思想信条から趣味、嗜好など、人は変わる。人との関係性もまた、変わりゆく。とはいえ、親しい人が突如、予想だにしなかった“変革”を遂げたとき、その変化を受け入れられるのか? 嫌いになれたら楽だが、嫌いになるのも難しいのである ◆夫がフード左翼に目覚めて<田中敦子さん(仮名・39歳)> ライターの速水健朗氏は現代の食品産業のあり方に反発する人を「フード左翼」と定義したが、田中敦子さんの夫はまさに、右派からフード左翼へと大転向をしたひとり。 「自分の父親が脳梗塞で倒れたことが、きっかけだったようです。以前はジャンクフードが大好きで、夕食の前にスナック菓子を食べるような人だったので、最初は私も健康を意識してくれるようになったと喜んでいたんですが……」 最初は「豆乳を飲む」「お酢を積極的に摂取する」程度だったのだが、田中さんへの要求はしだいにエスカレート。料理に使う油は、オリーブオイルかゴマ油