台風10号の接近に伴い、鹿児島県南種子町では最大9割超の世帯で停電が発生した。町は2023年5月に導入した公用の電気自動車(EV)8台を8避難所に1台ずつ配備。非常用電源として稼働し、住民の安心安全に一役買った。 EV導入以降、初めての大規模停電。7人が避難した市街地近くの町福祉センターでは日常と変わらず、テレビや冷風機、Wi-Fi(ワイファイ)も使うことができた。同町西之から避難した森越敏之さん(78)は「明かりのおかげでトイレなどへの移動もスムーズ。暑さへの心配もなく、電気のありがたさを改めて感じた」と話した。 50年までの脱炭素実現を目指す「ゼロカーボンシティ」を22年に宣言した同町。脱炭素と地域課題の防災力強化を両立させるため、EVに着目した。年間約2800万円のリースで、契約終了後は買い取りできる仕組み。従来の発電機より静音性に優れ、フル充電で約3日使えるという。 町総務課の羽生