*以下は、2008年1月30日付読売新聞朝刊15面「論点」に掲載されたシーファー大使の寄稿を、同新聞社の許可を得て転載したものです。 論点 トーマス・シーファー駐日米大使 世界が児童ポルノとの戦いに敗れようとしている。家庭用コンピューター技術が普及した今日、驚くべき数の人々がオンラインで児童ポルノを取引し、ばらまくようになった。児童ポルノの二大消費国である日米両国は、蔓延(まんえん)防止のため共同で取り組まねばならない。 「児童ポルノ」という言葉は、この犯罪のおぞましい性質を正確に表していない。成人ポルノと違い、子供は自発的に当事者となったのではなく、報酬も得ていない。事実、大半の児童ポルノの画像や映像には、凶暴、残忍な性暴力が描かれるが、子供の多くは12歳未満なのだ。つまりこれは児童レイプなのである。 被害者の子供は、外傷や性感染症にさらされるだけでなく、鬱(うつ)や引きこもり、怒り