映画監督としてデビューする前から、他に先駆けたデジタル技術の研究により“岩井美学”と称される甘美な映像を確立。近年は活動の場を日本国外へと広げ、作品ごとにますます進化し、観たことのない映像世界を描き続ける岩井俊二監督が、初めて挑戦した長編アニメーション映画『花とアリス殺人事件』。本作に至るまでの道のり、そして現在撮影中の新作映画についてうかがった。 <動画インタビュー> 意外に影響を受けやすい?作品との出会い 15年くらい実験に取り組んで完成したアニメ ――記憶喪失をめぐるふたりの女子高生、花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)の恋愛騒動をみずみずしく描いた『花とアリス』(2004年)。その前日談を、アニメーションで描くという構想は、いつ頃から抱かれていたのですか? 岩井『花とアリス』を作った直後に今回のプランがあって、そのときには完全にアニメにしようと思っていました。とはいえ、当時はアニメのこと