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ブックマーク / honz.jp (14)

  • 衝撃! ”生命科学クライシス-新薬開発の危ない現場” - HONZ

    「なんとかの危機」的なはけっこう多い。執筆は専門家ではなくてジャーナリストだし、「煽り系」のがまた出たかと思って読み始めた。しかし、まったく違っていた。生命科学研究におけるさまざまな問題点が、順を追って鋭く冷静に指摘されていく。 資料をまとめただけではない。そういった問題に関係するノーベル賞受賞者も含めた多くの研究者へのインタビューも満載だ。口はばったいことを言うようだが、日頃漠然と考えていたことがスッキリとまとめられていると感心した。そして、大きな衝撃をうけた。 まずは、ネイチャー誌に掲載されセンセーショナルな反響を引き起こしたレポートの話から始まる。企業では、新薬につながるアイデアをプロジェクトにする際、かならず追試がおこなわれる。でないと、巨額の研究費をドブに捨てることになりかねない。 世界最大のバイオテクノロジー企業・アムジェンに勤めていたベグリーは、画期的と判断したがん研究に

    衝撃! ”生命科学クライシス-新薬開発の危ない現場” - HONZ
  • 『「日本の伝統」の正体』言葉の魔力に振り回されないために - HONZ

    周りのみんながやっているから、乗り遅れないように私もやる――誰しも一度はこうした経験をしたことがあるのではないか。仲間外れは怖いものだ。多少ヘンな流行であっても、ついつい乗ってしまうのが人間の性である。 だが、そうして広まったブームも、時間が経つにつれて一つの風習・行事として根付く場合がある。「伝統」だなんて言葉がついていれば、説得力倍増だ。「古くから伝わるものなんだ、絶やしちゃいけない」という義務感すら覚えさせられる。 著者はここで疑問を抱く。その伝統、当に古くからあるのか? だいたい「古くから」「昔から」とは一体いつごろのことなのか? いつからなら「伝統」と呼べるのか? 書はそうしたモヤモヤを感じる日の伝統の数々を検証する一冊である。著者は1979年に「星新一ショートショート・コンテスト」入賞を機に数多くのラジオ番組制作に関わってきた名放送作家。脚家・作家としても活躍し、日

    『「日本の伝統」の正体』言葉の魔力に振り回されないために - HONZ
  • 『サイボーグ化する動物たち』 生命の操作は人類に何をもたらすか? - HONZ

    科学の進歩は、地球に生命が誕生して以来の数十億年どこにも見られなかった奇妙な生き物を生み出している。バイオテクノロジーによる遺伝子操作だけでなく、電子工学とコンピューター技術の進歩も生命に新たなカタチを与え始めているのだ。キラキラと光る魚、薬の入ったミルクを出すヤギ、遠隔操作が可能なロボット昆虫。SFの世界でしか見られいと思ってい生き物は、既にこの世に存在している。書で紹介される衝撃的な生物の事例の多くは起こりうる未来ではなく、私たちが気づかずに通りすぎた過去のものなのだ。 生命を直接的に変化させるテクノロジーの発展は、倫理的問題を避けて通れない。ブルーライトやブラックライトで美しく光るグローフィッシュは、イソギンチャクやサンゴのDNAが入ったゼブラフィッシュであり、2004年からアメリカのペットショップで購入することができる。このアメリカ初の遺伝子組み換えペットの誕生には、技術以外の多

    『サイボーグ化する動物たち』 生命の操作は人類に何をもたらすか? - HONZ
  • 『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』 - HONZ

    書は、アメリカのジャーナリスト、マッケンジー・ファンクが6年の月日をかけ、24か国とアメリカの十数州を回って書きあげた力作ルポルタージュ、『Windfall』の全訳だ。 巻頭のカラー写真を見るだけでも、著者の取材がいかに多岐広範に及ぶかがうかがわれよう。書は気候変動(地球温暖化)を取りあげるが、それ自体が主役ではない。気候変動が起こっているという確信が深まれば、それを阻止する格的努力がなされるという考え方は、どうやら幻想にすぎなかったようで、人類は気候変動を早急に止めそうにない。 それでは私たちはいったい何をしているのか――それを探り、その過程で人間の性をあぶり出すことこそが、書の主眼であり、その結果は図らずも、自己保存と目先の利益を追い求める、「共有地の悲劇」と、いわゆる「現在志向バイアス」の物語となった。

    『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』 - HONZ
  • 『ブレークポイント』 ネットワークの成長を支配する法則 - HONZ

    ネットワークはどのように成長し、崩壊するのか。脳科学者であり、複数の企業を経営する起業家でもある著者は、脳科学と生物学、インターネットテクノロジーの領域を縦横無尽に行き来しながら、ネットワークを支配する理論を明らかにしていく。書でネットワークの仕組みを知れば、SNSやインターネットだけでなく、人工知能の行く末までもが見えてくる。 アリのコロニー、人間の脳、さらにはインターネットと、全く異なるように思えるこれらのネットワークにはいくつかの共通点がある。例えば、全体が個々の総和より優れた機能を発揮する。仲間から離れたアリの個体は自分のエサを見つけることすらも難しいが、コロニーとしては公衆衛生、経済や戦争までも効率的に管理できるのだ。これは、1つ1つのニューロンはオン・オフを切り替えているに過ぎないながらも、その繋がりである脳が、驚くべき創造性を発揮することからも理解できる。 他にも外部性など

    『ブレークポイント』 ネットワークの成長を支配する法則 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『腸よ鼻よ』11指腸 2018年09月29日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
  • 『できる人はダラダラ上手』-編集者の自腹ワンコイン広告 - HONZ

    『できる人はダラダラ上手』-編集者の自腹ワンコイン広告最新の脳科学で解明される「何もしないこと」の効用! 仕事で行き詰まったとき、気分転換に散歩したり、ちょっと休んでダラダラしているうちに、よい方法がひらめく――。書は、誰しも思い当たる、この体験を脳科学や複雑系、心理学などから科学的に解き明かそうとした意欲的な作品です。 北欧出身で脳神経科学を研究する著者のアンドリュー・スマートは、人間が休息しているときに活性化する「デフォルトモードネットワーク」という脳機能の研究に着想を得て、「何もしないこと」の効用を探っていきます。 デフォルトモードネットワークは、「脳のオートパイロット機能」とも呼ばれ、飛行機の操縦にたとえられます。何もせず脳を休ませるとその機能が作動し、脳内ネットワークが自律的につながり、新しい発想の世界へと導いてくれるのだとか。何やら謎めいていますが、自己組織性や複雑系に関心が

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  • 無能な研究者のずさんな仕事……なのか?  除草剤アトラジン問題のゆくえ - HONZ

    除草剤アトラジンをめぐる長年の論争がひとつの山場を迎えているようで、『ニューヨーカー』の2月10日号にホットなレポートが載っていました。アトラジンは日でも使われている除草剤でもあり、今後の成り行きが注目されます。 が、今回の記事はアトラジンの性質というよりもむしろ、医薬品や農薬などの安全性を調べている科学者が、その製品を製造販売している企業にとって好ましくないデータを出してしまったらどうなるのか--しかもそこに巨額の金が絡んでいるときには--という、われわれとして知っておくべき残念な事実に関するものでした。 除草剤アトラジンの問題は、両生類(とくにカエル)の内分泌学を専門とする、タイロン・ヘイズという研究者を抜きにしては語れないようで、『ニューヨーカー』の記事もヘイズを軸として展開されていました。 ヘイズは、サウスカロライナ州出身のアフリカアメリカ人で、彼が生まれ育った地域では、人口の

    無能な研究者のずさんな仕事……なのか?  除草剤アトラジン問題のゆくえ - HONZ
  • 植物に知能はあるか ―― そもそも知能ってなに? - HONZ

    『ニューヨーカー』誌の2013年12月23日&30日合併号に、マイケル・ポーランが「植物に知能はあるか」というテーマで力作レポートを寄せていました。ポーランは、カリフォルニア大学バークレー校でジャーナリズムのジェームズ・ナイト教授職にあり、を書けば毎度ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト入りを果たすという売れっ子ノンフィクション作家でもあります。それに加えて、彼はアマチュアの料理人でもあるんですよね。最新作”Cooked”については、稿の最後でさらっとご紹介いたしますが、なにせ売れっ子なので、タイトルよりも著者の名前の方が目立つカバーとなっております(^^ゞ さて「植物に知能はあるか?」と聞いて、「それってトンデモ?」と思った方もいらっしゃることでしょう。そう思われるのも無理はありません。なにしろ、「植物には感情がある」とか「植物は人間と心を通わせることができる」といった話には、

    植物に知能はあるか ―― そもそも知能ってなに? - HONZ
  • バイオエレクトロニクス――現実化する攻殻機動隊ワールド - HONZ

    みなさま、正月三が日も終わろうとしておりますけれど、今年もサイエンス通信をどうぞよろしくお願い申し上げます。 できるだけ幅広い分野から話題を選びたいと思っているのですが、あらためてそういう目で眺めてみると、『ニューヨーカー』のサイエンス記事って、バイオ&メディカルな話題が強いですねぇ。数学や物理学の記事は、それに比べるとガクンと少なくなります。まあ、それも当然でしょうかねぇ。社会生活に及ぼす影響という点では、バイオ&メディカルは大きいですからねぇ。 でも、私たちの暮らしへの直接的・短期的な影響の大きさや、狭い意味でのサイエンスに閉じずに、言語や文化歴史にもつながるような少し広めの間口で、今年も面白い話題をご紹介していきたいと思っています。 とは言いながら、今回もバイオな話題です……。 バイオエレクトロニクスの分野は、まさしく日進月歩ですね。攻殻機動隊の舞台となっている近未来が、じりじりと

    バイオエレクトロニクス――現実化する攻殻機動隊ワールド - HONZ
  • コータリン降臨!『一度、死んでみましたが』 - HONZ

    コータリンこと神足裕司といえば、ラジオ番組「キラ☆キラ」での、小島慶子とのオープニングトーク、週刊アスキーの連載、そして私の世代には忘れられない、西原理恵子とのコンビによる週刊朝日の「恨ミシュラン」などが印象深い。そして執筆やテレビ出演など超多忙な日々を送るなか、毎週毎週、事件記者としてさまざまな事件の現場を実際に取材してレポートした週刊SPA!の連載「これは事件だ」を執筆するタフさにも驚嘆していた。 そんな人気コラムニストが倒れたのは、2011年9月3日。故郷広島から東京に戻る飛行機内、羽田への着陸直前のことだ。グレードⅤという、もっとも重度のくも膜下出血だった。一命をとりとめたものの、大量出血で脳は大きなダメージを受ける。頭蓋骨が外され、脳を休ませるため麻酔で眠らされた。「麻酔が切れても、このまま目覚めないかもしれない」。「目覚めたとしても、ご家族のことは覚えていないかもしれない」。医

    コータリン降臨!『一度、死んでみましたが』 - HONZ
  • 『宇宙が始まる前には何があったのか?』訳者解説 by 青木薫 - HONZ

    書の著者ローレンス・クラウスは、長年、第一線で活躍してきた宇宙物理学者である。興味のある研究テーマは、彼自身の言葉によれば、「宇宙の始まりから終わりまで」だという。もちろんクラウスは、半分は笑いを取ろうとしてそんな言い方をするのだが、しかしそれは彼の音でもある。クラウスは気で、宇宙の始まりから終わりまでを知りたいと思っているのだ。 クラウスは専門の論文を多数発表しているほかに、一般向けにも多くの著作があり、邦訳されているものだけでも、『物理学者はマルがお好き』、『SF宇宙科学講座│エイリアンの侵略からワープの秘密まで』、『コスモス・オデッセイ│酸素原子が語る宇宙の物語』、『超ひも理論を疑う│「見えない次元」はどこまで物理学か』、『物理の超発想―天才たちの頭をのぞく』、『ファインマンさんの流儀』がある。アメリカではテレビやラジオへの出演も多く、You Tubeで彼の活躍を見ることも

    『宇宙が始まる前には何があったのか?』訳者解説 by 青木薫 - HONZ
  • 『宇宙旅行はエレベーターで』 - 地上33,333,333階への架け橋 – HONZ

    書のテーマとなっている宇宙エレベーターについては、SFの世界で長らく定番ネタとして扱われてきたものである。宇宙から地球に向かってケーブルを垂らし、そのケーブルを伝ってゴンドラのような乗り物が、摩擦を利用して昇っていく。ケーブルの全長は約10万km。仮に1フロアの高さを3mと仮定すると、地上33,333,333階建ての高層ビルに匹敵するスケールを持っている。まさに雲をつかむ、どころか星をつかむような話だ。 これを書では、2020年代から2030年代の間に実現可能と予測する。背景には、1990年代におけるカーボンナノチューブの発見という出来事があった。現時点では実験室レベルに留まっているものの、鋼鉄の約400倍の強度を持ち、信じられないほどの柔軟性持つ新たな素材が見つかっているのだ。 著者の一人は、このカーボンナノチューブ性のケーブルを使えば、宇宙エレベーターが自重や、貨物の重さに耐えうる

    『宇宙旅行はエレベーターで』 - 地上33,333,333階への架け橋 – HONZ
  • 『なめらかな社会とその敵』生命の起源から、300年後の未来を構想する - HONZ

    夢を語ればその動機を問われ、信念を論ずればその根拠を訊ねられる。病があれば病因を探りはじめ、事故があれば責任の所在が追及される。とかくに人の世は、結果と原因の究明に忙しい。 しかし世界は、原因と結果の連なりに回収できるほど単純にはできていない。いかにもはっきりとした原因と結果の連鎖も、それは辿っていくうちに、複雑に絡みあう世界のネットワークの中に消散してしまい「起源への遡行」は未遂に終わる。そうしてあらためて世界が、互いに支え合う無数のものたちが縁起する、大きな網だったのだと気付く。 想像してみてほしい。ここに網がある。その網をつぶさに眺めていても、そこには始点も終点も見出せない。ところが、この網を一部ちぎりとってみると、ちぎられた網は、何ヶ所かで枝分かれをした、樹(ツリー)の構造になる。そこではじめて始点と終点を、原因と結果を、過去と未来とを語ることができるようになる。 原因と結果、ある

    『なめらかな社会とその敵』生命の起源から、300年後の未来を構想する - HONZ
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