本年の1月グーグルが中国のビジネスから撤退を表明したことに対する評価が、日本やヨーロッパ、アメリカのみならず中国国内のハッカーたちからも支持されていることは驚きである。この決断にはグーグル創始者のひとりで、幼児期をロシアで過ごしたことのあるセルゲイ・ブリン氏の意向が強く反映したと報道されている。 リアリズムとリベラリズム 国際関係理論には大きく2つの思想がある。第一次世界大戦終了後にヨーロッパのエシュタブリッシュメント達の間で「どうしたら悲惨な戦争を防げるのか」と考える人と「どうしてこのような戦争が起こるのか」考える人が現れた。大まかに前者をリベラリズムと称し、後者をリアリズムと称している。 リベラリストたちは戦争の原因を多くは貧困と無秩序にあると考え、経済的に相互依存を高め相互が豊かになり、世界政府を樹立して秩序を回復すれば戦争は起こらないと考えた。これが国際連盟や国際連合の基本構想であ
わたし的棚ぼた一万円選書 急に千葉さんに手渡された封筒、開けてみたら1万円札が1枚。何ごとかと思えば、同期の出張を代わったお礼をもらったらしい。 「葵はワンオペで育児してくれたから」と半分わけてくれました。 泡銭の1万円 これはもう、わたし的1万円選書をしろという思し召しなのでは……
2010年01月22日00:00 カテゴリ書評/画評/品評Value 2.0 What do they do if they do no evil? - #書評_ - Googleの正体 毎日コミュニケーションズ大澤様より献本御礼。 Googleの正体 牧野武文 すごい。すばらしい。そしてちょっぴり悔しい。 「Googleとはなにか」ではなく、「Googleはこれから何をやろうとしているのか」ということに関して、Googleの外の人による結論として、もっとも腑に落ちるのが本書。正直言いたいことを言われてしまったという感じ。 Androidの敵はiPhoneじゃない。 それがわかるだけでも、一読の価値あり。 本書「Googleの正体」は、タイトルどおりGoogle論なのだが、会社論とは思えない読了感がある一冊。むしろそれは、数学の論文を読んで理解したような感じなのだ。 目次 - MYCOM
先週の「シグマ計画」についての記事には多くのアクセスがあり、1日のページビューが1万を超えた。今週の『サンデー毎日』にも「国策検索エンジンは300億円をドブに捨てる!?」という記事が出ているが、当事者以外から肯定的な評価はまったくない。「日の丸検索エンジン」が成功する可能性は、客観的にみてゼロに近いと思われるが、むしろ興味あるのは、そういう失敗がなぜ繰り返されるのかという問題である。当ブログは経産省でも読まれているようなので、少し専門的で長くなるが、これを経済学的に考えてみる。 こうした「産業政策」についての実証研究としては、三輪芳朗他『産業政策論の誤解』、マイケル・ポーター他『日本の競争戦略』などが知られている。いずれも「産業政策は最初から失敗の連続であり、日本で成功した産業は政府が放置した部門だった」という結論を出しているが、これはいささか疑問である。終戦直後の日本の製造業のように、
最近の楽天とか、急成長中のアマゾン、あるいはヤフーなんぞを見ていると、特定の企業にリソースが集中して、健全な競争がネットでは阻害されているよね、とかいう論法で、中小ストアの存続が多様なネットカルチャーの護持となり社会秩序の安定に繋がるという精神を建前にネット版大店法を作ろう! というのはアイデアとしてあると思います。 誰だ、そんなことを言っているのは、と言われると「私がそう言っています」というだけなんですけど、収穫逓減とか逓増とか経済議論を聞いたことも考えたこともない人たちが、ネットのこちら側とあちら側とかいう煙に巻く議論を見て腹に落ちたと勘違いしたまま五年も経過しているうちに、アマゾンはでかくなるわ楽天はアレだわで、日本社会の一部であるはずのネットが制御不能という素晴らしい事態に陥っているわけです。 ブックオフみたいに、荒らすだけ荒らして、良く分からないうちに経営者が変なことしてて会社が
グーグルマップの新しい機能「ストリートビュー」に対して、主に肖像権やらプライバシー保護やらの観点からあちこちで議論が起きている。グーグル側は公道から撮影すると言ってるが私道にも入り込んでるし(私の家の前も私道だがしっかり撮影されてる。そもそもある道路が私道であるかどうかのチェックなんて本気でするとは思えない)、顔をぼかしたって服装やら場所やらで個人が特定できる場合は少なからずある。本来、公共の場所を撮影して公開する分には法的に問題ないし実際にも問題にならない場合が多かろうが、それを「点」ではなく「線」や「面」で全国的に行うと「量」ではなく「質」の問題となるから話は別という主張もあって、それなりに説得力がある。とはいえ、それ自体違法というわけでもなさそうだし(違法だという主張もあるようだが素人目にはあまり説得力を感じられない)、これによって恩恵を受ける場合もあるし、将来的に新たな可能性もあろ
2008年は、ネットとリアルの本格的な衝突が始まった年だと思う。毎日新聞の変態事件とかダウンロード違法化とかストリートビューの問題とか、ある意味では以前からあった形の衝突ではあるけど、一段と混迷の度合いが深まり、のっぴきならない事件となった例が多かったように感じる。 それは、ネットが社会の前面に進出したとも言えるし、一つの壁にぶちあたったと言うこともできるだろう。 あまり社会の形を変えないでもネットを取り込める領域が全部埋まってしまい、その領域の外側にはみ出し始めたということだ。 一方で、ネットブックの大ヒットも大きな変化だと思う。 シンクライアントというコンセプトは、1996年のNC(Network Computer)からずっと言われてきたもので、決して目新しいものではない。しかし、マイクロソフトやパソコンメーカがこれを押し止めることができなくなったことは一つの分水嶺になるだろう。 今ま
なぜなら、ネットの時代、知識は誰でも簡単に拾えるようになったので、知識そのものに価値がなくなったからだ。 言った本人が直後に訂正しているように、これ、ちゃうねん。「ネットの時代」に「誰でも簡単に拾えるようになった」のは情報であって、知識ちゃうねん。知識とは、 1 知ること。認識・理解すること。また、ある事柄などについて、知っている内容。 2 考える働き。知恵。 とかであって、バカがこぞって自分にも知識はあるな(調べられるな)と思い込んで安心しているようだが、情報が増えて「誰でも簡単に拾えるようになった」りすりゃ、今度はその情報が正しいか否かを確認しなきゃならないわけで、こんなもの便利でもなんでもないねん。そもそも、ググっただけで「理解」したり「知恵」がついたりすんなら、はてながこんなにバカばかりである筈もなく、オレが罵倒系blogなんて作る必要もなかったねん。 典型例としては、「簡単に拾え
グーグルの新機能「ストリートビュー」が、論議を呼んでいる。上の画像はわが家の近所だが、確かに驚異的な細密さだ。私は意に介さないが、これを「気持ちが悪い」という人がいるのも事実だろう。先行してサービスが始まった海外でも、訴訟などが起こっている。これに対して「自分の家を映すのはやめてくれ」というのは自由だが、法的根拠はない。風景は個人情報ではないからだ。まして「サービスをやめろ」などというのは暴論である。 ただ高木浩光氏の報告によると、総務省の「通信プラットフォーム研究会」で、グーグルの担当者が「日本では、名前を表札に書いている。わざわざ自分の名前を公道に出しているわけだから、プライバシーなんて気にしていない」と発言したようだ。こういう無神経な発言は、火に油を注ぎかねない。そもそも名前がプライバシーなのか、というのが大問題だからである。ASCII.jpのコラムにも書いたが、私は個人情報保護法
Google マップ日本版にも「ストリートビュー」機能--道路に立って街中を見渡せる:ニュース - CNET Japan http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20378334,00.htm?ref=rss ご存じない方もいるだろうが、本日、Google マップ日本版に「ストリートビュー」という市街地・住宅街の盗撮画像がUPされた。 撮影対象となっているのは、主要幹線道路のみならず、文字通りの一般住宅街にまでおよんでいる。 「今回」の撮影対象となった地域では、車が入れる程度の路地ならほぼすべてが撮影されているという、異様な入念さである。 その写真の中では、付近の住民の日常の無防備な姿がとらえられており、また誰も自分が撮影されていると思っていない様子が一目で見てとれる。 また、路地に入った写真では、個人の住宅の玄関や窓の様子、
中国で今、「四川大地震で生徒より先に逃げ出した高校の教師」が話題になっている。しかもこの教師は自らその事実を、ネットで「告白」した。 最初は、なぜ彼がわざわざネットに書いたのか、何が言いたかったのかに関して、深く考察されることもなく、ただ単に卑怯か否か、道徳的に許されるか否か、といった賛否両論の方が表面化していた。しかし彼のこの告白は、徐々にだが、中国を支配するイデオロギーに基づいた道徳観念や、価値観の是非に対する議論のきっかけになりつつある。それはゆっくりと、中国のネットに大きな潮流を形成しつつあるように思われる。 それらの生の声を丹念に拾っていくと、この教師が投げかけた一石には、実は最初から現在の中国の思想統制を痛烈に批判する「メッセージ」が隠されていたことが見えてきた。果たしてこれが中国の新しい潮流を生むきっかけになるのか否か、そして中国の民は何を考えているのかに関して、私なりの分析
ブログの運営のことでこれだけ悩んだのは久しぶり。いろいろ悩んだけどね。もうコメント欄を承認制にしますよ。みなさんもそうしたほうがいいですよ。ということにしました。 承認制というのは、コメントを書き込まれてもすぐには反映されないということです。私が判断して、これはないんじゃないかなというコメントはブログに反映しません。せっかく書いていただいたコメントも、私の承認がないかぎり、コメント欄に表示されないことになります。「死ね」と書かれたコメントは表示の承認をしません。みなさんからいただいたコメントを表示するかしないかは私が責任をもって決めます。 そして、もう一つ。ブログを持っているみなさんも、これから持とうとしているみなさんも、コメント欄を承認制にしたほうがいいですよ、とお勧めします。 「でも私の使っているブログじゃできません。はてなダイアリーにはそんな機能がないんです」という場合は、そんなブロ
日本電気、およびNECパーソナルプロダクツは4月1日、「Mudコンピューティング」と称する全く新しいコンセプトに基づいた、ノートPC「Lavie Mud」シリーズを発表した。 「エアーとかクラウドとか、最近のコンピュータ業界の流行り言葉は、スカスカの実態の無いものばかりだ。ユーザが本当に求めているものは『泥臭さ』であり『泥縄』だ。わが社の『Mudコンピューティング』は、コンシューマーとエンタープライズの両方の分野で世界を変える製品となるだろう」発表の席に同席した同社の西垣元社長は自信を持ってそう語った。 「Mudコンピューティング」の詳細は別掲記事を譲るが、記者は、「泥のように」という新製品のキーとなるコンセプトを爆発的に広めたこのキャンペーンの裏側を取材した。 「大丈夫、俺が泥をかぶるよ」この画期的な新製品をいかにわかりやすく広めるか悩んでいたマーケティングチームの会議で、西垣元社長はそ
2008年05月24日12:30 カテゴリArt 中卒のオレが学歴について語ってみる あら、こんなところに名前が。 はてなブックマーク - 中卒か… - heartbreaking. せっかくなので、学歴について思うところを書いておく。 Catalyst: Accelerating Perl Web Application Development Jonathan Rockway 確かに、IT業界というのは、私を含め低学歴者が高地位にいることが多く見られる。日本のような弱学歴社会ならまだしも、合州国のような強学歴社会においてもそうだ。たとえば Hotel DAN のゲストの一人、Jonathan Rockway もその一人。23歳にした単著持ちの彼だが(サインもろた)、U of Chicagoを「つまらないから」とやめてしまった。私自身がドロップアウトということもあるせいか、私のまわりには
タイトルで釣ってみた。元ネタはこれ。 ビビリな若者たちよ!! 実名ブログで自分を「見える化」する勇気を!! | 日経 xTECH(クロステック) 久々に感動してしまいました。「あんた、あの香ばしさ(@フォークダンスDE成子坂)」。 ブログの使い方は人それぞれ ブログの使い方は色々あるよ。ビジネスでやってもいいし、趣味でやってもいい。もちろんこういう使い方もある。 今や,ネットを使いこなすビジネスパーソンにとって「ブログは名刺代わり」なのです。 ビビリな若者たちよ!! 実名ブログで自分を「見える化」する勇気を!! | 日経 xTECH(クロステック) でも名刺代わりに使うつもりがないなら、気にしなくていいよ。 (前提1)ブログは名刺代わりである (前提2)名刺は実名である (主張)故にブログは実名にすべき こういう論理だから。なので、そもそもの前提が違う人はスルーしていいんです。ブログを名刺
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