粋です。記事はオープンアクセスとなっておりますが、通常記事の全文を閲覧するには電子情報通信学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(電子情報通信学会の「入会のページ」へのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(電子情報通信学会のホームページ内、当該記事へのリンク)。『電子情報通信学会誌』の最新号はこちら(最新号目次へのリンク)。電子情報通信学会の検索システムはこちら(「I-Scover」へのリンク)。 1.はじめに 超伝導もレーザも量子力学でなければ説明できないという意味では量子技術である。しかし、量子力学を使うことによって、情報処理や通信や計測において古典力学よりも質的に優れた性能を発揮し得るものを

    概念誕生から35年、本格量子コンピュータ実現への道のり
  • PEZY社長逮捕、スパコンの旗手に何が起きたのか | 日経 xTECH(クロステック)

    スパコン開発ベンチャーPEZY Computingの齊藤元章社長ら2人を東京地検特捜部が2017年12月5日に逮捕してから2日。逮捕容疑となった助成金の不正受給とはどのようなものだったのか、今も情報が錯綜している。スパコン技術の旗手と呼ばれた同社に何があったのか。 複数の報道機関が報じた齊藤氏の容疑は、経済産業省が管轄する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成金約4億円を不正に受給したというものだ。 まずこれまでのPEZY Computingの活動や受給実績を振り返ってみよう。 NEDOがPEZY Computingに交付を決めた助成金の額は以下の通り。総額は約35億2400万円で、このうち(4)(5)は今後交付予定である。 (1)平成22年度イノベーション推進事業/3次元積層TSVメモリ技術を活用したメニーコアプロセッサの開発 助成期間:2010年度~2011年度 約1億1

    PEZY社長逮捕、スパコンの旗手に何が起きたのか | 日経 xTECH(クロステック)
  • 門外漢が考える「話題の国産量子コンピュータはまがいものか?」

    先週、国立情報学研究所やNTTなどのチームが「量子コンピュータ」の初の国産機の開発に成功したと話題になった。このコンピュータの性能をクラウドで体験できるシステムを開発して公開するという(プレスリリース)。開発チームはこの量子コンピュータを「量子ニューラルネットワーク」と呼んでいる。 私は量子コンピュータについての詳しい知識は持ち合わせていない。完全な門外漢といっていいだろう。当初は「量子コンピュータの研究や実用化は海外が先行していると聞いていたが、日も追いついてきたのか」くらいの素朴な感想しかなかった。 ただ、報道だけではこのコンピュータがどういう仕組みで動いているのか、今一つピンと来なかった。「光の粒」といった謎の表現を使って説明している記事もある。そこで調べてみたところ、ITproでは2017年4月の時点で既に報道していた。量子コンピュータに詳しい浅川デスクが原理を含めて丁寧に解説し

    門外漢が考える「話題の国産量子コンピュータはまがいものか?」
  • 100億個のシナプスで「量子脳」を作る、国産量子コンピュータの野望

    10万個のニューロンと100億個のシナプスからなる「量子脳」を構築する──。内閣府による「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」で量子コンピュータの研究プロジェクトを率いるプログラム・マネージャー、山喜久氏が掲げる目標だ。 山氏のプロジェクトNTT、国立情報学研究所などからなる研究グループは2016年10月、新型の量子コンピュータ「量子ニューラルネットワーク」を実現したと発表した。 第1回に紹介したD-Waveマシンと同じく、組み合わせ最適化問題をイジングモデルに当てはめることで解を導く方式だが、量子ビットとして超伝導回路の代わりに、2000個の光パルスを用いるのが特徴だ。希釈冷凍機で極低温まで冷やす必要がなく、常温で演算できる。このため装置を小型化しやすく、また冷却に要する電力も不要になる。 さらにこのマシンでは「量子ビット同士が全結合している」という際だった特徴がある。つ

    100億個のシナプスで「量子脳」を作る、国産量子コンピュータの野望
    candidus
    candidus 2017/11/26
    量子情報の研究者からは批判を浴びている研究
  • 世界4位に躍進、国内ベンチャーPEZY製スパコンが存在感

    全世界で稼働中のスーパーコンピュータ(スパコン)の演算性能を集計するTOP500プロジェクトは2017年11月13日、最新の演算性能ランキングを発表した。日のスパコンベンチャーPEZY Computingのグループ企業ExaScalerが開発し、海洋研究開発機構(JAMSTEC)に設置したスパコン「暁光」が4位に浮上した。 暁光の実行演算性能は19.14ペタFLOPS(1秒当たり浮動小数点演算実行回数)。1984個の演算コアを備えた独自のアクセラレータ「PEZY-SC2」を計1万個搭載することで実現した。日のスパコンでは、東京大学と筑波大学が共同運営する9位の「Oakforest-PACS」(13.55ペタFLOPS)、理化学研究所が保有する10位の「京」(10.51ペタFLOPS)を超えて首位となる。 暁光は2017年6月発表のTOP500で初登場(69位)したが、当時は冷却用の液浸

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  • 反対派を動かした、ビットコイン流ストライキ

    2017年7月から8月にかけて、ビットコインの分裂騒動が世間を騒がせた。ブロックチェーンの元を襲った容易ならざる出来事だけに、技術の応用を検討する関係者にとって見過ごせない事案である。利害の異なる勢力は、どのような意図から、どのような手段を繰り出したのか。一連の出来事が残した教訓は何か。いまだに残る対立関係は、さらなる騒動を引き起こすのか。仮想通貨技術動向に詳しいITジャーナリストの星暁雄氏が、わかりにくい事態の経緯を解きほぐし、事件の根底にある質に迫る。(日経テクノロジーオンライン編集部) ビットコインの歴史にとって、2017年8月24日は大きな節目となった。数年間にわたる開発者コミュニティの努力の結果である新たな技術仕様「SegWit†」がビットコインに取り入れられたのである。SegWitをめぐり思惑が違う複数のグループがそれぞれ動いたことから、2017年に入ってから「分裂」

    反対派を動かした、ビットコイン流ストライキ
  • シリコンバレーで創出するのは、技術ではなく事業だ

    筆者は、米国中西部ミネソタ州の多国籍大企業で技術者として15年以上働いた後で、シリコンバレーの小さな会社(PDF Solutions社)に移り15年近く働いている。ミネソタ州にいたときは、日でも名前がよく知られていた化学会社(3M社)で仕事をしていたが、「ミネソタは、どこにあるのか」、「なぜ日人が、そのような田舎にいるのか」と聞かれることが多かった。 シリコンバレーに移住してからは、仕事をしている企業の規模はミネソタ州時代に比べて非常に小さくなったものの、「シリコンバレーで働いておられるのですね。(すごいですね)」と一目置いてもらえるようになった。そして、次のような質問を受けることが多い。「シリコンバレーでの仕事・生活は、どんなものなんのですか」と。 現在でも新聞やウエブの記事で、「シリコンバレー」という言葉が入っていると、特別感があり、新技術を基にした新しいビジネスの展開を期待させる

    シリコンバレーで創出するのは、技術ではなく事業だ
  • グーグルの「AIファースト」戦略が加速、深層学習用TPUや「AIを改善するAI」を発表

    「モバイルファースト」から「AIファースト」へ2016年に戦略を転換した米Google社が、2017年5月に開催した開発者会議「Google I/O 2017」で、AIに関する新しい施策を相次ぎ発表した(表1)。最大の目玉は、ディープラーニング専用プロセッサー「Tensor Processing Unit(TPU)」の第2世代「Cloud TPU」だ(図1)。前回のGoogle I/Oで発表した第1世代TPUは推論専用で、8ビットの整数演算に特化していた。第2世代は浮動小数点演算も可能で学習にも使える。4個のプロセッサーと64Gバイトのメモリーを搭載するボードの性能は180TFLOPS。

    グーグルの「AIファースト」戦略が加速、深層学習用TPUや「AIを改善するAI」を発表
  • モジュールを統合し脳全体の機能を再現

    前回はこちら 前回は大脳新皮質、小脳、大脳基底核それぞれのモデルをおさらいしました。特に大脳新皮質については、視覚野や聴覚野といった個別のモジュールのモデルや、基的な動作原理としての教師なし学習について、最新成果を交えて紹介しました。今回は、こうしたモジュールを統合して、脳の大局的な構造の再現を試みるモデルや理論を紹介します。 モジュールを階層的に接続 大脳新皮質のいくつものモジュールを統合するモデルの一例が、米Numenta社のジェフ・ホーキンス(Jeff Hawkins)が提唱する「Hierarchical Temporal Memory」(HTM)です(図1)。視覚・聴覚・体性感覚・言語といったさまざまなモジュールが、ピラミッドのように階層的に接続されていると考えます。ホーキンス自身は、HTMの目標は脳を完全にシミュレートすることではなく、脳の処理を模倣することでより柔軟なマシンを

    モジュールを統合し脳全体の機能を再現