競馬における"1998年世代"。それはまるで、漫画やドラマに描かれる脚本のような世代である。 産まれてすぐに母を亡くし、乳母に育てられた良血馬。 自身・鞍上、共に偉大過ぎる両親の宿命を背負う良血馬。 ──そんな2頭のスターに立ち向かっていった、ある1頭の芦毛がいた。 父はデビュー時には既に消息不明。母も無名の繁殖牝馬。 周囲からの期待値などいざ知らず、ただ懸命に逃げ、走り抜けた2冠馬。 それが、セイウンスカイだ。 紛れもない、1998年クラシックの主役である。 父が残した"忘れ形見"。 父シェリフズスターが日本にやってきたのは1990年。 西山牧場の先代、西山正行氏がイギリスから買い取り同牧場の繁殖牝馬をこぞって種付けしたのだが、産駒が全く走らない。そのため種付け総数が一気に落ち込むと、1996年に息子の西山茂行氏に実権が変わった際、用途変更で種牡馬引退に追い込まれてしまう。 奇しくも輸入