榊莫山さん 詩書画一体の芸術を追求して幅広いファンをもつ書家の榊莫山さん(さかき・ばくざん、本名齋=はじむ)が、3日に亡くなっていたことがわかった。84歳だった。 26年、上野市(現・伊賀市)生まれ。京都大学文学部卒。戦後、書家の辻本史邑に師事した。日本書芸院展や前衛書道の奎星会展で最高賞を受賞。書壇で活躍したが、58年に書道展の審査員を辞め、以後は無所属を通した。 「土」や「女」「樹」などの文字に大地と生命のイメージを重ねた書を得意とした。50歳ごろから「寒山拾得」などをテーマに、素朴な言葉を添えた水墨による文人画を好んで描いた。81年に大阪から郷里に戻り、しょうちゅうのテレビCMにも登場、「莫山先生」の愛称で親しまれた。 92年には奈良・東大寺の国宝仁王像の阿形像の頭部に、写経したお経を納めた。 「野の書」「文房四宝」「空海書韻」「漢詩と歩く」「書百話」など著書多数。