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  • ピーターの法則と無能なる社会 | タイム・コンサルタントの日誌から

    遅ればせながら、私のところにも「ねんきん特別便」がきた。社会保険庁からだ。私の分については、中身はあっている。と思う。なにせ卒業以来、ずっと同じ一つの会社に勤めている。しかし卒業して以来、転居し結婚し何度も転職した私のつれあいの年金記録は、案の定まちがっていた。何度も社会保険事務所とやりとりをして、ようやく一の記録にまとめることができた。膨大な手間の浪費である。 そもそも、この「ねんきん特別便」を見て、“これには一体どれくらいの金がかかっているのかなあ”と感じる。日の人口は1億2千万人強である。年金記録対象者は子供をのぞくほとんど全員だから、1億枚近いだろう。これはつまり、A4のプリントアウト1億枚、ということだ。毎分20枚打てるプリンタがあったとしよう。それでずっと印字し続けて、10年かかる。業務用高速プリンタならさらにその数十倍の速度だろうが、それでも数ヶ月かかる計算だ。それぞれに

    ピーターの法則と無能なる社会 | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2017/06/24
    「出世スピードが速ければ速いほど、組織は全体として無能レベルに近づいていく」
  • 意外性に動じない心を持つために | タイム・コンサルタントの日誌から

    大学3年生の時、専門科目の学生実験があった。わたし達の班は「流動層の伝熱測定」という課題が与えられた。流動層というのは、丸い円筒形の容器の中に、細かな粒子(粉体)を半分くらいまで入れて、容器の底のノズルから気体を送り込んでやる装置だ。気体の流量がある点を超えると、それまでは単なる粉の集まった固体のように見えた層の中に、急に泡が生じて、全体がまるで液体のようにふるまい出す。これを流動化開始速度と呼ぶ。中で起きているのは、固体と気体とが混じり合って、液のような乱流を示す現象だ。化学プラントでは、細かな触媒粒子を使う化学反応で、反応熱が大きいときに、よくこのような装置を使う。中が良く混ざるので、熱がホットスポットのように集中しないですむからだ。 さて、わたし達の班は指定された運転条件で実験装置を動かし、得られたデータを元に計算した。ところが、教科書に載っている伝熱係数の推算式と、結果が3割も違う

    意外性に動じない心を持つために | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2017/02/09
    「リーダーにとって、一番まずいのは感情的になること、つまり自分の感情に自分が乗っ取られる事態だ。部下から見て、感情的なリーダーほど始末におえないものはない」
  • 見えない非効率 ー 今、動いているんだからいいじゃないか | タイム・コンサルタントの日誌から

    新任の取締役が、あるとき担当する事業部の支社を見に行った。一通り見学し、支社長らと懇談した後、かえろうとしたら、ある部署だけ灯りがついているのを見つけた。現場仕事はもう終業しているのに、管理部門の1セクションだけ、忙しそうに机にむかって仕事している。 「何をしているの?」と彼がたずねたところ、「社に送る書類を作成しているんですよ。毎月、数字をまとめて送らなけりゃいけないんで、残業になるんです。」との答えだ。資料を見て、さらにたずねる。「社は、この統計資料を見てどう役立てるんだろう?」「・・存じません。社にたずねてください。」 その取締役は社に戻ると、早速、送付先の企画部門にいって、その書類のことをきいてみる。すると、「ああ、その書類ですか。工場が毎月送ってくるんでね、ファイルして保管しているだけです」という。「でも、なんで工場はその書類を送ってくるのかな?」「さあ・・。」 いろいろ

    見えない非効率 ー 今、動いているんだからいいじゃないか | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2016/11/14
    「前任者が、ある時、工場に指示して数字をまとめさせたのだ。それは投資か何かの判断材料だったのだろう。その時は役に立った。しかし、工場側はそれを毎月作成すべきものだと理解して、担当者が残業して送り続けて
  • マネジメントとリーダーシップはどう違うか | タイム・コンサルタントの日誌から

    大学でプロジェクト・マネジメントを週1回教えていることは前にも書いたが、授業は毎回必ず、前回の復習と、学生から出た質問への答えからはじめることにしている。出席シートに質問欄を設けて、そこに気になったことへの質問をかいてもらうのだ。むろん授業でも最後に「質問は?」ときくのだが、だいたいの学生はなぜかその場では質問せずに、紙に書いてくる。 いろいろ出た質問の中から、いつも「日のBest Question」を選出し、その質問者の名前を明示してほめることにしている。良い質問を考えることは、単に回答を考えるよりも、ずっと価値があるからだ。一般に、マネジメントの問題には正解がない。正解がない中で、自分で考えて決めていかなくてはならない。これは、たくさんの正解を覚えてどれだけ早く答えるかを競ってきた東大みたいなところでは、とくに大切だ。 さて、「マネジメントとは何か」という授業をやった後で、面白い質問

    マネジメントとリーダーシップはどう違うか | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2016/01/27
    「米国ではマネジメントよりもリーダーシップの方が、ずっと高尚でポジティブに受け取られる傾向が強い」
  • “仕事が面白くない”症候群とたたかう三つの方法 | タイム・コンサルタントの日誌から

    陽光の降り注ぐ戸外に、すっと立つ若い女性を下からのアングルで描いている。青空と白い雲をバックに、白いドレスと青いスカーフの立像。背景と人物に同系色を使いながら描き分けて、全体にちょっとドラマチックな階調を生み出している点が、この画家の手腕だ。顔はわざと表情を描いていないので、登場人物の内なる情念ではなく、ただ光と風の中に立つ喜びだけが、肌身の感覚として伝わってくる。 ところで、足元の草をよく見てほしい。もし手元の端末で拡大可能なら、画像を大きくして見てみるとよく分かるが、全体として夏草のように見えながら、個々には赤や水色や紫や緑など、ずいぶん原色に近い色彩が、まちまちな形に、ほとんど粗っぽい筆遣いで置かれているだけだ。そして彼女の来ているドレスも、よく近寄って見ると、当の白地はほとんどなくて、赤や青やその中間色が多彩に塗られていることが分かる。 それでも、普通の距離を置いて絵の前に立つと

    “仕事が面白くない”症候群とたたかう三つの方法 | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2015/10/10
    「「面白い仕事」であっても、実際には数%の面白さと、90数%の徒労感のまじった、まだら模様」
  • スケジューリングは最適化の問題ではない | タイム・コンサルタントの日誌から

    旅行の予定を立てるとき、普通はまず時刻表を見る。飛行機か鉄道か、手段はさまざまだが、目的地と到着すべき時刻がはっきりしている限り、コストと所要時間を見てもっとも良い移動方法を見いだすことは簡単だ。経路が複雑な場合は手間がかかるかも知れないが、それでも最適なルートは必ずあるはずだ・・・。 こういう信念で生産計画の問題にも挑みたくなる気持ちはよく分かる。工場の稼働時間と生産能力、こなすべき生産指示と必要な資材、こうした条件がはっきりすれば、手間さえかければ最適なスケジュールを組めるはずだ。問題はその手間をいかに短くするかにある、と。 ところで、あいにくわたし自身はこうした意見に反対だ。スケジューリングを最適化問題の枠組みでとらえるべきではない。拙著「革新的生産スケジューリング入門―“時間の悩み”を解く手法」でも、その後の学会発表などでも、つねに私はこう主張してきた。しかし、なかなか理解してもら

    スケジューリングは最適化の問題ではない | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2015/10/10
    「選択というものは常に「賭け」なのである。それは未来に対する自分のコミットメントだから」
  • なぜなぜ分析は、危険だ | タイム・コンサルタントの日誌から

    「なぜなぜ分析」は、品質管理や労働安全管理などの分野で、よく用いられる手法だ。発生した問題事象の根原因を探るために、「なぜ?」「なぜ?」とくりかえして掘り下げていく。この問いかけを“5回はくりかえせ”と、よく指導しているため、別名「なぜなぜ5回」とも呼ばれる。元々、トヨタが発祥の地であり、トヨタ生産方式の普及とともに、他の業界や分野でも使われるようになった。 図は、トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏の著書から一例をとって、図示したものだ。工場内のある生産機械が故障してとまったとき、「なぜ機械は止まったか?」の問いに、「オーバーロードがかかって、ヒューズが切れたからだ」と答えただけでは、じゃあヒューズを交換して再起動すればいい、という答えしか出てこない。 しかし、なぜオーバーロードがかかったのか?→ (2)軸受部の潤滑が十分でないからだ、とほりさげ、 さらに (3)潤滑ポンプが十分組

    なぜなぜ分析は、危険だ | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2014/04/27
    「人間はミスをおかす存在である」「品質は個人レベルの努力ではなくシステムで担保する」という前提がない組織で、ナイフを振り回したって、弱い個人が傷つくだけ
  • 契約社会がリーダーシップを必要とする理由 | タイム・コンサルタントの日誌から

    ずいぶん前だが、わたしの好きな米国のマンガ"Dilbert"で、こんな話があった(Dilbertはハイテク企業の馬鹿馬鹿しさを皮肉った新聞連載マンガである)。主人公Dilbertの会社に、ERP導入コンサルが雇われてやってくる。彼はヘラヘラした頼りない男(というか巨大なネズミ)だが、ロクな経験もないのに腹が立つほど高い報酬を得ている。 そのコンサル氏、導入プランを説明しながら、「・・さて、この段階で古いレガシー・システムをシャットダウンし、新システムの稼働に切り替える」と言う。主人公Dilbertは、「待った。新システムがうまく動かなかったらどうするんです?」と、当然の質問をする。するとコンサルは「えーと」と言いながら書類をチェックして、「大丈夫。システムが動かなくても、ぼくの報酬には影響がないから」と、すまして答える。何のことはない、彼は雇用契約書をチェックしていたのである。それを聞いて

    契約社会がリーダーシップを必要とする理由 | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2012/02/06
    「リーダー+部品」型組織での、リーダーシップのインフレーション
  • シェールガス革命と、見えない地政学的地殻変動 | タイム・コンサルタントの日誌から

    技術というものは競争と進歩の世界だとみな信じているが、案外古臭い慣習がいつまでも残ったりするものである。例えば石油の値段は1バレルあたり何ドルという言い方をよくするが、このバレルという単位はその昔石油を入れるのに使った樽の大きさから来ており、1キロリットルが約6バレルに相当する。そして石油工学の分野ではいまだにこのバレルという単位を計算にも使用している。私なども1日20万バレルの処理能力を持つ蒸留装置と言われた方が、tonやキロリットルなどの単位で言われるよりも、ピンとくる。 ちなみに天然ガスの世界では体積を測るときに立方メートルではなく、立法フィートという単位を用いる習慣になっている。実際にプラントの設計をするためのシミュレーターは、SI単位系ばかりではなく、この種の旧弊な単位系もちゃんと取り扱えるようになっている。 しかし上には上があるもので、この種の単位の中でも飛び抜けて馬鹿げたもの

    シェールガス革命と、見えない地政学的地殻変動 | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2012/01/21
    電力会社は総括原価方式を採っているため、燃料が値上がりしても電力価格に転嫁できるだろうが、困るのは我々末端のユーザー
  • ストップ・ロス・オーダーと撤退の知恵 | タイム・コンサルタントの日誌から

    渋谷から東横線の各駅停車に乗った。たしか都内での研究会か何かの帰りだったと思う。ふだんは急行か特急に乗るのだが、その夜は何だかくたびれていたので、多少すいていた各停で座って帰ろうと思ったのだ。ところで、渋谷では穏やかな夜空だったのに、電車が5つめの都立大学駅に着く頃から、雷とともに急に激しい雨が降り始めてきた。折りたたみの小さな傘しか持っていない。でも、初夏の夕立だろう、いずれすぐやむにちがいない、と高をくくっていた。 しかし、電車は都立大の駅に停車したまま、ちっとも動き出さない。ホームに降り注ぐ雨は、しぶきとなって開け放たれたままのドアから車内にも吹き込んでくるようになった。しばらくしてから車内アナウンスで、「信号系統への落雷のために、全線がストップしております。復旧作業中ですが、まだしばらく時間がかかる見込です」という。外は相変わらずのひどい雨が続いている。ほんの通り雨という感じではな

    ストップ・ロス・オーダーと撤退の知恵 | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2011/09/08
    意思決定の時、一番いけないのは、何も決断せずにずるずると先延ばしにしていく事だ。それは損失を広げていくばかりではない、何よりも自分の心理的エネルギーを消耗させ奪っていく
  • 安全第一とはどういう意味か | タイム・コンサルタントの日誌から

    ある時、友人がやってきて「車を2,3日貸してくれないか」という。小規模な引越をしたいので車が入り用なのだという。レンタカー代ほどではないが借り賃も払うから、といって謝礼を菓子折と一緒に置いていった。 さて、数日たって友人が返しに来た車を見て驚いた。フェンダーから左のボディにかけてへこみが入り、サイドミラーも折れている。どうして、と聞いたら「左折時に不注意で障害物に引っかけてしまって」という。そして、「すまんすまん。でも、車両保険には入っているんだろ? たいしたことはないから、すぐ直るよ。事故は一定の確率で起きるもんなんだ。」・・そんな風に友人が言ったら、あなたなら、何と答えるだろう? 「いや、車なんか大丈夫。それより君に怪我がなければ、何よりですよ。」こう答えられるほど、寛大な度量はわたしには、無い。たぶん頭に来て、「馬鹿野郎! 人の車を事故っておいて、その言いぐさは何だ。確かに保険にゃ入

    安全第一とはどういう意味か | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2011/04/09
    動員した労働者は、全員を無傷でかえさなければならない。これが『安全第一』の本来の意味
  • リスクという言葉自体がリスキーである | タイム・コンサルタントの日誌から

    ビジネスにおけるリスクを語る際、非常に厄介な事実が一つある。それは、「リスク」という語の定義がうまく定まっていないことだ。Aという人の語るリスクと、Bという人の受け取るリスクが同じ物事を指しているとは限らない。いや、違うことを言っている可能性の方がずっと高い。各人の理解にブレ(不確実性)がある。リスクについて語ることは、それ自体がすでにリスキーな事なのだ。 たとえば、人に「最近遭遇したリスク事象の例を挙げてください」と質問したとしよう。たいていの場合、返ってくる答えは「発注先が納期を一月半も遅らせてきたんです」とか「先月自転車で事故りまして」といったものだ。これらは実際に起きてしまったトラブル事象、すなわち『issue』(問題)である。リスクという語は、来は起きる前の可能性を指す概念のはずである。だから、「発注先の手際がまずくて納期に遅れそうになり、気を揉みました」とか「自転車のブレーキ

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    cloudliner_tweets 2010/10/04
    各人の理解にブレ(不確実性)がある。リスクについて語ることは、それ自体がすでにリスキーな事
  • マネジメントのX理論とY理論 | タイム・コンサルタントの日誌から

    イギリスから来た同僚たちと飲んでいたら、たまたまスポーツの話になった。「スポーツには階級がある」と彼らの一人はいう。「たとえば、ホッケーはミドル・クラスのスポーツだ。」と彼は続ける(英国の話なのでアイスホッケーではなくて、グラウンド・ホッケーである)。「なぜならば、ホッケーは長くて硬いスティックを使う。こんなものをローアー・クラスの連中に持たせたら、殴り合って大変な騒ぎになる。」 無論、ジョークである。しかし、“イギリスにはClass systemがある”という彼の発言は、当だろう。階級制度は緩んだとはいえ、まだ厳然とそこにある。欧州は、多かれ少なかれ、似た状況だ。 それで思いだしたのは「きかんしゃトーマス」の、シーンだった。子供が小さかった頃、このTV番組を一緒によく見た。イギリス製の人形アニメで、蒸気機関車のトーマスが主人公になっている。ある回では、機関車仲間のジェームズが、たくさん

    マネジメントのX理論とY理論 | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2010/09/27
    「モノがお金を生む」時代があり、そこから「人がお金を生む」時代に移る
  • 組織のピラミッドはなぜ崩壊したか | タイム・コンサルタントの日誌から

    手にならす夏の扇と思へども ただ秋風のすみかなりけり   藤原良経 夏の盛りに、ふと秋の予兆を感じとれる詩人の「気づき」は、まことに素晴らしい。ふつう私たちは、過ぎてしまってから「そういえばあの時が・・」という形で気づくのだ。真っ盛りにいるときは、なんだかその季節が永遠に続くように錯覚する。とくに、ことが経済やお金、つまり私たちの『願望』に関わるときは、そうである。 1990年といえば、日はバブル経済の絶頂期であった。「どちらを向いても景気の良い話ばかりである」と経済評論家は書いた。日の地価も株価もスカイロケットのように上昇し、“世界中の人々が最先端都市・東京を一目見ようと集まって来ている”と青山あたりのカフェバーでビジネスマン達が得意気に叫んでいた。その年に、変化の予兆を気づいた人はとても少なかったにちがいない。 どんな変化か? それは、人口ピラミッドの構造変化である。次のグラフを見

    組織のピラミッドはなぜ崩壊したか | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2010/09/16
    グラフを10年ごとに追いかけてみると、'80年頃までは、からくも「ピラミッド」的だったことが分かる
  • サプライチェーンのリスク・マネジメント | タイム・コンサルタントの日誌から

    何年か前、国内で工場の事故・火災があいついだことがあった。新日鉄の製鉄所で爆発事故があったと思ったら、すぐにブリジストンの工場でも火災が発生し、かと思うと今度は地震が引きがねとなって出光興産の製油所のタンクが火を噴く、といったぐあいだ。さらに新日石油の製油所まで出火があった(これは幸い短時間で鎮火したが)。 その時、たぶん出すだろうな、と思ったら案の定、経済産業省は工場の安全体制について指示だか通達だかを出した。問題が起こったら、あわてて指示を出す。問題が起こらない限り、何の確認も質問も出さない。お役人というのは、前もって問題を予知しリスクに対処するという、プリベンティブ・メンテナンス(予防保全)やリスク・マネジメントの考え方が、さっぱり身に付いていないところらしい。 この新日鉄とブリジストンの工場の火災事故に関しては、トヨタが自動車生産量を見直す羽目になった、というのでニュースになった

    サプライチェーンのリスク・マネジメント | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2010/09/04
    意図して冗長性を付け加える。つまり、脆弱性の予見される部分に、バックアップ的なサプライヤーや、変動を吸収するためのバッファー在庫をおく
  • リスクに対する新しいアプローチ | タイム・コンサルタントの日誌から

    少し前のことだが、あるコンサルタントの方から知恵を貸してほしいと依頼されたことがあった。公立の某研究機関に対して、要員教育の提案を出そうとしているところで、その中のリスク・マネジメントについて内容をどうすべきか悩んでいるとのことだった。客先担当者の要望は、「我々は公の予算で動いている以上、失敗することは許されない。そこで、所員達に失敗しないためのリスク管理を教えてほしい」という内容だ、という。どうカリキュラムを組むべきか、うまいアドバイスはないだろうか、と私は問われた。 私はちょっと困ったが、正直にこう申し上げた。「“失敗しない方法”は、私には思いつきません。失敗したくなければ、何もしない事しか方法はありませんね。でも、それでは研究所として成り立たないでしょう。およそ研究というのは知らないことを発見するためにやることですから、失敗しない研究などというものは、私には想像がつきません。」 それ

    リスクに対する新しいアプローチ | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2010/09/02
    技術的完璧主義につき合う中で知らず知らずのうちに、仕様が水ぶくれしていたのではないか? それを「世界最高水準の技術」などと自称し栄華を誇ってきた
  • 欠品という名のリスクを減らすには | タイム・コンサルタントの日誌から

    一ヶ月ほど前になるが、大手自動車会社N社の生産ラインが、部品納入が間に合わないために数日間ストップする、とのニュースが新聞などを賑わした。問題の電子部品(エンジンの燃料噴射制御ユニット)を納入していたのは、これも大手製造業H社である。H社は大慌てでユニットの中核部品(カスタムIC)を追加手配して、なんとか間に合わせようと必死になっている、との話だった。H社がカスタムICを購入している先は欧州半導体製造企業であった。なのでメディアの論評は、H社の海外調達のあり方に向かったようだった。 この話は、ちょうどその頃に実施した工場見学ツアーのバスの中でも話題になった。この工場見学は、慶応大学管理工学科と生産革新フォーラム(通称『MIF研』)の共同主催によるツアーで、日を代表する工作機械メーカーA社を訪問にいくところだった。このときの工場見学はとても興味深いものだったが、その内容についてはまた別途書

    欠品という名のリスクを減らすには | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2010/08/25
    「愛知向け以外の内示は、差が大きくてあてにならない」のだそうだ。
  • 良い在庫・悪い在庫 | タイム・コンサルタントの日誌から

    忘れもしないが、社会人になって初めてやった仕事は、LNGタンクの容量計算だった。プラントのタンク容量というのは化学工学的計算で決めるのだろうと思っていた私に、与えられたのは意外にも乱数シミュレーション・ツールだった。今ならPC上のダイナミック・シミュレータを使うところだが、当時はまだホストコンピュータ上で動く手作りプログラムだった。 LNG、すなわち液化天然ガスは、産出国で液化したものをLNGタンカーという極低温・高圧に耐える特殊な船に積んで、日などの消費地に輸送する。このタンカーは数台が定期的に産地と消費地を往復するのだが、気候条件などでどうしても積み出しスケジュールに変動が出る。この変動を吸収できるだけの製品在庫量=すなわちタンク容量を求めるのが私の仕事だったのだ。 ここで私はごく初歩的なな法則を学んだ。製品の在庫量は、プラントだけの都合では決められない、ということだ。供給側が連続生

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    cloudliner_tweets 2010/08/23
    製品タンクの容量は船の到着時間の変動などよりも、もっとずっと大きな要素で決まってしまう
  • 技術力とは何か? : タイム・コンサルタントの日誌から

    「おーい、この間買ってきた鷹の爪、こっちの入れ物かい?」 「そうよ。あ、それ結構辛いから気をつけて!」 「わかった。・・あれ、でも丸ごと1入れても、ちっとも辛くならないよ。どうしてかな。」 「あ、たいていのはあんまり辛くないの。でも、たまに、とびきり辛いのが混じってるのよ。」 「そ、それじゃ“結構辛い”ことにはならないじゃない。」 「でも、ときどき、ほんとにとびきり辛いんだから!」・・・ たまに「とびきり辛い」のと、たいていが「まあ辛い」のと、どちらが当に『辛い』唐辛子だと言えるだろうか? 別の話題。今度はコーヒーの話である。私がかつてフランス企業に駐在して仕事をしていたことは前にも書いたと思う。その会社は立派なキャンティーンを持っていて、みな昼はそこにべに行く。さらに堂の外には、コーヒーを飲んでおしゃべりするためのたまり場がある。そこも会社経営で、とても安くエスプレッソが飲める

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    cloudliner_tweets 2010/08/18
    同じコーヒーなのに、片方のおばさんがいれた方が、もう一人のおばさんよりも美味しい
  • リスク・マネジメントは本当に可能か | タイム・コンサルタントの日誌から

    ときどき人前で、プロジェクトのリスク・マネジメントについてお話しする機会がある(事業リスク・マネジメント、というテーマ名のこともあるが)。そういうとき、私が真っ先に聴衆の方にたずねる質問が二つある。最初の質問は、 「あなたは、リスク・マネジメントが当に可能だと思いますか?」 という問いかけだ。そして、こう補足する。「マネジメントとは、自分がある程度知っている対象を、自分の目的のために動かして利用することを言いますね。ところで『リスク』とは、自分がよく知らない、予見しがたい事象を指す言葉です。では、自分が知らないものをちゃんとマネジメントできると、皆さんは信じますか? リスク・マネジメントという言葉は、言語矛盾だと思いませんか。ならば、リスク・マネジメントとは、一体何をマネジメントすればいいのでしょう?」 ちょっと虚を突かれた感じの聴衆の方に対して、次に放つ質問は、こうだ。 「では、皆さん

    リスク・マネジメントは本当に可能か | タイム・コンサルタントの日誌から
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    cloudliner_tweets 2010/08/12
    私たちのなすべき方策は、「影響度」を小さくするか、ないしは「対応能力」を大きくするしかない