カジノ費用に充てるため子会社から計55億3千万円を無担保で借り入れ損害を与えたとして、会社法違反(特別背任)罪に問われた大王製紙前会長、井川意高(もとたか)被告(47)の公判が18日、東京地裁で開かれた。東証1部上場企業を襲った前代未聞の不祥事発覚から10カ月。創業家3代目として抜群の手腕を発揮していた東大卒の御曹司が沈黙を破り、「ギャンブル依存症」に陥るまでの顛末を語った。(時吉達也) 検察官「大負けした理由は何ですか」 被告「初めは勝ったり負けたりでした」…。 今月18日の第5回公判で被告人質問が行われ、検察側は井川被告の「ギャンブラー人生」をたどっていった。トランプを使い、バンカー(店側)とプレーヤー(客側)に配られたカードの合計数の下一桁がより「9」に近い方を当てるゲーム、「バカラ」にのめり込み始めたのは、平成11年。当時大王製紙の副社長職にあった井川被告は、知人夫婦のレストランバ