ブックマーク / lessor.hatenablog.com (17)

  • やりがい搾取どころじゃなかった - 泣きやむまで 泣くといい

    下の記事について、2日間で35,000くらいのアクセスがあった。励ましや慰めのコメントをたくさんいただけて、当に感謝している。年度末の衝撃の中で自分や母子会のコーディネーターが正気をぎりぎり保っているのは、共感してくださる方がいるからである。 ただ、事態はさらに悪いほうに進んでいる。 「アドバイザー料も認めない」との連絡が今日、入った。 「そんな金を払っているとは知らなかった」のだそうである。 昨年度末に担当の(前)課長と学識経験者の前で「アドバイザー」である自分がプレゼンテーションをして、予算書を確認されながら「このアドバイザー料というのはあなたに払うということなのですね」と言われて、そうだと答えた。「それならかまわない」と言われた。そして、事業を一年やった。 「知らなかった」のだそうである。 もはやただの嘘だ。 他団体の情報を得ようと努力したところ、今年度自分たちが支払ってきた時給以

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  • やりがい搾取する「子どもの貧困対策」 - 泣きやむまで 泣くといい

    「子どもの貧困対策」に関わっている。 直接に自法人が運営しているわけではない。地方自治体からの委託事業で、運営しているのは地元の母子会。自分はアドバイザーである。 内容としては、最近増えつつある「子ども堂」や学習支援を中心にして、地域交流とか関係機関との連携とかスタッフの育成もやれ、ということになっている。週2回の開所で、毎回小中学生が30人くらい参加して、スタッフは毎回10名前後になる。 経済的事情から学習支援を必要とする子どものためにスタートしたが、蓋を開けてみると多くの親子が複合的な課題を抱えていた。困難事例の数々とスタッフのマネジメント、そして育成。母子会だけで進めていくのは無理と感じられるようになって、自分がアドバイザーを頼まれることになった。 アドバイザーとなって今年度(29年度)の事業計画と予算で尽力したのは、コーディネーターの人件費をきちんとつける、ということだった。 こ

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  • 「放課後バブル」のゆくえ - 泣きやむまで 泣くといい

    業界が少しだけざわついているようなので、およそ半年ぶりのブログ更新。 障害児預かり、運営厳格化へ 全国8400カ所、不正防止で https://this.kiji.is/189297838486110214 放課後デイ運営厳格化 厚労省方針、不正防止図る http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=309159&comment_sub_id=0&category_id=256 いちおう非関係者にもわかるように説明すると「放課後に障害児を預かる(「療育」する?)事業の報酬単価をがーんと上げたら、営利企業の参入が急増。「儲かりまっせ」というコンサルまで登場。保護者はどんどん子どもを預けるようになり、給付費はぐんぐん増大。やばい、もっと厳しくしていこう」ということである。 記事にあるような不正は実際に指摘されているの

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  • 「障害者」のリアリティをもって抗いたい - 泣きやむまで 泣くといい

    相模原の入所施設で凄惨な事件が起きた。障害者支援をしてきた者(かつ事業所の経営者)として、考えさせられることが多すぎて、2日のあいだ(職場の中でさえも)コメントできずにいた。 今回、亡くなられた方たちは性別と年齢のみが報じられている。このことについて、朝日新聞のヨーロッパ特派員によるツイートが強く批判されているのを見て、自分たちにとっての課題を少し記しておきたい、と思った*1。 神奈川県警「現場が障害者の入所する施設で、氏名の非公表を求める遺族からの強い要望があった」→匿名発表だと、被害者の人となりや人生を関係者に取材して事件の重さを伝えようという記者の試みが難しくなります。 https://twitter.com/shiho_watanabe/status/758178708859527168 これまで犯罪被害者の遺族に対する執拗な取材が、悲しみに暮れる人々に追い討ちをかけたり、誰のため

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  • 「介護労働が低賃金」という教科書の問題点 - 泣きやむまで 泣くといい

    教科書の「介護は低賃金重労働」、修正要望−関連6団体が出版社に http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150713-00000004-cbn-soci 福祉現場からすれば、教科書でまでネガティブな情報ばかりを流すのは勘弁してほしい(加えて、このニュースをYahooのトップに載せるのも)。 自分は障害福祉分野だけれど、「低賃金」と言われれば、確かに強く反論できるほどの業界ではないのかもしれない。厚労省による平成25年賃金構造基統計調査によれば、「社会保険、社会福祉、介護」分野(「介護」と「福祉」はやや違うのだが、以下、まとめて福祉職と呼ぶ)の年収は340万円(平均41.2歳)となる。全産業の平均は480万円くらい(平均42.1歳)なので、確かに「組織の規模も分野も問わない平均」と比べれば、低い。 ただ、福祉職はそんなに特別視されるほどの低賃金なのだろうか。

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  • 江戸川区の「おやつ」の話を覚えていますか? - 泣きやむまで 泣くといい

    もう2年ほど前のことになるが、少し多くの人に読まれた記事を書いた。江戸川区の学童保育における「おやつ」の話である。 「おやつ廃止」はもうちょっと複雑な話 http://d.hatena.ne.jp/lessor/20130227/1361989441 江戸川区の異様な「便宜供与」について http://d.hatena.ne.jp/lessor/20130306/1362568023 新たな動きがあったのだが、まずは振り返ってみよう。 学童保育所では「おやつ」を出すのが一般的だった。ところが、江戸川区では保護者の就労を伴わなくとも使える「放課後子ども教室」と学童保育所の一体的な運営がはじまり、それを機に「補(おやつ)」を廃止してしまった。学童は社会福祉事業であるのに対し、放課後子ども教室は一般に教育行政が受け持つのだが、自治体によってはどちらも同じ課が管轄していることがある。 学童保育に

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  • 行方不明をもう繰り返さないために - 泣きやむまで 泣くといい

    豊中で行方不明になっていた子ども、気になってその後の経過もずっと追っていたが、残念な結果となった。関係者は当に無念だろうと思う。心からご冥福を祈りたい。 事業所を責めるのは簡単であるが、知的障害児者と関わりのある多くの事業所は「ありえないこと」と済ませられていないだろう。ひとつ誤れば、どこでもありうることだ。もちろん今回のような結果にまで至るのは稀であっても、福祉業界で「ヒヤリ・ハット」と言われるような「あわや行方不明」のケースは多くの支援者が体験しているのではないか。 福祉施設に限らず、子どもが家を抜け出して大変なことになった、という経験をもつ保護者も多い。特に重い知的障害を伴う自閉症児が家からいなくなって警察に通報されることは、週に2度や3度は全国のどこかで起こっているのではないか。この10年ほどの間に、わが地元だけでも4〜5件はあった気がする。 子どもが事業所から出ていかないように

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  • 権力より客観的評価 - 泣きやむまで 泣くといい

    保護者と話しながら、ふと整理がついたようなこと。 子どものことで教員に「わかってもらえない」と行き詰まったとき、つい「権力」に頼りたくなって、「管理職」「教育委員会」などに頼りたくなるけれど、「上から叩いてもらおう」で成功するのはレアケースであって、だいたいかえってこじれる。上にチクられたと思う教員は、すねる。意固地になる。 それよりは、子どもについての「客観的な評価」を示せる者に関与を促したほうが、ずっとうまくいきやすい。もちろん厳密に言えば、客観的って何だ、という難しい話になるのだけれど、ここではひとまず子どもに「何ができて、何ができないか」「何がわかって、何がわかっていないか」というデータだと思ってもらえればいい。親が「それは無理です」「支援してください」と言って、教員が「いや、頑張ればできるはずだ」「普通級では、これができなければ困る」というようなやりとりはどこまでも平行線。不毛だ

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  • 衆院選マニフェスト比較2014(障害者分野) - 泣きやむまで 泣くといい

    当ブログで選挙時恒例になっている「障害者分野限定」マニフェスト比較。なんとなくやらなければいけない責任を感じて、今回もまとめてみました。もちろん景気だって、安全保障だって障害者とは関連するわけで、「障害」という言葉が使われているところを抜き出した範囲での比較であることをご了承ください。 政党間での比較以上に「過去のマニフェスト」との比較をすると、「いま」障害者が置かれている状況がよく感じられる内容になっていると思います(ついでに言うと、各政党の盛衰も)。なお、過去のマニフェスト比較は以下を参照してください。 参院選2013 衆院選2012 参院選2010 では、解散前の議席数の順番に。少しだけコメントをつけておきます。 自民党 http://jimin.ncss.nifty.com/2014/political_promise/sen_shu47_important.pdf <出産・子育て

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  • 「ちょうどいい責任」だけを背負えない社会で - 泣きやむまで 泣くといい

    自閉症連続体の時代 作者: 立岩真也出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/08/26メディア: 単行この商品を含むブログ (6件) を見る 一読した後に「自分にとってはそれほどインパクトのある内容ではない」と思ったのだが、いくつかのニュースと世間の反応を見て、やはり意義があるなのだと思いなおした。けっこう時間が経ってしまったのでタイムリーとは言えないけれど、書き留めておきたい。 もう数週間前のことになるだろうか。視覚障害をもつ高校生が白杖につまづいた中年男性に蹴られる事件が起きた。世間の反応は「なんてひどいことを」であった。少しして「蹴られる方にも非がある」という声があがりはじめた。すぐにそのような声に対する批判もまた巻き起こった。 そこに、どうやら犯人がわかった、という報道がなされる。知的障害の男性だったと言う。そして、その後の報道はあまりなされなくなったような印象もある

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  • 真面目なところが損をしない報酬カットはありうるだろうか? - 泣きやむまで 泣くといい

    さて、想像通りの展開になりつつある。 2014年6月13日 第1回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000051539.html 次に 8 ページですが、同じように障害児の給付についてまとめております。障害児の給付については、児童発達支援と放課後等デイサービスの 2 つのサービスの利用者数がかなり多くなっており、支給額も併せて多くなっています。 24年度から25年度の費用額の推移をまとめた資料を見ると、児童発達支援のほうは事業所数が13.7%、利用者数が20.9%増えているものの、費用額は11%ぐらい減っている(※この理由が思い浮かばないので、どなたかわかる方いたら教えてください)。放課後等デイは、事業所数が28.9%、利用者数が24.4%増えて、費用額も8%くらい増えている。たぶん26年度も同様だろう。目

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  • 親の遠慮にも配慮してほしいとは思うけれど - 泣きやむまで 泣くといい

    学校には連絡帳というものがある。仕事上、しばしば目にする。 自分が子どものとき、親と教師の間でどんなやりとりがなされていたのか、ほとんどもう記憶がない。いま小学校などで一般的にどんな使われ方をしているのかもよく知らない。それでも言えることとして、障害をもつ子どもの親にとって先生と交わす「連絡帳」の意義というのは、一般的なそれよりも大きなものではないかと思う。 なぜなら、帰宅後に学校での出来事を話せる子どもばかりではないから。そんな報告ができるのは、むしろ少数派だろう。報告やコメントというのは高度なスキルが求められる営みであって、とりわけ言葉をもたない子どもにとっては難しいコミュニケーションである。 学校でどんな授業があって、子どもがどう学んでいるのか。連絡帳に書かれている内容が親にとっての数少ない情報源となる。連絡帳は一方向的なものではなく双方向のものであるから、熱心な保護者は家での出来事

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  • 失敗から伝える〜第1回「理念」だけで集まってよいか〜 - 泣きやむまで 泣くといい

    これだけ苦悩しているのだから、これからNPOや福祉事業をはじめようとする人たちへ、失敗から伝えられることがたくさんあるのではないか。一般化はできないだろうが、経験からの教訓として書き遺しておこう。 まず、理念を同じくするだけでなく、金銭感覚とか労働観とかが同じ人間が集まるのが大事だと伝えたい。NPOのような組織において、理念の重要性は言うまでもない。考えておかねばならないのは、それ以上の部分だ。 特に、対人援助は理念を追求して進めていくと、しばしば高い専門性を求めていくことになる。当初は「自分たちにできることをやっていこう」でよいが、当事者のニーズに応えていくうちにだんだん「もっと勉強しなければダメだ」という壁にぶつかる。そのとき、これまで組織の中にはいなかった人材を外から招かなければいけないかもしれない。新しい事業のスタートアップ時などは、特に。 しかし、専門職というのは恵まれた環境で働

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  • 「情熱的なボランティア」の後始末 - 泣きやむまで 泣くといい

    自分が勝手に師匠として仰いでいた支援者は、今年のはじめに亡くなった。大きな法人の設立者でもあり、何も障害福祉が存在しなかった地域の開拓者でもあり、実質的な経営者でもあった。知的障害者支援の業界ではよく知られた人である。 「必要なものは創る」「必要なことはする」精神で、次々と新しいものを先駆的に作っていった。障害福祉の制度もほとんど整っていないぐらいの時代。彼は「運動」という言葉を好んで使い、仕事としてというより社会の一成員として障害者のためにできることを為そうとした。地域から、障害者から、家族から期待されて、どんどん組織は大きくなり、多くをより若い支援者たちに委ねるようになっても、地域の中で知的障害の人たちとともに暮らしていた。すべてを支援のために投げ打っていたような暮らしぶりだったが、障害者とともにいることが彼にとっての幸せであったのだろうと思う。 「社会福祉」を、貧困・低所得の問題と切

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  • 参院選マニフェスト比較2013(障害者分野) - 泣きやむまで 泣くといい

    選挙前恒例のマニフェスト比較です(参考:衆院選2012、参院選2010)。 どこからどこまでが障害者関連政策であるのか、というのも難しい線引きなのですが(特に社会保障関連はほとんどが結びつくので)、ひとまずわかりやすく「障害者」「障害」などの言葉が含まれる内容部分に限っていることをご了承ください。また「マニフェスト」という言葉も全政党が嫌っているようで別の表現を用いていますが、でもまあ要するにマニフェストだと思うので、そこもご容赦ください。 以下、参議院の議席数順に並べていきます(ので、悪い意味で注目のあの党は最後のほうです)。なお、もし誤りや見落としなどあればご指摘ください。修正します。 (7/5 末尾に現有議席のない政党を追加しました) (7/20 比例区の参考になるエントリをあげました→こちら) 民主党 http://www.dpj.or.jp/policies/manifesto2

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  • 教育への不満を福祉が聴かねばならないのはなぜだろう - 泣きやむまで 泣くといい

    対人援助の世界で生きていれば、電話をとった瞬間に「長引く」ことがわかる相手というのがいると思う。 今夜は、そんな電話が2件。来月の利用調整についての話からはじまり、あとは相談のような愚痴のような報告のような内容で、落としどころがあるわけでもなく、ただひたすら聞く。ぐるぐると話が回り続けることもあれば、転々としていくこともある。 思い返せば、どちらも学校がからんでいた。教育システムや教員に抱かれた不信に対して、支援者としてどう反応すべきか、というのは難しい。連携すべき機関が子どもや家族に対して「それはあまりにひどいんじゃないの」と思えるような対応をしているとき、「福祉」はいかに動くべきか。 かかってきた電話を共感的に聴くことはできる。問題はその後だ。相手が学校だと、具体的な動き方が見えづらい。相談をする側も受ける側も見えない。そもそもこれは「福祉」に寄せられるべき相談なのだろうか、とも思う。

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  • 「きょうだい児」についての本 - 泣きやむまで 泣くといい

    きょうだい―障害のある家族との道のり 作者: 白鳥めぐみ,間尚史,諏方智広出版社/メーカー: 中央法規出版発売日: 2010/10/01メディア: 単行 クリック: 11回この商品を含むブログ (1件) を見る 障害者の「きょうだい」について書かれたの存在は、世間にあまり知られていないだろう。この数日、はてなブックマークに知的障害者とその「きょうだい」に関する記事が上位表示されているが、それらだけを読むと理解がひどく偏りそうな気がするので一冊だけ紹介。 このの著者たちは、それぞれ障害をもつきょうだいがいて、各地で「きょうだい児の会」運営にたずさわっており、今は教育や福祉関連の仕事をしている、という共通点をもっている。「きょうだい児がきょうだい児のために書いた」だけれど、保護者や支援者が読んでも学べることの多い内容。 個人的な関心としては、この10年ほどで障害福祉サービスはずいぶん

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