陽がやや傾いた遅い午後、柔らかな陽射しを浴びた猫が薬師堂の縁側で佇んでいました。護国寺の伽藍は創建当時のものが多く、この薬師堂も元禄時代に建てられたものだそうです。文京区にあるとは思えない広い境内には、一言だけ願いを叶えてくれる「一言地蔵」や富士塚もあって、見どころの多い寺院です。 薬師堂の賽銭箱子にカネを放り、手を合わせようとしたら斜め左前に何か気配を感じました。日がよく当たる縁側で、猫がじっとしているではありませんか。眠いのか眩しいのか、目はほとんど開いておらず、どんなに近づいても逃げる様子がありません。影の長さが、夕方近い時間であることを物語っています。 護国寺は、五代将軍・徳川綱吉が母親である桂昌院の願いを聞き入れて1681年に建立。1697年に建てられた本堂は、関東大震災や空襲を逃れて今に至っています。 右の小さなお堂に「一言地蔵」は納められています。叶えてくれるのは「1つの願い